ご質問ありがとうございます。オリーブオイルの朝倉です。
私の扱いますエキストラ・バージンオリーブオイル“オルチョ・サンニータ”のご説明の前に私がこの仕事を始めるまでの経緯をご説明したいと思います、長い文になりますが少しご辛抱いただきたいと思います。
私は料理研究家など大層なものではありません。元々自然食のケイタリングサービス
で調理の仕事をしておりまして退職後は千葉で有機農業を4年ほど経験しました。
ずっと料理は好きでおりましたが、おいしく、体にいいものならなおさらと自己流の
お料理を楽しみとしていました。
初めてイタリアを旅し現地の料理を知ると共に素材のすばらしさが印象的で、いつかイタリア料理の勉強をすると決めその後そういう機
会に恵まれ、一念発起で‘96~‘99までの三年間、アグリトゥリズモという農家が経
営する宿泊施設で働きながら(農業の手伝い・宿泊所の掃除やベットメイキング等)
そのアグリトゥリズモの農家の奥さんのつくる家庭料理を習いました。
料理の仕方や おいしさに感動すると共に、料理の要はオリーブオイルだということに気がつきまし
た。それからオリーブオイルの魅力にはまり栽培・製造、品質の見極めなど農家や製
造所を巡り、出版物を読み漁り、どんどんオリーブのことが自分なりに解明すると、
今までの日本にあったオリーブオイルは何だったんだろう、と思うようになりまし
た。その当時は今のように輸入オイルも粗悪なものも多くまた、色んな種類のものが
沢山出てもきた頃で、一般の方はこんなにも多くの種類の中からどのようにして一本
を選ぶのか、私が何も知らない立場の買う側に立ったとき、何をどう選んでいいか分
からないという状況でした。今もそれは変っていませんが、私はお客様においしいオ
リーブオイル、しかもこんな世の中です食の安全に敏感な方にも安心して食べていた
だけるようなオイルを自分で探して、消費者の方に分かりやすくオリーブオイルの食
べ方や手軽さ、体への有効性など普及していきたいと思うようになり、昨年5月より
販売を開始し今奮闘中です。
実際私はオーガニック認定されている製品をつくる農家 ・製油所も含めて40軒近く北から南まで歩き、この目で見てきましたが実際私の思
うような条件の製品を探すのは至難のわざでした。商品“オルチョ・サンニータ”と
出会うまでかなりの時間がかかってしまったのです。
ご質問にありました、他とどのように違うのか、ということをご説明しなければなり
ませんが、最終的に一番キーポイントとなること、それが味です。お客様の好み・嗜
好にあったものを皆さん選ばれるわけですから。私はこの味にもこだわり、どんな方
でも好んでいただけるようなマイルドタイプのものをと探しました。味ももちろん、
品質を決めるには収穫の時期と方法があります。これも完熟手前を手摘みで収穫する
のでこの時期にオリーブの有効成分、ポリフェノール値、ビタミンなどの微量成分が高い値となり、またこの時期収穫した独特のカロチノイドをたっぷり含んだ黄金色で
味がほのかに甘く、どんな素材にもあうオイルに仕上がっています。お醤油ともあわ
せることもOKです。 そして肝心なこと安全性です。認証を得ているといっても私はこの眼で見るまでは信
用しません。
最終的に作り手とのコミュニケーションで判断するのですが、オルチョ ・サンニータの製造者、ジョバンナさん一家は代々続くオリーブオイル農家で7ha
とオリーブ農家としては小規模です。彼らが栽培した果実のみをコールドプレス法と
いう熱を一切加えない昔ながらの圧搾法でしぼります。他の混ざり果実がなく、ビン
詰めまで一貫して彼らが行います。結局初出荷まで彼らと二年間を通じお付き合い
し、彼らのオリーブオイル作りのこだわりは他にはないと、オルチョ・サンニータを
扱うことに決めたのです。
輸入品だからこそ、顔の見える信頼関係の築ける生産者と 関わることは消費者にとって最大のサービスに繋がるのではと思います。
よくぞ聞いてくださいましたました。 オリーブオイルについては任せてください!!!
