リバウンドなしで健康的に痩せるための「ダイエット特集」
体脂肪、栄養バランス、生活習慣病などが気になる方必見。豆知識満載!
ダイエットを決意してもなかなか継続できない。思うように痩せられない。
せっかく痩せても、体調を崩してしまったり、リバウンドしてしまったり…。
ダイエットにはさまざまな悩みがつきものですが、
いずれにしても、不健康な痩せ方では、せっかくのダイエットも報われません。
無理なく健康的に痩せられるよう、正しい知識を身に着けて、
ちょっとした意識と工夫を毎日の生活に取り入れながら、
自然な形でダイエットを実現しませんか。
ダイエットの基礎知識
そもそも健康的に痩せるってどういうこと?
正しい痩せ方ってどんな痩せ方?
よく、「正しい痩せ方」という言葉を聞きますね。
では、いったい「正しい痩せ方」とはどのようなものでしょうか。
みなさんは「隠れ肥満」という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。
たとえ標準体重であっても、あるいは体重が標準以下であっても、食べ過ぎや運動不足など体脂肪率が、正常値を超えた状態を「隠れ肥満」と言い、生活習慣病のもとになります。
体脂肪ってそもそも何?
体脂肪の役割
体脂肪とは、「体内に蓄積された脂肪」のことを言います。
体脂肪は、生きるためのエネルギー源になるだけではなく、細胞やホルモンの構成成分となり、ホルモンバランスの調整、体温維持、クッション材として体を守る衝撃吸収といった重要な役割も果たしています。
しかしながら、体脂肪が過剰になると、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病発症や悪化に大きく影響します。
一方で、体脂肪が極端に不足するのも問題です。皮膚や髪の毛などのつや・はりがなくなったり、ホルモン分泌の異常を招き、体調不良になったりすることがあります。
- 体脂肪の役割
- ●生きるためのエネルギー源(エネルギーの貯蓄)
●ホルモンバランスの調整
●体温維持
●体を守るクッション材(衝撃吸収)
脂肪の種類
脂肪は、内臓脂肪と皮下脂肪の2つに分けられます。
それぞれの特徴は、次の通りです。
健康的に効率よく体脂肪を減らすには?
Step 1 体脂肪は何から作られているのかを知る
体内に蓄積される脂肪は、脂肪分を食べることのみが原因ではありません。
脂肪分を作っているのは、3種類の栄養素、「炭水化物・脂質・たんぱく質」です。これらを含む栄養分を必要以上に摂取すると、消費されない余剰分が体内に蓄えられて脂肪となります。医学的には、「体重が重い=肥満」ではなく、「体の中に脂肪が多すぎる状態」を肥満と言います。
Step 2 自分の状態を把握する
自分の肥満度は、「体脂肪率」あるいは「BMI値」で確認することができます。まず自分の状態をしっかり把握するためにも定期的に測定することをおすすめします。
体脂肪率を測る
- 体脂肪率を計測できる体重計が市販で売られています。体脂肪計は、体内に微弱な電流を流し、「通電しない部分=体脂肪」を測定します。血液など水分が含まれている筋肉は電気を通しやすく、脂肪は電気を通しにくい性質を利用しています。
1)素足で測る。(通電箇所に皮膚が触れるほうが、誤差を防げるため)
2)空腹時がベスト。(起床直後は睡眠で水分が体外に出てしまっているので好ましくない)
3)姿勢を良く。(姿勢が悪いと通電に時間がかかり、誤差につながる)
4)毎日同じ時間に測定する。(一貫性を持たせて正確に変化を知るため)
BMIを計算する
- 「ボディマス指数(Body Mass Index)」とは、体重と身長の関係から算出した、人の肥満度を表す数値です。
国際的に有名な計算方法で、日本肥満学会などでも採用されています。この基準は、1999年にWHOで発表されていますが、18.5から25までが正常範囲とされています。
