日本酒のおいしさに目覚める 自然栽培&自然醸造の木戸泉酒造
自然栽培&自然醸造 手にして幸せ、少量貴重な木戸泉の旨き良き酒をお楽しみください
本当においしい酒とは何なのか、媚びずに追求し続け100年以上。
千葉県はいすみ市(旧大原町)に蔵を構える木戸泉酒造。
日本人として、世界に誇れる酒がここにありました。
千葉の秘蔵 木戸泉
創業明治12年(1879年)、木戸泉酒造は千葉県いすみ市(旧大原町)にある酒蔵です。
大きな蔵ではありませんが、地元の酒屋さんをはじめ地域にたくさんのファンがいます。そこで造られるのは、酒好きにはたまらない旨さ、日本酒らしさ、その良さを存分に味わえる酒。そんな、知る人ぞ知る秘蔵、木戸泉酒造について紹介します。
無肥料自然栽培米による自然醸造酒の製造
自然舞
木戸泉酒造の大きな特徴、それは、自然の働きに沿った酒造り。
昭和42年、当時の3代目社長の「添加物や農薬、化学肥料を一切使用しない日本酒を造りたい」という強い意志から、無肥料自然栽培米を100%使用した純米酒(現在の「自然舞」)の製造が始まります。
今でこそ、有機・オーガニックなどの言葉が浸透し、さらにそこから自然栽培などについても少しずつ認識されてきていますが、昭和42年となると、添加物や農薬・化学肥料全盛期。幸い、協力してくださる農家さんがいたとのことですが、その頃から、自然栽培・自然醸造を貫くというのは、社長一人ではなく、関わる人すべてに、酒造りに対する熱い想いがないと実現しなかったことでしょう。
添加物の含まれない自然醸造で造られた酒は、酒造りの主となる三原菌(麹菌・乳酸菌・酵母菌)がのびのびと発酵し、ごまかしのない、パワーの強い酒に仕上がっています。味にコクと幅、ボディーにふくらみ。のどごしよく、後味よく、飲みあきない酒、そして酔い覚めの良さ。それが、木戸泉酒造の目指す旨き酒です。
独自の仕込み 高温山廃モト
酒造工程の三大ポイントを表して、「一麹、二モト、三造り」といわれます。
まず、麹。原料の米のデンプンを糖に変えます。この糖が、モト(=酒母(しゅぼ))のなかに含まれる酵母により、アルコールに変わります。麹による糖化とアルコール発酵が進行するのが醪(もろみ)工程、造りです。糖化と発酵が同時に進行するのを、平行複発酵といい、この発酵が終わると、醪をしぼって酒にします。
酒母は、酵母の培養液としての役割を果たします。酒母には乳酸菌が豊富に貯えられており、酵母の働きを阻害する有害菌を駆逐します。
酒母に乳酸菌を付与する方法は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、江戸時代、現在の兵庫県、灘で完成した造り方で「生モト」と呼ばれます。この方法では、自然に発生する乳酸菌を、その生態系を利用しながら、酒母造りの過程で乳酸に変えていきます。さらに、この方式の中で、最も重労働といわれる山卸という作業を廃止して省略化を図った方法が、「山廃モト」と呼ばれます。
もうひとつは、明治末期に発明された速醸モトと呼ばれる造り方で、化学製品として市販されている乳酸そのものを添加する方法です。生モトに比べて短期間で簡単に仕上がります。自然天然の良さは失われてしまいますが、その簡便性から多くのメーカーに採用されています。
木戸泉酒造は、山廃モト方式を採っています。ただし、通常の8℃前後の仕込みではなく、55℃の高温で仕込みます。これを木戸泉酒造では「高温山廃モト」と呼んでいます。
さらに、通常、乳酸菌は自然発生のものを利用しますが、木戸泉酒造では培養した生の乳酸菌を投入しています。生の乳酸菌は腐敗を誘発しかねない危険をはらんでいます。しかし一方で、そこから育った天然の乳酸は、酒に仕上げる過程で、いろいろな可能性を追求する余地を広く生み出します。
乳酸菌には300以上の種類がありますが、日本酒の中に生息するのはたった2種です。このうちの1種は、昭和のはじめ、当時、東大応用微生物研究所の主任教授であった北原覚雄博士により発見されました。菌種の学名はラテン語系のものがほとんどですが、この新種は「Lactobacillus sake katagiri,Kitahara and Fukami」という学名で記録されています。
この大発見を日本酒に応用しない手はないと、木戸泉酒造ではその菌種を分けてもらい、そこから培養した乳酸菌を使っています。そのため、乳酸主体の酸味が特徴的な味わいになっています。
木戸泉酒造が高温山廃モトに本格的に取り組み始めたのは昭和25年頃。その前年から酒造業界では三増酒と呼ばれる造りが始まり、数年の内に全盛を誇るようになります。三増酒とは、合成酒の製法を取り入れたもので、アルコールに乳酸、グルタミン酸ソーダ、コハク酸、リンゴ酸、グリセリンなど20種類もの食品添加物を混和した調味液を加えて増量した酒です。この酒が流通するようになると、酒の味の画一的化が進み、酒の個性が消えていきました。
そんな流れのなかで、木戸泉酒造は、日本酒の多様化、個性の復活を目指しました。高温山廃モトで造った酒母は、味に幅と深みがあり、多様化には適しています。戦後、豊かになった食生活に合わせ、和食だけでなくさまざまな食事に合う日本酒、木戸泉酒造の挑戦は今も続いています。
現地からレポートします
蔵の中を見せていただきました
みぞれまじりの雨がちらつく2月のある日、木戸泉酒造の酒蔵を訪ねました。東京から特急で1時間ほど、大原駅から蔵へ向かう道すがら、雨は吹雪に変わっていきます。この日はすでに造りの作業は終わっていたのですが、蔵の中を見せていただけました。
様々な機会にレポートを続けていきたいと思いますので、お楽しみに!
