もうオイルとは呼べない、絞りたてジュースのような「麻の実油」
和の調味料との相性抜群、美味しいから使いたくなるヘンプシードオイル
- 透明感のある
深緑の色 - ハーブのような
香り - 搾りたてジュースのような
新鮮な味わい
広大なカナダの大地から、やってきた麻の実油(ヘンプシードオイル)。
素晴らしい可能性を秘めているけれど、何よりも美味しい。
だから、食卓にいつもあるんです。
残るもの、去るもの。違いはどこに?
女性にとって、興味が尽きないことのひとつが「美しさ」。
ダイエットや美容、アンチエイジングをキーワードにした商品には、すぐに火が付きます。「ハリウッド」や「スーパーモデル」、「ミス・ユニバース」など、美しさを常に追求し続けている人々が愛用しているというと、なおさらです。それに加えて、近年のスーパーフードや油ブームの根底には、「健康」への高い関心が見受けられます。
それだけ多くのひとびとが、身体の健やかさを求めているのかもしれません。エゴマ油やココナッツオイル、チアシード。今まで存在すら知られていなかったものたちが注目を集め、ある日、突然食卓に仲間入りしていますが、残るものもいれば、また去るものも。
残るもの、去るもの。
その違いは一体、何によって決まるのでしょうか。
価格?何となく?飽きたから?「効果」や「効能」を感じなかったから?
その理由は様々で、往々にして考えることなく過ぎていきます。 けれども「スーパーフード」と呼ばれるものは、その名のとおり「フード=食べ物」で、違いを体感するまでには、ある程度の時間が必要でしょうし、長く付き合っていくには、程よい距離が保て、嫌にならずに、大きな負担もない存在である必要もあるでしょう。これはどこか、「ひと同士」の関係にも似ています。
近づいたり離れたりを繰り返したり、約束したわけでもないのに何となくいつまでも一緒にいたり。「切っても切れないご縁」は、「不思議と」長く続くものです。理由ははっきりしなくても、「不思議と」長く続くご縁は、その底辺が、考え過ぎなくてもいい安心感と緊張しない安定感に支えられています。
食べ物と私たちの「気を張らなくてもいい」関係には、決め手があるのでしょうか。
快適であること、クセになること
毎日続けるには、鍵があります。
簡単に出来ること、クセ(習慣)になること、快適であること。 味覚や嗅覚、視覚など、直接五感を刺激する食は特に、「快適であること」は大切です。決まり文句のように耳にする「美味しくなければ、続かない」という表現は、決まり文句になるだけあって、決して嘘ではないのです。
ひとが感じる「おいしい」は、味だけでなく香り(匂い)や見た目、舌触りといった食感によっても、評価が変わります。味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚といった五感と、自身の経験、印象に加え、体調や心理などの自身のその時の状態によって、「おいしい」と感じるかどうかが決まります。
新しい調味料のためだけに、食事のパターンが変わるのは非常に稀(まれ)です。
パスタやスープ、中華がゆやチンジャオロース、イエローカレーやナシゴレンなど、世界中の食文化がよりどりみどりの日本ではあるけれど、そのほとんどが、日本人の好みに合うように手が加えられている事実をご存知ですか。手軽に海外に旅ができるようになり、本場を味をと食べ歩いた数日後には、無意識に「日本食」を探して歩いた経験をお持ちの方も少なくないはずです。
ハーブや油の量を減らしたり、日本人好みの素材の味を生かしたりと工夫を凝らした挙句に、最後には醤油やみそなどの日本の伝統調味料を少し加えただけで、評価がぐんと高くなったと苦笑いする料理店も少なくないように、子どもの頃から味覚を養ってきた味が及ぼす影響は、決して小さくはないようです。
食べ物と私たちの「気を張らなくてもいい」関係を支えるキーワードは、「流行だから」ではなく、「身体に良いと云われたから」でもなく、「おいしい」から。
人間の味覚に、理屈はありません。
「私」が、美味しいと感じるか、美味しくないと感じるか。
ただ、それだけです。
おいしいと感じる味を。そして、なおかつ、日本人の食生活に欠かせない味に、普段の料理に、まるで今まであったかのように「すーうっ」と違和感なく馴染む味を。
美味しい、だから食卓から外せない。
残るものを決める鍵は、結局「自分の舌に合うかどうか」に集約されます。
和食と相性の良い麻の実油(ヘンプシードオイル)、見つけました!