例) 身長170cm, 体重70kgの場合
70kg÷(1.70m×1.70m)=約24.2 この24.2がBMI数値です。
BMI値 | 肥満度 | |
---|---|---|
40以上 | 肥満度4 | BMI値が高いほど、生活習慣病のリスクが高まります。 食事と生活習慣を改めて、ダイエットをしましょう。 |
35~40未満 | 肥満度3 | |
30~35未満 | 肥満度2 | |
25~30未満 | 肥満度1 | |
18~25未満 | 標準 | 健康体型です。このままキープしましょう。 |
18以下 | やせ | 痩せすぎ傾向です。バランスの良い食事でもう少し、脂肪をつけましょう。 |
Step 3 「食事のコントロール」+「運動」をして体脂肪を燃焼させる
肥満の研究・治療の第一人者である大野誠先生(東京慈恵会医科大学)の著書、「図解 太りすぎは生活習慣チェックで治る」(主婦と生活社)には、『軽度肥満の男性を一か月間、減食のみで減量した群と減食に運動を併用した群に分けて減量経過を観察したところ、両群とも同程度の体重減少に成功しました。しかし、運動併用群では、LBMの減り方が少なく体脂肪が効果的に減少していることが明らかになりました。』と書かれています。
つまり、運動を併用したダイエットは、「除脂肪活性組織」(LBM=Lean Body Mas:骨や筋肉のことを示す医学的な専門用語)を減らさず、健康的かつ効果的に痩せられるということを示しています。
ポイントはバランスよく
痩せるための3本柱
健康的に痩せるためには、何か極端に偏るよりも、バランスよく、継続して行うことが大切です。
痩せるために意識すべきは「食事」「運動」「生活習慣」です。それぞれのポイントやその理由を正しく知ることは、リバウンドのない着実なダイエットにつながります。
食事編
食事をコントロールして着実なダイエット
世の中には、知っているだけで得することがたくさんあります。ダイエットを目的とした食生活に関する知識もその例外ではありません。身近な工夫や意識次第でダイエットの効果がずいぶん変わってきます。これからご紹介する内容に、難しいものは含まれていません。ただ、自分の中に、「なぜ、それが大切なのか、効果的なのか」が腑に落ちると、もう一歩踏み込んだ行動と継続につながり、着実なダイエットを成功させられるはずです。
規則正しいリズムで食事をしよう
~ダイエットによる基礎代謝の低下防止を意識して~
個人差はあるものの食事の基本は3食とることです。
1食抜いてしまうと、空腹時間が長くなり、次にとる食事でエネルギー吸収が必要以上に高まってしまうばかりか、その反動で食べ過ぎてしまい、肥満の原因を作ってしまいます。
また、注意すべきは、ダイエットにより、必要な栄養素も不足してしまうこと。特に、筋肉を構成するために必要なたんぱく質が不足すると、基礎代謝が低下してしまい、ダイエットには逆効果です。これは、筋肉が、基礎代謝を促進させる重要な役割を担っているためです。目安としては、1日に良質なタンパク質を約60g摂取するよう心がけましょう。
植物性タンパク質
食べる順番に気を付けよう
~血糖値を意識して~
従来のダイエットは、カロリーをコントロールするのが主流でしたが、近年の研究では、カロリーだけではなく、食事による血糖値の上昇が肥満と結びつくことがわかってきました。血糖値というと、糖尿病の人が管理するもの、というイメージがあるもしれませんが、実はダイエットをしたい人にとっても意識したほうがいいものなのです。
