福岡県遠賀より 無肥料自然栽培のお米 筋田さん作 遠賀のひかり
農薬も化学肥料も、田植え後は有機肥料も使わず、無肥料自然栽培で大切に育まれた九州産の貴重なお米です。
農薬と化学肥料を使わず24年、肥料も使わず10年以上。
中川が唸った“THE 穀物”の風味。
体においしいお米の感動をぜひご体感ください。
安心・安全なお米を求め九州を走り回っていた中川が福岡で出会ったのは、
「その辺の栄養過多な玄米とはまったく違う」という筋田(すじた)さんのお米。
「無肥料自然栽培故に小粒、しかし、穀物の王様のとしての風格のある、
栄養過多な現代人に迎合しない、粒身のある、さらりとした食感」
「うまみの価値観を甘さにおく人には理解できない野性味、滋味」
「これはうまいです。もう有機の玄米には戻れないかも」
中川が絶賛した無肥料自然栽培ならではのパワーあふれるお米のご紹介です。
筋田さんは引き算をして無肥料自然栽培にいきついたナチュラリスト
福岡県遠賀(おんが)郡で無肥料自然栽培によるお米の栽培を行っている筋田靖之さん。有機農法という言葉すら認知度の低かった1980年代、農薬や化学肥料、過剰な有機肥料が環境に害を及ぼすことを知り、農薬・化学肥料・有機肥料・・・と、いらないと感じたものを少しずつ引いていくうちに、現在の無肥料自然栽培にたどり着きました。余分なものを与えないといけないような収量は望むべきではないという姿勢で、稲の育つ様子を観察し、田んぼの地力を感じ、先人の声に耳を傾け、農薬や化学肥料を使わないことはもちろん、田植え後は有機肥料も使わず、工夫を重ね挑戦を続けています。その裏ではまったくといって収入のないときもあったそうですが、意地もあり、自分の田んぼには農薬も化学肥料も入れたくないと、頑張ってきました。「収入のないときも、農家だったから食べるものがあったし、その頃は子どももちいさかったからなんとかやれたんだな~」と当時を振り返ります。
さらに筋田さんは、緑豊かで多様な生物の息づく美しい環境を未来の子どもたちに残していきたいと、子どもたちや地域の人たちと一緒に活動をしたり、農業体験の学校を主催したりしています。その道のりについてお話を聞きました。
筋田さんのお話
先輩の言葉で無化学肥料に
最初は、窒素肥料を使う増収の農法をやってみました。尿素を注射して回る農法なのですが、地元の遠賀郡では収量がトップになりました。でも5~6年すると、窒素過多になって実入りだけよくなって倒れてしまう。それで、一度注射するのを止めてみようと思いました。足りなければ窒素を混ぜて穂肥(※1)をやればいいかと思って。試してみると、窒素をやらなくても窒素が効いたような育ち方でした。結局 、穂肥もなにもやらずに済みました。そして元肥(※2)としても穂肥としても窒素は入れないようになったんです。化学肥料は全く使わなくなりました。でも、リン酸はいるかな・・・と思って骨粉を使っていたのですが、有機農法の先輩に 「土の中にはもともとリン酸固定されたものがあるから、やらなくても植物が土の中で探して根を伸ばして自分で吸収するよ」といわれ、そんなものかな~と思って、恐る恐る止めてみたら何も変わらなかった。それからは有機肥料も使わなくなりました。 栽培方法としては有機肥料を使わなくなって20年になります。
(※1)穂肥・・・稲穂の赤ちゃん(幼穂)が1センチになるかならないかのタイミングでお米がよく実るよう肥料を適量入れること。
(※2)元肥・・・稲がよく育つよう、田植え前の土にあらかじめ肥料を入れておくこと。
減農薬から合鴨農法へ
福岡では地域で古くから減農薬に取り組んでいて、その頃、自分たちのところにも減農薬運動が広がりつつありました。そこで、農協青年部に入っていた仲間と一緒に減農薬に取り組みました。30年ほど前に福岡で減農薬運動を推進していた農業改良普及員の方が雑誌に「農薬を振るから秋ウンカ(※3)が暴れるんだ」とおっしゃっていた。へぇ~そうなんだ、と思ってとりあえず農薬は使わずに、もしウンカが入ったら薬をかけようと思っていたら結局農薬を使わないでいけたんです。