不飽和脂肪酸を含む油が、注目の的です。
私たちの体内で作り出せないと云われるオメガ3を含む油は、食事で補うようにと騒ぐ世間に、エゴマ油を筆頭に、「インカインチ」で知られるサチャインチ油や亜麻仁油、ヘンプシードオイルなど、マーケットは今やよりどりみどりの花盛り。
どれほど身体に良くても、続かなくては意味がありません。
かといって、クセのある油に合うように食生活を変えるのは非現実的です。
いくらライフスタイルが変わったと云っても、日本人の食事の基本は味噌に醤油。 伝統的な和の風味を生かした食事であることは変わりません。
どれほど身体に良くても、続かなくては意味がありません。
かといって、クセのある油に合うように食生活を変えるのは非現実的です。
いくらライフスタイルが変わったと云っても、日本人の食事の基本は味噌に醤油。
伝統的な和の風味を生かした食事であることは変わりません。
身体にも良くて、クセが少なく、かつ私たちの食生活にあった味を求めた油巡りの旅の果てに、ようやく出会ったこの麻の実油は、油の概念を覆すものでした。まるで麻の実のジュースと云っても過言ではない、新鮮な果実をその場で絞ったような新鮮な味わいです。
原材料には、カナダで有機栽培された麻の実だけを使い、現地の有機認証工場で生のまま低温で圧搾しています。絞った油は静置沈殿し、不純物を取り除いた後、加熱せずに特殊なボトルに充填しました。
油の風味を変化させる要因のひとつが酸素。酸化による風味の変化は、質の変化そのものといっても過言ではありません。ご紹介がはじまった2016年当初は、亜麻仁油で長い実績のある紫外線カット率99.8%(※)を誇る特殊コーティングを施した特別注文品のボトルに充填していましたが、2017年には開封されたあとの味の変化により注目し、注ぎ口に特殊な構造のキャップを使用したボトルに変更しました。
ボトル変更の後も、カナダでの圧搾時と輸入後、輸入後に複数年経過したのちの味の変化などを検証し続けた結果、前回の変更から3年が過ぎた2020年、再び旧仕様の黒のボトルへ戻しました。お客様からのお声を集める中で、麻の実油が、味が極端に変化する前に使い切れる使い勝手の良い油であり、開封後の味の変化よりも、より輸送時に着目したほうがよい品質の油をお届けできるのではないかと判断した結果です。
私たちは造り手との対話が、お客様との対話と同じくらい大切なものだと考えています。本麻の実油に関しても、例外ではありません。輸入品であるからこその難しさもあり、輸入元である日本インベストさまと弊社がともに認めた味を、なるべく品質を保ったまま日本へ届けるには、どんな工夫をすれば良いか、日本のお客様の手元に届いたのちにその味を保持し続けるにはどうしたらいいのか、検証を続け、意見を交換し続けています。
単なる製品の輸出入では終わらない、情熱と自信を共有できる信頼関係に基づいたパートナシップが、プレマシャンティ麻の実油の新鮮な味わいを支えています。
※ボトルメーカー実験データに基づく カナダでは有機認証を取得していますが、日本の有機JASの認証は受けていません。
プレマシャンティがお届けするのは、信頼と味。
ご紹介する私たちが、「これは素敵」と確信を得ない限りはご紹介していません。それは、味や品質だけではありません。数値やデータだけでは見て取ることができない、作り手によって注がれた命こそが、それぞれの作品の価値を生み出しています。
だからこそ、ひとつの作品を世に送り出すまでに、作り手がどれだけ想いを込め、願いを込めたかを大切にします。
作り手を訪ねて
カナダ Gold Top Organics(ゴールドトップオーガニックス)
日本から約8,000キロ、飛行機でバンクーバーまで9時間、そこからさらに2時間、空の旅を続けた先。ヘンプシードオイルを搾汁する工場は、カナダアルバータ州のエドモントン近郊にあります。エドモントンは州都ではありますが、この名には親しみが無くても、カルガリーであれば聞き覚えのある方も少なくないかもしれません。
1988年冬季オリンピックが開催されたカルガリーは、アルバータ州の都市のひとつで、エドモントンの南、約200キロ離れた場所に位置します。日本の約1.7倍の面積(38万平方キロ弱)を誇るアルバータ州は、カナダでも2番目に面積の広い州として、カナダ西部、ロッキー山脈の東麓に位置しており、農耕に適した平野部に恵まれると同時に、豊富な森林資源をもつ世界的な小麦や大麦の産地として知られてきました。