血糖値が急激、あるいは頻繁に上昇すると、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が過剰に分泌されます。そのインスリンは各細胞にエネルギー源として糖を送り込みます。細胞に糖が行き渡ってもまだ糖が残っている場合、インシュリンが残った糖を「脂肪細胞」に送り込み、その結果、脂肪を不必要に増加させてしまいます。また、インシュリンは、体脂肪の分解も抑制します。このような状態になることを避けるには、食事の順番を、前半に野菜、次に肉や魚などの主菜、後半に血糖値を上げやすい炭水化物(ご飯、麺など)の順にすることをおすすめします。
食品群をバランスよく食べよう
~「マ・ゴ・ワ・ヤ・サ・シ・イ」が合い言葉~
食品には主に、5大栄養素と呼ばれる「たんぱく質」「糖質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」が含まれています。これらはどの栄養素もそれぞれが大事な役割を担っています。ですから、健康的に痩せるためには、安易に、糖質や脂質を摂取しないなど偏ったダイエットではなく、一日のカロリーをいつもより少なめにすることを心掛けつつ、5つの栄養素を過不足なく摂取することが大切です。
そこでポイントになるのが、食品数です。できるだけたくさんの食品をとれば、自然とバランスのよい食事をとることができます。1日30品目が目安と言われますが、なかなか、食品数を数えるのは大変ですので、「マ・ゴ・ワ・ヤ・サ・シ・イ」を合言葉に、食品群を意識してみてください。そうすることで、細かくカウントしなくても、からだに必要な栄養がバランスよくとれることでしょう。
食品数を意識して バランスの良い栄養素摂取を
- マ
(マメ)
- ゴ
(ゴマ)
- ワ
(ワカメ・海藻)
- ヤ
(野菜)
- サ
(魚)
- シ
(椎茸・キノコ)
- イ
(イモ類)
糖質に注意しよう
糖質と聞くと、砂糖を使ったケーキやチョコレート、あるいは糖分の高い果物などをイメージしがちですが、実は、普段わたしたちが食べているご飯やパン、イモ類などにも糖質は含まれています。「でんぷん質」が、体内に入ると糖質に変化するのです。
糖質を大きく分類すると、3種類あります。「単糖類」(ブドウ糖や果糖など)、「2糖類」(砂糖など)、「多糖類(米や麦、イモ類などに含まれるデンプンなど)」。最終的には、いずれも体内に入るとブドウ糖になります。
ブドウ糖はわたしたちの大事なエネルギー源ではありますが、摂りすぎて余ったものは脂肪細胞に取り込まれ、体脂肪となります。なかでも単糖類や2糖類は、多糖類に比べて消化吸収が速く、血糖値を急上昇させやすいため、インスリンの分泌が過剰となり、脂肪として蓄積されやすい性質があるので摂りすぎには要注意です。しかしながら、多糖類が多く含まれる穀類(ごはんやパンe.t.c)など、こちらも食べすぎれば脂肪を増やしますのでやはり摂りすぎには気を付けましょう。
糖質にも種類があります
- 単糖類果物やはちみつ
- 二糖類砂糖など
- 多糖類米や麦、穀物のデンプンなど
低カロリー、高栄養価の食品を食べよう~低脂肪高タンパクな食品~
ダイエットを無理なく継続していくにためには、ある程度の「食べた」という満足感が必要です。低カロリー高栄養価の食材をうまく取り入れてみてください。
~ビタミン・ミネラル、食物繊維たっぷりな食品~
ビタミンとミネラルは、五大栄養素の一つとして分類され、さまざまな体の代謝作用に関わっています。ビタミン、ミネラルが不足すると痩せにくい体になります。これらの栄養素は、ダイエットのみならず、体にとって重要な役割を果たしています。健康面から言っても、不足すると体に悪影響を及ぼしますので、意識して積極的に補給しましょう。また、食物繊維をとることも大切です。食べる時はよく噛む必要があるので、食べ過ぎ防止にも役立ちます。食物繊維には、水溶性と不水溶性の2種類があり、水溶性食物繊維は血糖値の急激な上昇やコレステロールの吸収を抑制したり吸着して排出したり、大腸では善玉菌を増やす働きをします。不溶性食物繊維は便通を促し、有害物質を排出させる効果があります。
