素焼きミックス大豆
べにや長谷川商店さんの素焼きミックス大豆を頂いて、「大豆って、こんなにおいしいのか!」と再発見しました。甘みと呼ぶのか、まろみというのか。焙煎の加減も絶妙で、さくさくと軽い食感ももちろん、噛めば噛むほどコクと甘味が重なり合って、「あ、おいしー」。選んだ粒の組み合わせで味の印象が変わるのも、食べ飽きない秘密のひとつなのかも。仕事の合間の切ないハラヘリ感を埋めたくておやつをつまんだはずなのに、ひと粒ずつ選んで味比べしたり、種類ごとに集めて食べたり、組み合わせを考えたり、食べることに夢中になってしまいます。ひとくくりに「大豆」と呼ぶのが、なんって失礼なっと考えたりしてしまうくらい味に個性があります。
入っているのは青大豆、大豆、間作大豆(かんさくだいず)、紅大豆、黒豆、黒千石大豆、鞍掛大豆の7種類です。大豆はわかるけど、黒豆もわかるけど、それ以外の5種は馴染が浅いのでは?
青大豆
甘み・風味がよく、きなこや豆腐、みそにされてきた大豆です。そのまま茹で豆でも美味しいですが、潰すと濃厚な旨みと甘味が出てきます。
間作大豆
大変味が濃く、粒が小さいのに存在感がある味が特徴。豆の味を際立たせるなら、間作大豆がピカイチです。
紅大豆
山形県川西町が商標登録を保有する在来種の希少な大豆です。濃厚な甘味とコクが特徴で、豆腐にすると淡いピンクになります。黄大豆や黒大豆に比べて、グルタミン酸、アスパラギン酸などを多く含みます。
黒千石大豆
小豆くらいの極小粒で皮が黒く中身が緑の珍しい種類の大豆です。黒豆なので味は濃厚。煎るとさらに味わい濃厚です。
鞍掛大豆
馬に鞍をかけたように、緑の豆に濃い紫?黒?の色目がはいっています。固めに茹でてひたし豆にするとおいしいのだそう。
そのままポリポリと食べてももちろん美味しく、またご飯に炊き込んでも香ばしく甘く美味。ああ、これは大豆が美味しいのだなと舌で納得できる素焼き豆です。
作り手は、べにや長谷川商店さん。
在来の豆といえば、ココ!と名前が上がるほど、100年近い年月を、在来の豆やその作り手さんたちと過ごしてきた人たちです。ほとんど資料も残らない、ともすれば立ち消えていく地域の在来種を、各地での地道な聞き取りで拾い上げ、豆を介したひととと地域とのつながりを手繰り寄せ、地域の暮らしを紡いでおられます。在来種とは、大豆や小豆、えんどう豆など、農家が各地で育て、代々引き継いできた品種のこと。その土地の風土や気候に適応しようと変化し、ひとがその変化を支えてきた地域の固有の財産です。北海道の遠軽(えんがる)を起点にした彼らの活動は、豆料理や豆のハンドブックなどの書籍として手に取ることができますし、定期的に開催されるお豆サロン、ファーマーズマーケットなどでも触れることができます。提案されているのは、豆と農を中心に出来上がる地縁共同体のような人々との関係性を紡ぐ暮らし方。ひと粒ひと粒の種たちが、個々のペースで育ち実を結ぶ在来種は、効率・効果を追いスピード感に満ちた現代の私たちの生き方とはずれているのかもしれません。ですがその分、それぞれの違いがはっきりと感じられる稀有な存在です。