第二次大戦後からは石油の採掘がはじまり、天然資源の宝庫として知られるようになっただけあり、エドモントン近郊を車で走ると、広大な平野のいたるところでキリンのような形のオイル掘削機が上下しています。
Gold Top Organics(ゴールドトップオーガニックス)
エドモントン中心部から、平原の真ん中を淡々と、車で1時間強。都市部とショッピングセンターなどが点在する周辺部を抜けて走り続けると、アルバータ州が誇る穀倉地帯のほんの先端に、足を踏み入れることができます。
自分たちが走る先が、すうっと狭まり点になるのが見えるほど、凹凸もカーブもない道の左右には、枯草色の平原と密度の濃い林が広がります。
地平線から顔を出す太陽と、反対側に沈む太陽で、毎日の日照時間が体感できてしまいそうな平原のど真ん中にあるのが「ゴールドトップオーガニック」社です。周囲の平たさと広がりに勘違いしそうになりますが、建物の規模としては決して小さいものではありません。
超大型のトラックが横付けしても、それすら小さく見えそうな工場は、2015年に道路側に工場に隣接するよう増設した倉庫と、搾油の原料となるカナダ有機認証のアマニ(フラックス)や、同じく有機認証を受けたヘンプシードを蓄えるサイロを数本備えています。
この土地は、彼女の父親のもの。大昔に彼女の父親が買い取って、持っていた土地を、今こうやって使わせてもらっています。今、ここで仕事が出来るのは、すべて彼女の父親のお蔭です。
工場からオッパーマン氏家族が暮らす家までは、徒歩で数分の「目と鼻の先」です。自宅の庭に、工場が建っているとも云えるかもしれません。周囲をぐるりと見渡しても、家と呼べそうなものはご自宅だけ。
茶色く枯れた草原と林が、ただただ広がるばかりです。これが全て、私有地だというのだから驚きです。工場の裏手、道路と反対側に広がる土地もまた、自宅の裏手に広がる「庭」の一部。そしてこれを有機認証の亜麻仁畑にし、農業までやってしまおうと準備を進めておられます。
あと2年。あと2年でこの土地が有機認証を得られるので、そうしたら今度は、ここで育てたものを油に搾ります。自分で育てたものを、自分で搾って商品にすることができたら、本当の意味で『僕の商品』づくりが出来ます。
我々のもつ「庭」の規模感を超越した、巨大な土地の広がりを想像頂けるでしょうか。
工場からは自宅が見え、また自宅からも工場が見えるという、ある意味恵まれた環境ではあるものの、工場の中にはなぜか、寝泊りできるように設備が整えられています。
一度搾油が始まると、1ロット分を搾り終わるまでに24時間以上かかります。熱がかからないようゆっくりと搾汁しますが、それでも油にこもった微量の熱が積みかさなり、全体の温度が上がってしまうことがあるので、その場を離れることができません。
この工場の主力商品は、亜麻仁油(フラックス・オイル)です。亜麻仁油(フラックスオイル)の需要が年々高くなっている今、欧米の消費に追いつくために、製造力を上げている工場も少なくないそうですが、
生産効率を上げようと、搾る速度を上げているところも、この近所には沢山あります。絞る速度を上げると、油の温度が高くなります。近くで一度、温度が高くなりすぎて、槽(そう)から噴き出したところがあるんです。
と、オッパーマン氏。もともと几帳面で、生真面目な性格からか、搾汁が始まると時間を問わず「見ていないと落ち着かない」彼ですが、それ以来は特に、搾油が始まると、工場に寝泊りをしているのだそうです。
その亜麻仁(フラックス)以上に時間がかかるのが、ヘンプ(麻の実)です。更に丁寧に、更にゆっくりと搾汁しないと、良い油にはなりません。近年、注目を集め始めているヘンプですから、商品を求める声も増えてきているようですが、新規の取引に安易に飛びつくような彼ではありません。
今のやり方を変える気はありません。欲しいと声をかけてくれるひとが多いのは、とても嬉しいことです。でもそれは、僕たちが生み出す今の品質があってのこと。これを保てないなら、商品として売る価値はありません。