よくお客様に質問されるです。 色々なオリーブオイルの違いを。
厳密に分類すると、9種類に分けることが出来るのですが、 日本の食用オイルとしての基準からですと、
そのうちの3種の販売が認められています。
1,エキストラバージン・オリーブオイル
2,バージンオリーブオイル
3,オリーブオイル(又はピュア・オリーブオイル)
9種のオリーブオイルは何十種類という化学的分析、 また食品では珍しく官能検査というのがあり、
人が実際に味を見て香り、風味、味を判断します。 化学検査のうち最も重要、分類上大きな要素となるものに
酸化度があります。 これは全体の成分の70%を占めるオレイン酸が どれだけ酸化しているか数値で表すのです。
1,エキストラバージン・オリーブオイルは/オレイン酸100g中1.0%以下
2,バージンオリーブオイルは / 〃 100g中1.5%以下
その他のオイルは酸化度が大きく体に良くないので、 食用にすることは出来ないので
薬剤を使い精製します。(一般の食用サラダ油のように)
これにバージンオリーブオイルと混ぜてすこしオリーブの風味や味をつけたのが
3,オリーブオイル(又はピュア)と呼ばれます/オレイン酸100g中1.5%以下
ただこの3のオリーブオイルの精製油とバージンオイルの混合比の規格はありませ
ん。
(限りなく精製オイルに近いオリーブ油ということもありえます)
このように分類されますが、農家は自分の栽培するオリーブが全てエキストラバージン・オリーブオイルになることを望みます。
高く取引きできるからです。でも実際エキストラバージン・オリーブオイルに全てなることは出来ません。
私がいつも思いますのは、売る立場の方にもっとオリーブオイルについて知っていただきたいということ。
消費者の方が正しい知識を持ち、自分で選択するために 皆さんにもっと、勉強していただきたい(僭越ですが)
です。 もちろん、おいしい食べ方や調理の仕方もですけど、それは私にお任せください!!!
サンプルのご請求ありがとうございます。在庫なしのため、3月に新オイルが到着次第、
お送りさせていただきます。新オイルはよりフルーティで菜の花の香り一杯の それはすばらしい香りです。
どうぞお楽しみに。
昨年扱いました1999年産は/0.39% 今年の新モノ2000年産は/0.30%です。限りなくゼロに近いほど酸化度が低いので良いのですが、
この酸化度については一つトリックがあるのです。
果実が熟せばそれだけオイル分が含まれているわけで、オイルは水分に比べ酸化しやすい―お分かりですよね。
ですから熟せばそれだけ酸化度が大きくなりやすいのです。
トスカーナ産などのグリーンの濃いオイルをご存知ですか?あれは果実がまだ真っ青の熟す全然手前を収穫するのです。
これだと、オイル含有量が比較的少なく、もちろん酸化度も低く抑えられます。
早熟を収穫すればそれだけ酸化度は抑えられますから、一概に酸化度の高い低いでエキストラの良し悪しを
判断できないということです。メーカーによってはこの酸化度の低さを売り物にしているところもあります。
しかし、オイルの良し悪しは酸化度がすべてではないと私がこれまでオリーブについて見てきた結果
として皆さんに言えます。 それほど奥が深いのです。オルチョ・サンニータ(私の扱う商品)は、0.39、今年は0.30と
完熟一歩手前を収穫したものとして申し分無い数値であり、皆さんに安心しておすすめできます。
> このように分類されますが、農家は自分の栽培するオリーブが
> 全てエキストラバージン・オリーブオイルになることを望みます。
> 高く取引きできるからです。
> でも実際エキストラバージン・オリーブオイルに全てなることは出来ません。
> どうしてなんでしょう?
> えーどうしてなんですか?