それでも除草剤だけは使っていたのですが、その頃所属していた有機農業の研究会にいる人たちは本当に熱心で、環境に対しての意識も高かったので、その影響を受け除草剤も使わなくなりました。でも田んぼの草取りは本当に大変で、苦労しました。そこで合鴨農法を教えてもらい、取り組みました。福岡の合鴨農法の会長も務め、普及にも力を入れました。
合鴨は入れるタイミングを計らなければいけませんし、適期までに合鴨が逃げないようにする網を全部の田圃に張るのはむずかしく、うまく使うのはなかなか難しかったですね。
(※3)ウンカ・・・稲の害虫。
農薬、化学肥料を使わず24年、さらに無肥料で10年以上
10年ほど前に地域で基盤整理がありました。その時は自分の田んぼの三分の一位が他の方の田んぼと入れ替わってしまうために、その後数年間は農薬も化学肥料も使っていない米として胸を張って提供できなくなると思い、他に農地を購入しました。長年の試行錯誤でやってきた土づくりがゼロからのスタートになり、その当時は子供たちの教育費もかかっているころで経済的には大変苦労しました。
草対策で合鴨を入れていたわけですが、基盤整理により水の管理が自在になり、抑草の為に一定以上に水の深さを保つ事が出来るようにもなりました。また、ジャンボタニシが広がって草を食べてくれるようになって草の苦労も少なくなり、今では、合鴨もやめ、わずかではありますが与えた餌が糞となって入っていた有機質も入らなくなって10年以上になります。
(子どもたちや町の皆さんに喜んでいただけるので、一面だけは三年前まで合鴨を入れていました)
農薬・化学肥料、さらには田植え後の有機肥料さえ使わないようになって、稲の豪快な育ち方を一つの基準にしています。工夫に工夫を重ね、特に苗の作り方、苗の植え方には独自のこだわりがあります。稲が自分の力で強く逞しく豪快に育っていれば、虫食いや病気にも負けません。慣行農法と収穫量の差はほとんどなく、少なくても一割減、慣行農法の田んぼで病気が流行ったときでも、無肥料自然栽培の稲は病気に強いので、慣行農法に比べて収穫量は一割増ぐらいになることもあります。
稲作りは「苗半作」筋田さんのお米作り
田植え前、5月の豪快な田んぼ
稲作りは「苗半作」という言葉を大切にしている筋田さん。苗作りをていねいにすることが、丈夫で健康な稲作りにつながる、苗を健康で丈夫に育てることがとても大切なことなんです。苗箱にはもちろん肥料は入れません、代掻きした田んぼに苗を広げると、しばらくぐったりしていた苗も自力で土から栄養を吸収し、丈夫で力強い苗に育ちます。
5月、田植え前の筋田さんの田んぼを見た弊社代表の中川は、「筋田さんの田んぼの裏作は雑草、大切に育ててはるんや」と感嘆の声を上げました。裏作はしない、自然のままに草を育む。これが稲を植える田んぼの大事な栄養になるんです。
田植え前の準備
籾の比重を計るために塩水を作ります。しっかり卵が寝るとちょうどよい濃さ。
塩水に種籾を入れて沈んだものだけを使います。何種類か撒くお米のうち主力は、かがやくもっちり感で甘みのあるヒカリ新世紀と、きらめくふっくら感であっさりとした食感のヒノヒカリです。
薬は使わず、種を温湯(おんとう)消毒します。約63度で5分程つけてすぐに冷水にさらします。これで、いもち病菌や馬鹿苗病菌などを消毒。
段積(だんつみ)です。種まきをして根が下から出てくるまで4~5日待ちます。苗箱には肥料は一切入っていないので苗は苗床に広げてから自分の根を土中に伸ばし成長するための栄養を吸収します。
代掻き(しろかき)をして苗床作り。地味な作業ですが、この作業とここに苗を広げていくのが米作りでは一番大変だそう。水位管理などの関係で苗床は限られたところにしか作れないため、苗床にのみ油粕とカキガラ(有機石灰)をそれぞれ40kg入れます。ここ以外では、有機の肥料でさえ入れません。
段積していた苗を広げる苗広げの後、5日ほど覆いをかけます。すずめ除けと苗の育成に役立ちます。(写真は覆いをとるところ)
田植え直後の様子