同工場を運営するのは、オーナーであるオッパーマン氏と、数人の従業員です。工場は外側から見る規模の割に、内側にある設備は簡素なものです。面積のほとんどは、出荷を待つ商品や、空の瓶などの包装材。この工場の心臓部とも云える搾油機械は、事務所を抜け工場に入った突き当り、奥まった一角にひっそりとあるだけです。
サイロからそこに繋がる輸送管(亜麻仁やヘンプを送る管)で、それが搾油設備だとわかります。自分よりも1.5倍ほどの深さがある搾汁済み油の静置槽と、絞りかすを入れる桶は近くに寄って見せて頂けましたが、中二階に設置された機械の周辺は、完全に立ち入り禁止。傍に寄ることすら許して頂けませんでした。
この装置は、オッパーマン氏と機械工場の技師が、何年もの時間と莫大な資産を費やして作り上げたもの。決して簡単に真似ができるものではないけれど、「これが油の品質を作り出している鍵だから」残念だけれど、公開は出来ないと云われました。
この会社は、誰から融資を受けるでもなく、助成金を得るでもなく、自分たちで資金を貯めながら少しずつやってきているから、何をするにも長い時間がかかっています。資金さえあればと思うことがなかったと云えば嘘だけれど、お金を借りるということは、それだけ相手に発言権を与えることになってしまいます。僕が、僕たちが、こうやろうと知恵を寄せ合って進もうとしても、発言権の強いひとが一人いれば、あっという間に方向性が変わってしまう。僕は、僕の考えるようにものがつくりたいんです。多少時間がかかっても、ひとつひとつ堅実に積み重ねています。
秘密、といいながらも、搾油設備の見せてもいいところだけ、をオッパーマン氏が自ら撮影してくださいました。(あくまでも表に公開しないこと、を約束したうえで頂いていますので、ご興味のある方は京都三条か太秦のお店にお越しください。)
販売する相手も同じです。自分たちが顔を合わせて、この人たちなら一緒にやれると確信を持てる相手にしか、僕の商品を預けません。
ここを訪れる「パートナー」たちのために、自宅にはゲストルームが設置されています。広々とした会議まで出来そうな巨大なお部屋です。やってきた人たちには、ここでゆっくりとくつろいでもらいたい、そして一緒に仕事をして、思う存分交流したいと考えておられます。工場から市街地まで車で1時間程度の距離があるため、何度も来るのは大変だろうというオッパーマン氏の気づかいです。
ご招待頂いた夕食の席では
奥様のアンさんが、ご主人自慢のフラックスやヘンプ油を使った手料理の数々でもてなしてくださいました。
カナダといえば、サーモン。大きな切り身は、塩コショウしてハーブを乗せ、オーブンで焼いただけのもの。最後に少量の油をかけるだけで、風味が増します。くどくないので、多少大きな切り身を食べても、胃にもたれません。
またしゃきしゃきとした生野菜のサラダには、ヘンプオイルを使ったドレッシングを。こちらも塩と少量のお酢をかけただけ、というシンプルなものでした。
「私が使うのは、お塩くらい。お塩に彼のフラックスやヘンプのオイルを合わせれば、大体のものは美味しく仕上がります。」
それを横で聞いていたオッパーマン氏の表情が、瞬間、ふっと緩んだのがわかりました。
「次に来た時は、ぜひここに泊まってください」と、奥様のアンさん。
「美味しいビールがあるから、もっとゆっくりしないともったいないでしょう?」
食卓から見える「未来の有機圃場」を、草をはみながら2頭の鹿が歩いていきます。まだまだ沢山の自然に恵まれた、世界の穀物庫「カナダ」。ゆったりとした時間の流れの中でも、彼らは確実に変わりつつあります。
次の作物を求めて
カナダでも有数の農業州であるアルバータでは小麦や大麦、オーツ麦、ライ麦、キャノーラ(菜種)などが栽培され、歴史的にもその多くは国外に輸出されてきました。しかしながら、世界的にみても、先進国における農業を取り巻く環境に大きな違いはありません。
世界的にも需要の高い穀物類は、買い手もより安価な供給者を求めるため、多くの地域で栽培が進み、より安価で、折り合いがつく程度の品質の生産物を供給できるところへと需要が流れます。付加価値がないものは、市場の原理に従うしかありません。