ファスティングをうまく利用してみるのもひとつ
最近、「ダイエット」とセットでよく目にする「ファスティング(断食)」という言葉。ファスティングはもともと宗教的な儀式や修行のために行われてきましたが、近年では、美容や健康のために行う人々が増えています。
ファスティングをすると、日々、働き続けている消化機能を休めることができ、今までにため込んだ不要物を出す力が強くなると言われています。近年、欧米でも健康のためのファスティングが脚光を浴び、科学的な研究が盛んに行われているそうです。
今、ちまたで話題の「ファスティング」は、さまざまな植物(野菜や野草)を糖質で発酵させ、抽出したエキス(酵素ドリンク)を用いて、食事の代わりに摂りながら、普通の食事は控えるという方法で行われています。
修行者が行うような完全断食は危険を伴いますが、酵素ドリンクを用いて、生命維持に必要なカロリーおよびミネラル・ビタミンを補給しながら、通常の食事を控えるという方法は、穏やかに心身を浄化していくことができます。ダイエット目的以外にも、心身のリセットにもなるファスティングを一度試してみるのもひとつの方法かもしれません。
よく噛んで食べよう
早食いはダイエットの大敵。よく噛んで時間をかけて食べることはダイエットにもつながる大切なことです。
噛んだときの「食べている」という信号が脳の視床下部にある満腹中枢へ届くまでに15分から30分かかると言われています。“早食い”をすると、この信号が出される前に食べ終えてしまうため、食べすぎてしまうのです。よく噛むことは、ダイエット以外にもたくさんメリットがありますので、早食い傾向にある方は、ぜひ、意識して、実践してみてください。
よく噛むことのメリット
- 食べ過ぎを防げる。
- 顔が引き締まる。
- 唾液の分泌を促し、体内での細菌や真菌の繁殖を抑える。
- 消化吸収が助けられ、胃腸の負担を軽減できる。
- 眠気を覚ます。
- 記憶力が高まる。
- 意欲を高められる。
アルコールの飲みすぎに気を付けよう
お酒は“百薬の長”と言われるように、適量であれば、血液の流れをよくしたり、ストレスを発散したりとメリットがあります。しかしながら、やはり飲みすぎればダイエットの大敵です。
そもそも、お酒を飲みすぎると、血液中の中性脂肪が増加し、体脂肪を増やします。さらには、お酒を飲むと食欲が増進され、消化能力が向上するうえ、おつまみも口にしてしまうので、エネルギーを摂りすぎてしまいます。ただ、どうしても、つきあいで飲まなくてはならないときは、1杯を限度とし、おつまみには、高タンパクでビタミンやミネラルが豊富なメニューを選ぶようにしたいものです。
運動編
有酸素運動と無酸素運動
運動は、大きく分けて2種類あります。体についた体脂肪と糖質を燃焼する「有酸素運動」と、体内の糖質をエネルギーとして燃焼する「無酸素運動」です。
有酸素運動とダイエット
有酸素運動とは
酸素を普段よりも多く取り込みながら行う運動を言います。なぜ、有酸素運動がダイエットに有効かというと、体内に取り込まれた酸素が、体脂肪と糖質を燃焼させるからです。また、ダイエットの目的以外にも、有酸素運動は足腰の強化につながり、血行も良くなることから、多くの健康効果が期待できます。
理想的な時間帯
有酸素運動をするのに一番安全で向いているのは、食後2時間以上経過してからです。消化がある程度済んで血糖値も上がってくるのに、少なくとも1時間はかかります。
血糖値が低い状態で、運動を無理に続けてしまうと、徐々に筋肉が衰えていき、その結果、身体の代謝機能も衰えてしまいますので、有酸素運動を続ければ続けるほど太りやすい体質になってしまいます。強い運動は2時間後、中程度の運動は1時間後、軽い運動でも30分の間は置いたほうがいいでしょう。