こちらも筋田さんの米作りならでは。田植え直後の様子です。苗は「ほそーく」植えるのがポイント。普通は何株かまとめて植えますが筋田さんは苗を細く間隔を大きくあけて植えます。苗は簡単には肥料が手に入らないので、自分で根をのばしてしばらく肥料を探してまわります。それで稲は健康で丈夫な体になってくる。最後まで肥料をやらなくても自分でご飯を探してくるのです。
自分の力で育った稲は豪快に育ちます
田植えからしばらく経った頃の稲の様子。まだ畦(あぜ)の草の方が勢いがありますね。
「ほそーく」植えられた稲も、力強く根を張り、見事な黄金の稲穂をたわわに実らせます。
筋田さんの活動
周りにはエコファーマーの仲間たちの田んぼ
筋田さんは周囲の田んぼ、環境の整備などにも力を入れています。福岡県遠賀郡の高家地域で作る「高家の未来環境を守る会」の会長として、ご近所の稲作りをされている方々のエコファーマー認定のお手伝いをし、国の農地・水・環境保全向上事業の認可をとりました。周りのほとんどの田んぼには、農薬・化学肥料共に5割以上減の看板が立っています。
エコファーマーとは、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(持続農業法)」第4条に基づき、「持続性の高い農業生産方式の導入に関する計画」を都道府県知事に提出して、当該導入計画が適当である旨の認定を受けた農業者(認定農業者)の愛称名で、平成12年8月の「全国環境保全型農業推進会議(会長:熊沢喜久雄東京大学名誉教授)」に寄せられた応募の中から選ばれたものです。エコファーマーの認定の際は、農薬や化学肥料をどれだけ減らすかという事も問われ、仲間の認可は比較的スムーズにいったものの、自身の田んぼは既に農薬も化学肥料も全く使っていないため、減らすものがなく認可されるのに苦労したそうです。
近くにはビオトープも作られており、自然豊かなこの地域の環境をよくしよう、守っていこうという人々の熱意が感じられます。
子どもたちには自然を体験して欲しい
筋田さんはまた、「親子で学ぶ自然体験楽校」を自身の農園で主宰しています。自然体験楽校では2ヶ月に一度、田んぼの中にはいり、その生態系を学び、田植えや稲刈りなどの農作業を一緒にします。子どもたちとともにその親御さんにも自然の生態系に触れ、農業を体験し、楽しみながら環境の大切さや、ひいては食の安全にまで目を向けてほしいとの思いを持つ筋田さん。地域の地産地消プロジェクトに参加し、小学校では田んぼを含めた地域の生態系や環境の事を子どもたちに教えています。
肥料自然栽培のお米と他のお米との違い
肥料を投入しないで栽培する無肥料自然栽培(農薬も肥料も使わない栽培方法)のお米は、慣行農法や有機農法などで肥料をふんだんに与えたお米とは明らかな違いがあります。貴重なお米ですので、その違いをよくご理解いただいた上でご購入いただけると幸いです。
無肥料自然栽培のお米についてよくいわれること
米の粒が小さく、細長く感じることもある
玄米の香りが強い
玄米で食べると皮の繊維をほかの玄米より感じる
弾力を感じる、かたい
甘みが少なくあっさりしている
生命力の強さを感じる・・・など
※お米の種類、水加減や火加減、調理器具などによる違いも生じます。
スタッフが22年産「きらめき」を試食しました
山下
6時間お水につけて大王の圧力鍋で炊きました。 小粒ながらもっちりつややかな炊き上がりで、皮を感じたけど、白米より甘みがあっておいしかったです。
これまではどんなに工夫しても玄米には文句を言っていた子どもたちにお気に入りの紫蘇梅を 混ぜて食べさせたところ、パクパクとおいしそうに食べたので驚きました!私は普段あまりご飯を食べないのですが、少しだけ食べてみるつもりが、 「あと少しだけ」を三度も繰り返し、大碗で一膳以上食べて しまったかもしれません。
河原
生命あふれる田んぼのお米と比べると甘み控えめであっさりとしていて、おかずが進むご飯でした。
川崎
米粒が長細くてツヤがあまり無く パサッとした印象でしたが、甘味はほどほどであっさりした飽きのこない味でした。
坂井
圧力鍋で炊いている時にフタを開けたら一瞬すえたようなにおいがしましたが、炊きあがりの匂いも気にならず、粒は小さめでしたが とても美味しく炊けました。重たさもなく、ご飯だけで食べたくなるような味でした。