主な収入源となる農作物の価格の下落、乱高下が続き、買取価格の安定した作物を求めて、フラックスの栽培が推奨されたものの、年に一度しか収穫のできないフラックスは、気象などの影響によって、収穫の見込めない年もあります。
付加価値を求めて、国を挙げて有機栽培への転換を促進しているカナダですが、並行して導入を始めたのがヘンプです。
ヘンプは昔から生活に密着した植物でした。
茎は布やロープなどの繊維製品の原料に使われ、実は食用だけでなく、スキンケアにも使える無駄のない植物として、世界各地で人々の生活に密接にかかわってきました。
日本もまた例外ではなく、米と同じくらい作付面積のある農産物だったといいます。しかしながら第二次世界大戦後、麻薬成分を含むとして、GHQ占領施策のひとつとして、日本でも大麻取締法が施行され、栽培が禁止されてしまいます。
- 1930年代後半アメリカでは栽培が禁止、その煽りをうけ、陸続きのカナダでも栽培が禁止されました
- 1990年~カナダは、自国を取り巻く農業環境の変化に合わせ、再びヘンプの有効性に着目
- 1998年産業用大麻の栽培を合法化しました
ヘンプは3~4か月ほどで収穫にまで至る、非常に成長の早い植物です。雪深い地域の多いカナダでも、年に3回の収穫が見込めるため、生活が年に一度の収穫に依存するということがありません。
また連作を嫌わないと云われているので、同じ圃場で栽培が続けられます。病害虫にも強い性質をもち、降雨量の少ない乾燥した土地や栄養の乏しい痩せた土地でも育ちやすいため、有機栽培にも高い適性を示します。
ここにも、ヘンプが使われています。
オッパーマン氏が指をさす先には、ぴかぴかと光る床がありました。ゴールドトップオーガニックの工場を新設する際に、注目したのがヘンプ材です。
リノリウムは亜麻仁油や石灰岩、ジュートなどの天然素材を組み合わせ製造される建材です。塩化ビニールの建材と比較すると、価格も高く耐久性も弱いのですが、程度な弾力があり抗菌性に優れていること、近年、環境への配慮やシックハウス症候群の増加から、石油合成素材を使わないリノリウムのような建材が再び注目を集めています。
「このリノリウムは、ジュート繊維の代わりにヘンプ繊維を使用しています。焼却しても石油由来の建材のような有害物質がでないし、商品によっては埋めれば微生物に分解されて土に還るものもあります。」
事務所の奥からリノリウム材のカタログを引っ張り出して、ひとつひとつ指さしながらオッパーマン氏が「ヘンプがいかに有用で、環境に適した素材か」を説明してくださいました。工業用に栽培されるヘンプは、繊維は建築用資材や自動車の内装材、製紙原料に、ガラは燃料に、実は飼料や食料、化粧オイルに、油を搾ったあとの絞りかすは家畜の飼料に、更に花穂は医療用原料にと、まさに捨てるところのない植物。
カナダ国内の栽培面積は年々拡大しており、ゴールドトップオーガニックのあるアルバータ州でも、亜麻仁と並ぶ主要な農産物になりつつあります。
過去と未来を繋ぐ植物、ヘンプ
次世代の期待高まる、可能性を求めて
2016年3月に西海岸で開催された北米最大規模の健康、エコ、オーガニック関連商品の展示会「ナチュラルプロダクトエ20162016年はヘンプの実を使ったシリアルやプロテインバー、油などの多くの食品が紹介されています。
ナチュラルプロダクトエキスポとは
年2回、冬と夏に、西海岸か東海岸の持ち回りで開催されます。多くの流行がハリウッドから始まるように、北米大陸は往々にして「健康」や「美容」の発信源になっています。特にアメリカ合衆国は、サプリメントなど身体に良いと云われるものが次から次へと登場し、他の国への影響力も決して弱くはありません。
新しい発見や開発商品を紹介する展示会も頻繁に開催されていますが、健康志向の非常に高いひとたちが最も注目している展示会が「ナチュラルプロダクトエキスポ」であり、全米最大のナチュラルスーパーと云われる「Whole Foods」や、旧躍進を続ける「Trader Joe’s」などをはじめとした大手のバイヤーや、プレスなどが顔を揃えます。
ここ数年、ナチュラル食品業界で、注目を集めてきたのが「健康的なたんぱく質」でしたが、2016年もこの傾向は変わらず、肉や魚介、卵などの動物性蛋白源に代わる植物性プロテイン(たんぱく質)を扱う企業が少なくありませんでした。その中で、食品としてもまたサプリメントとしても、来場者の注目を特に集めていたのが「ヘンプ」です。