色々な原因が考えられます。オリーブは日本の米のように秋に一斉に収穫するのですが(ごく一部を除く)
一斉に取るということで、かなりの人手を要するのです。一気にとらないとどんどん熟していって、酸化度が上がってしまう。
特に生の果実を熱をかけずにしぼるので(名目上は)果実の収穫時の質がもろにオイルに出てしまいます。
果実はデリケートでやわらかいので傷がつくと、もうそこから酸化が始まります。
●手摘みかそうでないか、や(オルチョは手摘み)
●収穫後の果実の処理(オルチョは遅くとも5時間以内に搾油します)
●搾油所内の衛生(不潔なところもたくさん見ました)
●オイルの保存法(オルチョはEU規定のステンレス容器を使用)また栽培過程でも質を左右します。
●天候/雨が多かったり、日照り、ヒョウの被害など
●土地柄/海に近いと湿った空気で害虫にやられやすいシチリアや南部でも特に夏の気温の高くなるところは害虫の発生が多い
また、なんと言っても
●オリーブバエの被害これはオリーブ果実に住みつきその中で卵を産み、収穫するまでに幼虫になります。
これをそのままオイルにしぼってしまうと、酸化度の増大、また 官能検査で即わかります。
(ちなみに素人では全然わかりません。私もエキストラでないバージンオイルをいくつも試飲しましたが、正直どう違うかわ
からないものが多かった) ・・・などなどです。
天候や気候風土等で生産者の努力だけではコントロールできぬことも多く、結局、そのような条件のところは時には予防のために
大量の農薬を撒くことになるのです。まとめると、オリーブ果実は非常にデリケートだということ。
これらこまごまとしたところをクリアするには 初めから、栽培に適した土地で栽培されたもの、
そして小さな農家が丁寧に栽培管理していること。私はこれらを前提にオルチョ・サンニータを
見つけてきたのです。
とにかく一連のシナリオ実行します。今週末より、オリーブ鑑定技能講座出席の為、
イタリアに行ってきます。帰国後直行で行くつもりです。新オイルが到着までの貴重な時間を
自分自身への肥やしをくべに行ってきます。常にホットなオリーブオイル情報をお伝えしていくつもりです。
どうぞお楽しみに。オルチョ・サンニータ2000年産は3月中旬以降にお届けできる予定です。
こちらの方もお楽しみに。
イタリア到着第一日目、夜8:00のTVメーンニュースは やはり狂牛病ニュースでした。
現地滞在中ほとんどあちこちで狂牛病話題で持ちきりです。なんてったって日本とは比べ物にならない
牛肉、他肉類の消費量です。問題となっているのが混合家畜用餌です。ニュースで再三言っているのは
1)屠殺後の廃棄物(特に骨髄など)よりつくられた粉末餌が全面使用禁止になったこと
2)屠殺後の肉は検品され、食肉用証明書が発行されなければ肉屋に卸せない
3)羊にも発病、イスラム圏での羊肉の高騰たまたま見た新聞には(駅の待合室で隣の人が読んでた)
豚も発病か???という見出しが出ていました。オルチョ・サンニータの生産者、ジョバンナさん家でも
この話題となります。
話はちょっとそれますが、イタリア特に南部では オーガニックなど食品の安全性には無頓着で、
有機栽培がなんだと、実際オーガニック製品は 一部の階層の人にしか認知されていないのです。
(はっきり言えばオーガニック製品は売れない!!!!)
これはイタリアが日本やアメリカのように食生活、食習慣がそれほど乱れていないこと、
農地が化学肥料、消毒によっての汚染が比較的小さいこと。そこそこに農産物がおいしいので
イタリア国民は、それに満足しきっている・・・実際、オーガニックの農産物を食べると
すばらしくおいしい。普通のものと違うのははっきりわかるのですが。 ジョバンナさん曰く、
この狂牛病によって食べ物の安全性についてイタリア国民一人一人が少しずつ認識しつつあるということ。
牛肉の話に戻ると、いかにニュースで証明書発行のことを言っていてもすべてが全て誰も信じていないと。
信頼のおける肉屋でしか恐くて買えないと。残念なことに闇ルートで流れてくるそのような肉もあるとの事。
じゃ酪農家はどうなってるんだと 昨年の森永事件のことを話したら、同じくとんでもないダメージを受けており、
ここ数年は莫大な損害を被るとのこと。私たち日本人も人事でないと。食べる側がいかに食べ物に近づき認知するかということ、
作る側も厚生省だか農水省だかが認めたものだからといって、認識せずに肥料や農薬を使うのでなく・・・・
ローマなど観光地のレストランからは牛肉のメニューが全面的になくなっている店もありました。
北イタリアではスローフード本部の推薦する2件のレストランに行きましたがそこにはちゃんと牛メニューがありました。
スローフード本部という信頼があってこそお客さんは安心して食べることができる。
きちんと育てられている牛もいるわけだからそういう酪農家がこの時期にあおりを食うこともなく
胸をはって供給できる、こんな時にこそ売り手と作り手、そして消費者との三つの
信頼関係は光り輝くのだなあと切に思ったのです。
>マクロではオリーブオイルは歓迎されていません
>身土不二に外れるからです
>私もその一人でした
>スイカの匂いのする熱い国の体を冷す油というイメージがありました (ある方からの個メールより)
実際、昨年営業活動をしていまして、厳格なマクロビオティクを推奨されているお店、
国産食材主義の方々、身土不二に基づいて、“オリーブオイルなど地球の裏側からきた食品を
なぜ食べなければならないのかと・・・”
私も基本的には農産物など地場のもの、調味料など安心できる国産のこだわりのものを
以前働いてたケイタリング612で自然食のことを知ってから そのように心がけてきました。
実際、そういう食材はおいしい!!!!!!!!!!特に野菜や調味料の質は全然違いますよね。
身土不二に話は戻りますが、実際、大変な病を患っている方、食養で病気を克服しようといている方にとって、
マクロビオティクの理念はすばらしいと思います。輸入食品は絶対ダメ!!!体を冷やす油!!!