※朝起きてすぐの運動は控えましょう(起床後すぐは、血糖値が低いので)。
※空腹ピーク時の運動は控えましょう(空腹時は、血糖値が低いので)。
※食後すぐの運動は控えましょう(消化器官に負担がかかり、消化不良になるため)。
継続時間
「有酸素運動を20分以上行わなければ、体内の脂肪は燃焼されない」ということを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。確かに運動を始める際は、糖分がエネルギー源のメインとなります。しかしながら、20分経過しないと脂肪が燃焼しないのかと言うと、そういうわけではありません。この「20分」という時間は、あくまでも、運動時の代謝において、エネルギー源のメインが糖質から脂質に逆転する時間です。つまり、10分の運動でも、脂肪がまったく燃焼していないわけではないのです。ですから、あまり「20分」という時間に縛られ過ぎず、10分ずつ細切れでも、家事や仕事の合間、通勤時、就寝前など、自分に都合の良い時間を見つけて取り組むほうがダイエットを無理なく継続できるでしょう。
運動強度
有酸素運動をするとき、意識すべき点は、「呼吸」です。常に呼吸をチェックしてください。軽すぎても激しすぎても脂肪燃焼効果は薄れてしまいます。目安は、日常より、「やや呼吸が弾む程度」。心拍数でいうと「110~120回/分」程度です(これには個人差があります)。例えばウォーキングなら、だらだらと歩かずに、テンポよく、普段よりも大股で、早歩きしてみてください。
ついつい、力が入り、運動が激しくなってしまうと、無酸素運動になってしまい、糖質の消費が優先されて、脂肪燃焼効果が薄れてしまいます。乳酸も溜まってきて、疲労の原因にもなり、長時間続けづらくなります。心臓への負担も大きくなるので、ご年配者や高血圧の方は要注意です。
1)運動時の脈拍から推定する方法 (算出された脈拍数になるぐらいの運動をする)
●カルボーネン式(運動時の心拍数)
心拍数(脈拍/分)=((220-年齢)-安静時心拍数)×(0.5~0.7※)+安静時心拍数
※運動強度をあらわすもので、低体力者、高齢者、有疾患者は0.5(50%)での計算が適しています。体力がある方、30~40代の方、疾患のない方などは0.7(70%)、そのどちらでもない方は0.6(60%)をあてはめます。
例) 年齢40歳 安静時の心拍数=70の人が強度50~70%の運動をした場合
0.5~0.7×{(220-40)-70}+70=125~147
ダイエットを行う際は心拍数が125~147になる範囲で有酸素運動すれば良いことになる。
●簡易法
心拍数(脈拍/分)=138-(年齢/2)2)自覚的な感じから推定する方法 (以下の11~13程度に感じる範囲で運動をする)
ボルグ・スケール(主観的運動強度)で11~13(楽である~ややきつい)と感じる程度頻度
有酸素運動は、週に3回以上が理想的です。もちろん、それ以上行っても構いません。1時間の有酸素運動を「週に1日」まとめて行うよりも、1日20分の有酸素運動を「週3日」に分けて行う方が効果的です。これは、前回の運動の効果を次回に積み上げていくことができるからです。
最近の研究では、低強度の運動を長時間した場合や、1日の運動時間を小分けにした運動の合計時間でも効果が出るとされています。運動のためのまとまった時間がなかなか取れないという方でも、諦めずにできる範囲からはじめられそうですね。
無酸素運動とダイエット
無酸素運動とは
主に瞬発力を利用して行う運動です。瞬間的にグッと息を止めて行うものを言います。この運動は、筋肉に蓄えられた糖質をエネルギー源として消費します。無酸素運動によって、筋力が鍛えられ、体に筋肉が増えると、普段から糖質が消費されやすい体に変わります。これを基礎代謝が高まるといいます。メリハリのあるボディになりたい方は、無酸素運動がおすすめです。ただし、負荷が大きいと、筋肉の筋繊維を太くしてしまい、筋肉質でムキムキな体系になってしまいます。ですから、メリハリのあるスリムな体を目指すためには、負荷を小さくして回数を多くしましょう。