1歳半の息子に初めて玄米を食べさせましたが あっという間に完食したので、子どもにもおいしかったのだと思います。翌日お昼にレンジで温めて食べた時、美味しくなくて炊きあがりとの差に驚きましたが、その夜にレンジで温めたところ、森修焼の保存容器に入れていたからか、それほど味は落ちていませんでした。不思議です。
村上
お水に20時間ほどつけて厚手の鍋で炊きました。 あっさりして美味しかった。 炊飯器に移して翌日のお昼におにぎりにして食べてみたら、硬くなってなくてちょうどよい感じ。 時間が経っても美味しかったです。
山崎
もっちり感は控えめで甘み控えめの味でした。
田中
圧力鍋で炊きました。普段、玄米を食べないのですが普通のお米より香りが良く、味もおかずを邪魔しないで食べやすいと思いました。お弁当に入れてみたら、レンジで温めなくても美味しくいただけました。主人はプチプチした歯ごたえが良いと結構気に入ったみたいです。
お米の豆知識
代表的な栽培方法
慣行農法
一般的に行われている栽培方法で、農協などにより推奨されている農薬、化学肥料などを生産者の判断で使用します。例えば福岡県の場合慣行の基準とされているのは、普通期作の水稲で農薬は16回、化学肥料は1000㎡当たり7.25kgとなっています。
減農薬・減化学肥料
慣行とされているものよりも農薬と化学肥料の使用を少なく抑えた栽培方法です。よく『農薬5割減』などと表記されていますが、県などで認証されている場合は、農薬の散布回数と化学肥料の使用量が、その県の慣行基準とされているものからどのくらい少なく使用しているかを表示されています。
有機農法
農薬や化学肥料を使用しても、有機質肥料を使用して栽培したものを有機農法という事もありますが、有機JAS法では3年以上化学合成農薬・化学肥料・化学合成土壌改良材を使わないで、有機質肥料による土づくりを行った畑や田んぼで収穫された農産物を「有機農産物」といい、3年未満6ヶ月以上の場合は、「転換期間中有機農産物」といいます。
無肥料自然栽培
農薬や化学肥料を使わず、有機質の肥料もほとんど使わないで栽培する方法です。環境に与える影響も少なく、植物自体の持つ力を最大限に引き出すよう工夫された農法です。植物そのものが豪快で、お米の場合は概ね粒が小さく、あっさりとした味わいです。
品質表示について
このお米の品質表示ラベルには 、「未検査米」あるいは「産地未検査」という記載がされています。この「検査」は、希望する生産者が自発的に米の検査を受け、農産物検査法による農産物規格規定によって、産年・産地・品種銘柄・品位規格について農林水産大臣指定の登録検査機関によって証明されるものです。この検査を受けていないお米は、「未検査米」あるいは「産地未検査」と表示するよう定められています。ただし、この検査は農薬の使用や肥料の有無など栽培方法について証明するものではありませんので、「未検査米」と表示されているからといって、おいしくない、または安全性が劣るといったことではありません。
筋田さんのお米も「未検査米」ですが、たとえば、農家さんが自分や知人、友人のために作っているお米などは、この「未検査米」となる場合が大半です。よってこのお米は「農家さんのお裾分け」であり、農家さんが農林水産大臣からの検査を必要としていない米であるということになります。逆にいえば、たとえ農薬や化学肥料を大量に使ったとしても(いわゆる慣行農法)、検査さえ受ければ産年・産地・品種銘柄・品位規格を表示できるわけですから、本件「検査」は農薬や肥料の有無や、その質を証明するものではないことを充分ご理解ください。
「未検査米」「産地未検査」ですと、銘柄すら表示することができませんが、実際には特定の米を撒いて、育ち、収穫されてこの米となっています。よって、使った種の銘柄をお知りになりたい方は>>こちらから お問い合わせください。表示が可能な内容ではなく、実際に用いられた種の種類を掌握せずに販売しているわけではございませんので、併せてご安心ください。