とお考えの方々がいても当然と思います。私が言いたいのは、何が何でもオリーブオイル!!!
というのではなく、あくまでも嗜好品の一つとして、ニーズのあるお客様のいらっしゃるお店に是非
おいて頂きたいのです。今まで未知の食材オリーブオイルです。 マクロの方には怒られそうですけど、
本当に調味料として優れものです。
イタリアの家庭やレストランを見て実際にそう思ったのですが、自然塩と良いエキストラバージン・オリーブオイルが
組み合わさると、それだけで素材の旨みを引き出し、すばらしい一品になるのです。
マクロの人もそうでない人も(笑)一番大切なのは、食事を楽しむこと、だと私は思います。
おいしい食事を作る人がいて それを食べる家族、おいしいものは人を幸せにします。
病は気から、なんていったらまたマクロの人に怒られそうですが、おいしい食事、愛情こもった食事は
世界を救う!!!!(また大げさになってしまう・・・)
これから暖かくなって夏になるととまとやなす、ズッキーニなどの夏野菜がでてきますよ~
これらとオリーブオイルの相性は抜群です。今までの一品が見違えるようになります。
そういえば国産のオリーブオイルというのもありますよね。これはくせがなくてサラッとしてて実にいい。
オリーブオイル初心者の方や身土不二主義の方にも・・・国産のものもよいですが、
オルチョ・サンニータはもっとおいしい!!!!!!
> この狂牛病騒ぎの第一波は確か4年ほど前、
> 私がインドで暮らしていたときのことでした。
> 実は私インドのベナレス(ガンジス川の聖地)に小さなゲストハウスを経営してお
り
> まして、当時そこにはりつきで日本人の皆さんのお世話をさせていただいておりま
し
> た。
いきなりインドですかー中川さんのご経歴、一から知ったらこのMLじゃあ書ききれないんでしょうねえ。
> 朝倉さん、一連のここでのご投稿をうちのHPで全文掲載させてはいただけないで
しょ
> うか。間違いなくお客様の琴線に触れる商品になることと思います。
はい、もちろん。
> もののすごさに関わる人の愛情が加わって商品は完成するのだと思います。
> 本来付加価値とはこれに付けるべき言葉だと思うのですが、
> そうではない使い方をされていますよね。
> 私は本当の付加価値をお客様に提供したいと考えています。
商品と私との出会いなど一つのストーリーとして 皆さまにわかっていただければ
お客様も興味を引くのでは。特に顔の見える生産者ということなど・・・嬉しいです。
素直に、中川さんにこれほど評価していただいて、これまでやってきたこと、間違いでなかったんだな、
と確認すると共に、今後のこと、商品に対しても皆さんに提供していく情報など、
より確かなものを、末端のお客様に喜んでいただけるよう、 朝倉、身が引き締まる思いです。
今回はオリーブオイル鑑定技能講習の 講義内容から オリーブオイルを今取り扱っていらっしゃる方、
または興味のある方必見内容です。かなり長文ですがご辛抱を。
オリーブオイルは食品で唯一、官能検査が義務付けられています(EU内で)
前にもチラッと書きましたが、オリーブオイルを等級分けするために
1)化学的分析(酸化度など28項目)
2)官能検査 があります。
官能検査は検査員が実際味を見て舌と目で 品質チェックします。ワインも同じくソムリエという存在がいて
実際味を見て、色々な言葉でワインのもつイメージ・味を表現します。ワインはそれこそ一人一人のソムリエが
それぞれ自分の言葉で表現しますが、オリーブオイルの場合ある程度ベースとなるフレーバーが決まっています。
というかワインほどバリエーションがないというか・・・しかしワインの場合はソムリエの評価によって
ワインを等級づけるということはありません。オリーブオイルの味・フレーバーの表現は下記のとおりです。
長所・・・苦み、酸み、甘味、辛味、アーティチョーク、アーモンド、りんご、草、フルーティ、生き生きとした、青いトマト
短所・・・金属っぽい、凍ったような、乾燥、ゴム、かび、塩漬け、煙、土、粗悪な、雑な、などなどです。
例えば○辛味・・・程よい辛味は良い油の条件ですが、 あまりきつすぎると、 早熟すぎる収穫、
また果実の欠点を隠すため 葉っぱを一緒に抽出している なども考えられます。