原料である米を蒸します。米の種類によって酒の味わいも変わります。
貴重な木の甑(こしき)。メンテナンスを行う職人さんの数も年々少なくなっているそうです。
酒造りのシーズンは冬、寒い中行われますが、この部屋だけは高温多湿。ここと外気とを行ったり来たりするという、厳しい環境です。
まだアルコール感はなく、試飲させていただくと、おいしい乳酸菌飲料といった感じ。
表面にぶくぶくが、ふつふつと音がします。発酵が盛んなときは、タンクよりも上に泡が上がってくるそうです。混ぜるのはかなりの力仕事。落っこちそうでちょっと怖いです。
最終工程。ここでもろみが新酒と酒粕にわけられます。
酒蔵でしか飲めない正真正銘の搾りたてを頂きました。活き活きしたパワーを感じます。
今回案内をしてくださったのは、木戸泉酒造で杜氏を務める荘司勇人さん。次代の蔵を担う立場ですが、酒造りというのは大胆かつ繊細な作業。同じ原料、同じ造り方をしても、杜氏によって酒の味が変わることもあるそうです。杜氏をはじめて務めた年には、代替わりしたことをお客様に伝えるのが怖く、酒の評判を聞いてはじめて打ち明けられたほどだったといいます。
実際に蔵の中に立たせていただき、その歴史と、目に見えない微生物たちの温もりを感じるような気がしました。
銘酒木戸泉・蔵開きレポート
2014年3月29日、千葉県いすみ市にて開催された「第二回ふるさといすみ 木戸泉酒蔵開き」。
弊社でもご紹介中の「木戸泉」の試飲や、酒蔵見学.......
貴重な機会に日本酒好きが大集合!のレポートです。
地域の協力で実現した蔵開き
門には「杉玉(すぎだま)」が掲げられています。去年のうちに蒼蒼とした杉の葉でつくり、葉が茶色になるにしたがって新酒の熟成具合を知ることができます。
木戸泉酒造の酒蔵開きは、今年で2回目を迎えます。いすみ市と大原商店街の活性化を目指したイベントで、他に海産物の加工業組合やいすみ市ゆかりの陶芸家などの雑貨のお店、飲食店など27 店舗が出店。当日は朝10時から東京や千葉近郊から大勢の人が集まりました。
オープニングセレモニーは迫力の和太鼓の演奏でスタート。そのあと木戸泉酒造が開門すると同時に、来場者は「待ってました!」とばかりに樽酒や試飲会場、販売所へと流れていきます。試飲会場では7種類のお酒を試して販売所で購入ができるようになっています。酒蔵の中にも自由に入ることができ、普段お酒をつくっていらっしゃる蔵人の方々が丁寧に解説をしてくださいます。
原料・製法に秘訣あり 旨い!日本酒
「醍醐とは平安時代にあった乳酸発酵食品で究極の味。この土地は醍醐の里ともいわれていますが、木戸泉も『醍醐』の味を目指しています」(代表・荘司文雄氏)
木戸泉酒造は明治12年に酒造業を開始。一部に自然栽培米を使用するなど原料から大切に、伝統製法、自然醸造でつくられた、三原菌(麹菌、乳酸菌、酵母菌)がのびのびと発酵しているお酒が特長です。
長期熟成酒をはじめて世に出した酒蔵としても知られています。日本酒は新しいうちに飲むイメージがありますが、「熟成させるとこんなにまろやかになるんだ!」と驚きの味わいです。
「今年の蔵開きも、地域の方の協力があって実現しました。昨年は悪天候でしたが今日は天気に恵まれてよかったです」と杜氏でもある専務の荘司勇人氏。
「昭和44年以前、日本酒には保存料としてサリチル酸や防腐剤が使用されることがありました(現在は使用禁止となっています)。しかし先代がその毒性に気づき、添加物を入れず、時間がたってもおいしく飲める日本酒づくりを研究したのです。そして、時間がたつとすっぱくなるどころか非常にマイルドな古酒になる『高温山廃モト(酉元)』という醸造方法を見つけました。従来の乳酸添加方法ではなく、天然の生の乳酸菌を用いて55度という高温で酒母を仕込む方法です。うちの日本酒は、普通の酒も寝かせればいい古酒になりますよ。のどごしがよく、飲んでおいしいのはもちろん、胃に入ってから酔いが覚めるまでも非常にさわやか。からだにも負担の少ないお酒です」と四代目の荘司文雄氏。たくさんいただいても悪酔いをしないのは、からだに負担のかかる添加物が入っていないからなのですね。