ヘンプの実は良質な油脂とタンパク質を含み、チアシードと比べ炭水化物の含有量が少ない理想的な食品です。しかしながら、ある種の麻がもつ酩酊成分(THC:Tetrahydrocannabinol テトラハイドロカンナビノール)やマリファナが合法化されている州や国は決して多くはありません。
研究が進むにつれTHCに対する考え方も変わりつつあるものの、ヘンプが主流の栽培植物となるにはまだしばらく時間を要するのではないかと云われていますが、それでも様々な気候帯で栽培が出来、環境への負荷が少なく、安定し、継続した供給が見込める植物性タンパク源としてのヘンプには期待が寄せられています。
ガンマリノレイン酸含有、希少な食用植物油
近年、特に注目されているのがオメガスリーです。α(アルファ)リノレイン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などに代表されるオメガ3(スリー)系脂肪酸で、特にαリノレイン酸は、私たちの体内でEPAやDHAに変換されます。その一方で、「摂取のし過ぎ」と云われて嫌煙されているのが、オメガ6(シックス)系脂肪酸です。
野菜や穀物、海藻、魚介を中心とした伝統的な日本食から、肉や油を多く用いた食事に主軸が動いた現代の日本人の食生活では、オメガシックスが過剰に摂取されていると云われます。牛肉や豚肉、鶏肉も、オメガシックス系脂肪酸を含んでいます。またコーンやサフラワーなどの油や、精製され安価で多用されやすい油、トランス脂肪酸を含んだ油を含んだ食品が、日々、食卓のあちらこちらに潜んでいます。
2016年現在の日本では、トランス脂肪酸に対する規制が欧米に比べ甘いため、揚げ菓子や冷凍食品などの加工食品は、健康に敏感なひとたちにとっては、まだまだ安心して食せるものではありません。近代的な西洋風な食生活を続ける以上は、オメガ3系脂肪酸を含んだ油を意識する必要があります。しかし、だからと云って、オメガ6系脂肪酸が悪いという訳ではありません。
リノール酸が出発点であるオメガ6系脂肪酸は、体内に入るとガンマリノレイン酸(GLA)に変換され、ジホモガンマリノレイン酸(DGLA)に変わり、アラキドン酸に変換されます。炎症性の誘導物質を発するアラキドン酸が諸悪の根源と考えられているため、オメガ6脂肪酸を避けるよう云われるものの、ジホモガンマリノレイン酸は、抗炎症作用の働きに欠かせないプロスタグランジンE1を体内で生成する原料になります。
もしオメガ6系の油を控え、オメガ3系の油を積極的に摂取しているにも関わらず、変化を感じない方がいるとしたら、もしかすとジホモガンマリノレイン酸が欠乏している可能性も考えられます。そしてそれは、あなたの体内に、リノール酸をガンマリノレイン酸に変換する酵素が欠損していることが原因かもしれないとも考えられます。
ガンマリノレイン酸を含有している天然の油は希少
ガンマリノレイン酸の含有量が高いといわれる月見草油(イブニングプリムローズオイル)やカシス種子油、ポラージ種子油(スターフラワーオイル)は、サプリメントとして認知されています。
どれも少量しか取れないため高価で、また独特な香りが強いため、一般的に食されていません。これらの油に対して、含有量は低いものの、ガンマリノレイン酸を含んでいる油が、ヘンプシード油です。
ヘンプシードオイルは、オメガスリーとオメガシックス(ガンマリノレイン酸)の両方を含有しています。ナッツのような香ばしい香りと、さらっとした舌触りは、クセも少なくお料理にも馴染みやすいのが特徴です。他のオメガスリー脂肪酸の油と同じく、熱には弱いので、高品質のオリーブ油のようにパンにつけたり、毎朝のスムージーやスープに加えてお召し上がりください。
特定の栄養素を凝縮したサプリメントも時には有効ですが、日々の食事から、身体が必要な栄養素を取り込むのが本来の自然の姿です。味という一番重要な点からも、今までの食習慣を変えることなく、取り入れやすいヘンプシードオイルは、環境循環型の社会を築くうえでも、また私たちの未来を繋ぐうえでも、今後欠かせないものになっていく可能性を秘めています。