これらオイルのフレーバーは様々な 要因によりオイルに影響してきます。
1)もともと果実の品種が持つ性質 ―アーティチョークやアーモンドが典型的
2)栽培法、気候風土の地理的条件/農薬などの影響
3)収穫時期により ―未熟・早熟・適熟・完熟・過熟・腐敗、どの時期で収穫したか
4)抽出方法 ―冷圧搾法、全オートマティック、パーコレーション法
5)抽出時の衛生管理
6)抽出後のオイルの管理が主なものです。
官能検査員は主なフレーバーを数値で示し、最終的にそれぞれの等級に見合う分類分けをします。
このことからもオリーブオイルは 色々な要因が重なって 一つのオイルが出来上がり、複雑なフレーバーが
作り出されるのです。
例えばオルチョ・サンニータですが、完熟手前を収穫しているのでマイルドな甘味のあるオイルということ。
また、3種類の果実の品種をミックスして作られていますが一つはアーティチョークの花の香りを特徴としており、
もう一つは生のアーモンドの香りを特徴としています。(残りもう一つは他の二つほどフレーバーの強い特徴はない)
熱を加えず生のオリーブ果汁であるオリーブオイルはフレーバーも時間がたつと
他の加熱処理食用油に比べ変化が著しいのです。アーティチョークとアーモンドの香りのオルチョ・サンニータですが できたてはとてもフルーティでアーティチョークの
香りが強烈で、アーモンドがよくわかりません、時間がたつとフルーティさは薄れ
今度はアーモンドが際立ってくるのです。このようなカンジです。
ここで一つ大切なことは決して劣化してこうなる、ということではありません。
オリーブオイルは他の食用油と比べ非常に酸化に強く、安定しています。生のオイルであるにもかかわらずです。
開封しなければ2年は美味しく召し上がっていただけます。
(EU取り決め上1年8ヶ月が賞味期限)
ただ生であるので香り、フレーバーは徐々に変化している、ということです。これを知っていると、
一年中少しずつ変化するオリーブオイルにお気づきになると思います。また、生である為、他からの匂いなどを非常に
吸収しやすく、抽出後の管理が悪かったり、末端消費者に届くまでの管理、消費者のもとで管理がずさんだと、
たちまちフレーバーが変化、しいては劣化へと繋がります。
(ただ単に直射日光を避ける、空気になるべく触れぬようにする、これだけなのですが)
この講習を受けにきている人々は様々なのですが、もちろん講習を主催している団体は
分析用鑑定人の養成オリーブオイル文化の推進と宣伝も兼ねています。 実際ジャーナリストや飲食関係者も多くいました。
私が驚いたのは もう一つ鑑定人を必要とするのがオリーブオイルメーカーだということです。
スーパーなどで売っている大メーカーのオリーブオイルありますよね。私はいつも不思議に思っていたのですが
それらのラベルにはきちんとどこ産のオイルなのか表示がないのです。イタリア産ということだけで、
ちょっと見ただけではよくわかりません。というのもイタリアはスペインに並びオリーブオイルの
大生産国です。そしてまた、大量に外国から輸入もしています。イタリアで瓶詰めすれば中にどれだけ外国産が
混じっていようとイタリア産と表示することができるのです。
これら大メーカーは値段が均一でしかも色、味、フレーバーを 毎年いつもいつも一定にしなければならいため、
自分のとこで取れるオリーブとよそからのオリーブオイルを混合してつくるのが
当たり前なんだそうです。ギリシャやトルコ、モロッコ、チュニジアなどから主に輸入しています。
もちろん輸入してミックスして売るのが 良いとか悪いとか私は言うつもりはありません。
輸入品は安価なのでそれだけメリットがあります。
またイタリア内の一部で非常に特徴的なオリーブの品種を作っている地区が あります。
グリーンの色の鮮やかな、味も強烈なんですが、メーカーは自分の所の果実でしぼったオイルを
よりグリーンに、(グリーンのオイルこそ一番と思っている人がまだまだ大勢います)
品質の欠点を強烈な香りや味を持つその品種をミックスすることでカバーします。
その品種はミックス用に作られているといっても 過言ではありません。
このように、ミックスする時のテクニックこそ鑑定人の腕の見せ所なのです。大メーカーはより良い(!?)