試飲会場では各種日本酒を味わい、気に入ったお酒を購入できるようになっています。
酒蔵内を見学でき解説もしてもらえます。「ここで米を浸け込みますが、そのときの米の状態や環境によって浸け込む時間は変化します」と丁寧に解説してくださる蔵人の佐々 木崇聖氏。
「日本酒では酸の存在が非常に重要な位置をしめています。吟醸酒は香りはいいけれど、ほとんど酸がありません。私たちが目指したいのはそうしたものではなく、もっと酸の強い骨格のしっかりした飲みごたえのある日本酒です」(荘司文雄氏)
木戸泉のお酒は酸味が強くて本当にすっきりとしたのどごしです。すいすいとお酒が進んでしまいます。
肴と一緒にいただきたい日本酒
門には「杉玉(すぎだま)」が掲げられています。去年のうちに蒼蒼とした杉の葉でつくり、葉が茶色になるにしたがって新酒の熟成具合を知ることができます。
会場内には「ほろよい広場」が設けられ、チーズの試食や焼き魚などを味わうことができます。おいしいものは人と人をつなぐのか、はじめて会った人同士がお酒を酌み交わす姿も多く見られました。お話をおうかがいすると、「千葉にもいろいろなお酒があるけれど、私は木戸泉が好きです。酸味とすっきりしたのどごしがいいですね」「おいしくて、たくさんおかわりをしてしまいました」「他の蔵開きよりもアットホームで、リラックスしてお酒を楽しめます」「昔から飲んでいます。今日はゆっくり飲みたいからひとりで来ました」など、みなさん思い思いに語ってくださいました。
いすみ市に5軒あるチーズ工房も出店し、チーズと日本酒のマリアージュも楽しむことができます。さらに「古酒Bar」では2、3種類の古酒の飲みくらべと5種のチーズが添えられたセットも。1980年からの熟成古酒を好きな年を選んで飲むこともできます。
「熟成した日本酒はチーズとのコラボもいいですが、スイーツにもよくあいますよ」と杜氏でもある専務の荘司勇人氏。「ぜひお料理に合わせて飲んでいただきたいですね。和食との相性がいいですが、味のしっかりした煮込みやすき焼き、焼き肉にもよく合います」(荘司勇人氏)
さらに酒づくりへの思いをお聞きすると、「飲んでくださった人の笑顔を見ることが最高のごほうびです。その笑顔があるから、一生懸命お酒をつくることができるんです」と語ってくださいました。ある蔵人の方は「お酒は楽しみながらつくっています。笑顔がないといい酒は醸せませんね」とも。木戸泉のお酒は、飲む人もつくる人もみんな笑顔になるお酒。人と人をつないでくれる、いいお酒です。
<らくなちゅらる通信編集部>
\担当スタッフから一言 お酒好きにたまらない逸品です/
一口飲んで「これは・・・!!」というインパクトの強さ、口いっぱいに広がるこれぞ日本酒という風味、飲み干すとその余韻が全身に広がる心地よさがあります。お酒好きにはぜひお試しいただきたい逸品揃いです。
特に「純米にごり」のインパクトは大。王道の日本酒、という感じでなかなかお目にかかれない貴重品だと思います。限定品なのでこれを逃すともう味わえない本当にレアものです。
「自然舞」と「純米無濾過生原酒」は、自然栽培米を使用しているという点はもちろんポイントですが、それが流行に乗ったものではない、造り継がれた確かな味わいがあります。
お酒好きの父親にプレゼントしたところ、一瓶が結構なペースでなくなったとか・・・でもその気持ち、よく分かります!語り出したらきりがありませんが、とにかくまず呑んで感じてほしいので、ぜひぜひこの機会をお見逃しなく!