理想的な時間帯
筋力トレーニングに適しているのは、夜の時間帯と言われています。
運動して筋肉を鍛えると、筋肉線維が傷ついたり、切れたりします。その痛んだ筋肉の修復・生成が頻繁に行われるのは、副交感神経が働き始める夜です。壊された筋肉が回復するために、新しい筋肉が成長します。ただし、眠る直前に強度の筋力トレーニングをすると、神経が高ぶってしまうため、なかなか寝付けなかったり眠りが浅くなったりする可能性があるので避けたほうがいいでしょう。
筋力トレーニングのポイント
1.ゆっくり行う。ダイエットの目的なら、回数は少なめでも、ひとつの動作をゆっくり行いましょう。例えば腹筋なら、体を起こすのに5秒、戻すのに5秒×10セットなどで行ってみてください。
2.鍛える筋肉を意識する。
どの筋肉が鍛えられているかを意識するだけで効果は全然違ってきます。鏡などの前で自分の姿を見ながら行うのもいいでしょう。
3.継続する。
筋肉は継続して刺激を与えないと、どんどん衰えてしまいます。何事も継続が大切です。
ストレッチも一緒に
基礎代謝をアップする筋力トレーニングとストレッチングはワンセットと考えてください。筋力トレーニングする前のストレッチは、筋肉の緊張をほぐすとともに、ケガの予防にもなります。
また、筋力トレーニング後の、ストレッチも大切にしてください。こちらは筋肉の疲労をやわらげ、心臓への負担を軽減する目的です。ウォーミングアップもクーリングダウンも、安全に運動するためには必要なものです。
ストレッチのポイント
1.はずみをつけずにゆっくり伸ばす。2.呼吸は止めずに自然に行う。
3.10~30秒間伸ばし続ける。
4.痛みを感じるところまで伸ばさない(無理はしない)。
5.伸ばしている部位に意識をむける。
6.笑顔で行う。
生活習慣編
規則正しい生活習慣
早起きのメリット
早起きの習慣は、自律神経を調え、交感神経と副交感神経のバランスや体内時計の働きを正常にする効果があると言われています。早起きから始まる規則正しい生活習慣は、エネルギー代謝の良い生活リズムを作り出してくれます。 一方、朝、遅く起きるという習慣は、夜更かしにつながりやすく、夜食、間食の機会を増やしかねません。体本来のリズムに合わせて、効率よく体を動かし、また、余計な食事の機会を減らすという意味でも、早起きの習慣はダイエットにメリットがあると言えるでしょう。
睡眠をしっかりとるメリット
睡眠不足は太りやすい体質を作ります。その理由のひとつに、「レプチン(脂肪細胞が分泌する食欲抑制ホルモン)」と「グレリン(胃から産生される食欲増進ホルモン)」のバランスが崩れてしまうことが挙げられます。睡眠不足は、食欲増進ホルモンである「グレリン」を増加、食欲抑制ホルモンである「レプチン」を減少させてしまうため、食べすぎにつながります。シカゴ大学の研究によると、睡眠不足状態では、高脂肪・高炭水化物のものを好んで食べてしまう傾向があるそうです。さらには、ブドウ糖(炭水化物)をエネルギーに代える能力が低下し、エネルギーとして代謝されなかったブドウ糖が脂肪として蓄積してしまうそうです。逆に、しっかり睡眠をとっていれば、ホルモンバランスは正常となり、不必要に空腹感を感じることもなく、代謝も効率よくなるため、脂肪が燃焼されやすくなります。
ダイエットを成功させる睡眠のポイント