イメージと味・香りをコントロールし、均一の製品を消費者に提供すつことを目的としているのです。
最後になりますがオイルの劣化や粗悪品を見分ける方法。 コーヒーやタバコ、その他強烈な匂い味の
あるものを食べる前、吸う前に・・・まず、新品のふたを開け、すぐに鼻に持っていき匂いをかぎます。
このかいだ匂いが不快だったらまず古いもの、劣悪品だとお思い下さい。そして賞味期限の記載に注意してください。
オリーブは秋に収穫されます。どんな熱い国でも早くても9月終わり頃収穫です。
オイルは早い方法だと30分で出来てしまうのでその後フィルターをかければすぐ製品になります。
ですから早くてそれから1年8ヵ月後翌々年5月末が賞味期限です。これを目安に逆算して製造年月日を
割り出してください。突拍子のない時期だったら、多分改ざんしていると考えられます。
とても長くなってしまいました。今日はこの辺で。
P.S 上に記載したオリーブオイルは全てエキストラバージン・オリーブオイルのことです
またアーティチョークの花の香り、はイメージできないと思います。私は日本風に菜の花の香りと表現しています。
アーティチョークはアザミの花にそっくりで、アブラナ科ではないのですが、香りが似ているので
そう表現しました。
今回はオルチョ・サンニータ、自然分離の為の“澱(おり)”についてのご説明です。
オルチョ・サンニータの特徴の一つであるオイルの最終工程である分離作業についてです。
オリーブオイルは圧搾し遠心分離により果実の水分と油分に分離後、バージンオイルが抽出されます。
これで通常、フィルターにかけすぐ製品になります。ですが、オルチョはフィルターにかけず3ヶ月の自然分離をして
初めて製品となります。
フィルターをかけると そのものの持つ有効成分やうまみが一緒に取られてしまうからと、
生産者、ジョバンナ氏は言います。通常、イタリア内で農家が自分でまたは直売するにあたり、
各家庭でタンクに貯蔵、自然分離させ、上澄みを使って(消費)していきます。この方がおいしいからといいます。
私もイタリアではビンに入ったものを買ったことはありませんでした。ほとんど農家に滞在していた為です。
売っている物はクリアーなフィルターをかけたものがほとんどです。フィルターにかけないのでデカンタという工程を
経なければなりません。これが自然分離です。縦2m直径1mほどの大きなタンクで
上澄みを取って別タンクに、上澄みを取って別タンクに(3回繰り返します)今年のオルチョは
完全に澱が下に沈殿していない状況でビン詰されたため各びんに多少、澱が残っているものがあります。
ビンの最後に出てくるにごったものはオリーブの果肉、つまり澱(おり)です。
今年はこのデカンタ工程があまくまた、沈殿近くのオイルがビン詰されたため、
に澱がみられると予想されます。
勿論この件、生産者ジョバンナ氏と話し合い、彼女曰く、澱は全く問題ないが、
異物と間違われるのは心配と。あくまでオリーブ果肉で、自然のものなので心配ないとのこと。
そのようなことで品質に影響はございませんのでお客様よりもしクレーム等ございましたら、
そのようにご説明いただきたくお願い申し上げます。
最後に一つ付け加えますとオリーブオイルの輸入も今年で2回目ちょっとしたことに
昨年と同じように(昨年が完璧だったという意味でなく)そして、均一に出来ないのが現状です。
これも自然のもの、化学処理やオートーメーション化した状況でなく全て人の手で
行っておりますのでこのような均一にするのは至難の技というのが現状である、というのが
正直なところです。生産者ジョバンナ氏一家も皆さんに喜んでいただけるよう私の一つ一つのクレームに
辛抱強く、耳を傾けてくれます。本当に感謝しており、これを一つ一つ解決しよりよい品を皆さま、お客様に提供していきたいと
存じます、どうぞ皆さまにもご理解いただきたいと存じます。
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