適切な睡眠時間海外での研究によると、肥満度は7~8時間眠る人が最も低く、それより睡眠時間が短くても長くても肥満度が高くなります。どのくらい違うかというと、5時間睡眠の人は肥満率が50%アップし、4時間以下の睡眠ではなんと73%も上昇してしまいます。 日本人の健康診断のデータを分析した研究でも、同じような結果が出ています。約2万人の日本人男性で平均睡眠時間と肥満のなりやすさを調べたところ、睡眠時間が5時間以上の人に比べて、5時間未満の人は肥満になりやすいことが分かりました。
(All about坪田 聡氏〈日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属〉の記事より)。
睡眠の質の向上
1.規則正しい睡眠
7時間~8時間の間で、自分がスッキリ起きられる時間を探り、しっかり睡眠時間を確保しましょう。
2.寝る6時間前から、カフェインを控える。
カフェインの作用が消えるのは一般的に6時間と言われています。
3.寝る3時間前はお酒を飲まない。
少量のアルコール摂取であれば、寝つきをよくするのは事実ですが、量が多いと、睡眠の質を下げ、深い眠むりの妨げとなります。
4.激しい運動は眠る4時間前に終える。
激しい運動で体温が上がってしまうと眠りにつきにくくなります。
5.毎日15分間は日光を浴びる。
日光浴は体内時計をリセットし、睡眠ホルモンといわれるメラトニンの分泌を整えてくれます。
その他、基礎代謝アップのための生活習慣
先にも触れましたが、代謝には3種類あります。
【.基礎代謝】生命維持に最低限必要な、心身ともに安静な状態で消費されるエネルギー。
【生活活動代謝】日常の活動や運動で消費されるエネルギー。
【食事誘導性熱代謝(DIT)】食事をするという行動や、消化・吸収することで消費されるエネルギー。
これらのうち、通常、1日の総消費エネルギー量の70%は、「基礎代謝量」が占めています。ということは、この基礎代謝をもっと上げるような生活習慣を身に着けられれば、自然な形で、ダイエットが実現できそうですね。
姿勢を良くする
背筋を伸ばすと脊柱起立筋肉に力が入ります。ここは遅筋(持久力を引き出す時や有酸素運動の時によく使われる筋肉)が最も多く集中している部分なので、背筋を伸ばすだけで(悪い姿勢の時に比べて)代謝がアップすると言われています。
体を温める
冷えは体の深部体温の低下により起こります。深部温度が1度下がると、基礎代謝は約12%も下がってしまうと言われています。女性の1日の平均基礎代謝量1200kcalの場合、内臓温度が1度低くなると《約144kcal/日》のエネルギーを消費できていない計算になります。体を温めて、代謝をアップしましょう。
足首には、皮膚のすぐ下に血管が通っているので、ここを温めると体が温まりやすくなります。
お風呂やシャワーを活用する
【お風呂】
37~40℃以下のぬるめの温度で、ゆっくりつかりましょう。肩までつかるよりも半身浴のほうが心臓への負担をかけずに、長く浸っていられます。ぬるま湯で半身浴をすると、血液が体を循環する回数が増えるため、代謝量も増えます。体も温まり、自律神経も整っていきます。
できれば、20分以上、汗が出てくるまでつかっているのが理想的です。汗が出にくい場合は大さじ1~2杯の塩を入れると出やすくなります。たくさんの汗とともに体内の老廃物も外に出されるのでお肌もきれいになります。
【シャワー】
40℃のお湯と、20℃の冷たい水を交互に30秒ずつ、首の後ろにあてます。これを数回繰り返してください。ただし、いきなり冷たい水を浴びると心臓への負担がかかりますので、最初はぬるま湯から、徐々に温度を下げていきましょう。肩甲骨とその周辺には、脂肪を燃焼しやすくする褐色脂肪細胞(食事で摂取したカロリーをエネルギーとして放出させる働きのある細胞)が密集しています。その部分を刺激すると、褐色脂肪細胞の働きを活発にし、脂肪が燃えやすい体をつくってくれます。 また肩甲骨を動かすストレッチや体操を組み合わせれば、さらに、血液やリンパ液の流れが良くなり、むくみなどをとる効果もあります。