有機にんじんとさつまいも、鹿児島県から産地直送!
さつまいもソムリエが、イチオシ品種を取り混ぜ直送します
薩摩の国、鹿児島だから、
一番のおすすめはさつまいも。
甘みがのって、味に深みと厚みがあります。
同じ畑で育つにんじんたちも、
個性豊かで捨てがたい。
十分感じられる野菜のうま味を食卓に。
今期のお届けは、紅はるか ~久木田さんイチオシ!
一番お好きなさつまいもはどれですか?との質問に、考える間もなく。
一番好きなのは紅はるか。一番甘いのが、紅はるかです
普段から必然的にさつまいもを食べる機会が多いという久木田さん。
自分たちが食べるのは、大きくてかたちがよく、見栄えも良いA品と呼ばれるものではなく、小さかったり、いびつだったり、皮に傷がついたものだったりしますが、どれを食べるかと云われると、やっぱり紅はるかを選びます。たくさん作っているというのもあるんだろうけれど、単純に紅はるかは美味しいです。
安納芋は確かに甘いですが、ねっとりとした食感に助けられている部分も多く、甘みだけでいうと一番は紅はるかだといいます。「さつまいもらしい」ほくほくとした食感が残り、かつ甘みも強い。バターを入れたり、生クリームを入れたり、またまた飴がけしたりするのではなく、単純に蒸したり焼いたりと加熱して味わって頂きたい滋味深いさつまいもなのだといいます。
まず今季は、紅はるかを試してください。
親より優れた?「紅はるか」
「紅はるか」は、見栄えの良い「九州121号」と、色や食味に秀でた「はるこがね」を掛け合わせてできた品種です。
より甘くより見栄えのよいものをと開発され、親となる品種を「はるか」に越えた予想以上に食味の良い芋が出来上がったことから「紅はるか」と名付けられたと云います。
加熱調理すると甘さが際立ち、濃厚な甘さで話題になった安納芋も超える!という声が上がるほど。
しっとりした食感と強い甘さにも関わらず、安納芋と比較すると後味もすっきりした上品な甘さです。生のさつまいもはスクロース(ショ糖)などの遊離糖量が多く、加熱するとβアミラーゼが麦芽糖に変わり甘さを増すのだそうですが、紅はるかなどの甘みの強い品種は、麦芽糖の比率が高いと云われています。
甘みが際立つ調理法は、品種によっても異なります。どの品種でも無難に美味しく仕上がるのは「焼く」という調理法。蜜芋といわれる紅はるかや安納いもは、遠赤外線で焼き上げるとなお一層、甘みが際立ち満足度が増すはずです。
全部 手で抜きます!コクのあるにんじん
久木田農園のもうひとつのお勧めはにんじんです。12月頃から6月頃までの約半年間、少しずつ時期をずらしてにんじんを栽培、ほぼ年間をとおして出荷しています。
さつまいもは機械で収穫しますが、にんじんは人間の手で抜いて収穫します。さつま芋や人参等の100反の畑を、年間をとおして大体5人ぐらいで管理するので、単純に計算するとこの面積が(16反)ひとりに振り当てられる感じですね。
と久木田さん。
1反が990平方メートル(㎡)で、16反だと16,000平方メートル弱です。全国高校野球選手権大会の会場となる甲子園球場のグラウンド面積が約13,000平方メートルですから、一人当たりに割り振られた面積の広大さに驚きます。
品目はさつまいもとにんじんの二つです。にんじんは出荷が12月から6月までで、ある程度作業は分散させて出来るんですね。まあやってる作業自体は単調なんですけど。にんじんもさつまいもも、大変なのは草取りです。それから、畝に土をかけてにんじんが土から出てこないようにすること。でもこれも、ちゃんと工夫をしたら作業がほとんどなくなります。実際、これくらいの畑(約2反)を草取りすると、2週間くらいかかります。1反で大体1週間です。草の成長が早い時には、抜き終わった頃に、最初のところにまた草が出てきていたり・・・。 でもうちの場合は、夏場の草取りがほとんどないです。夏場どうされてますかと聞かれますが、「畑を見回りにきます」ってお返事します。にんじんに関しては本当に、一週間に1回くらい、見に来るっていうと、ぽかんとする方も少なくないですよね。とにかく少ない人数で生産量を増やすために、どうしたらいいか」を考えたら、一番は草取りなんです。だから草取りはしないでいいように、自然の力をかりて工夫をします。
有機圃場で力強く育つにんじんたちは、極力手間をかけずに旨味のあるにんじんを育てるために、品種から選定されています。作業を最小限に抑える努力と共に、収穫物の品質を出来る限り高く保つための努力も忘れてはいません。基本の土づくりを怠ることなく、圃場を入れ替えながら、休ませながら、作物にあった土壌をつくりこんでおられます。
どこかにんじん独特の土臭さが残っていても、適度に甘味がのった久木田農園のにんじんは、生で頂きたいもの。コールドプレスジュースにすると、とろんとした舌触りとにんじんに風味の奥に、自然の甘みが一層濃厚に感じられます
「さつまいもが美味しく育つ条件は?~久木田さんに聞く
鹿児島市内から車で1時間強。鹿児島湾をぐるっと回って、丁度反対側の標高約400mの山中に広がる圃場では、たくさんのさつまいもが有機栽培されています。
生産者は久木田さんご家族。市内と比べるといつも4度ほど低く、冬場の朝晩は鹿児島県の中でも、一番気温が低くなるといわれる場所のひとつです。夏場は涼しく、冬場の厳寒期にはうっすらと雪が積もることもあるこの場所で、久木田農園がはじまったのは1980年頃。農園の創始者であるお父様がこの農園を開拓したのは、もともとは養豚を続けるためでした。
父は代々豚を飼っている家に育ちました。祖父はハム屋をしながら豚を飼っていたようなひとで、ハム屋を辞めるとなった時に、家族の中で豚を飼いたいと考えたのが父だけだったんです。9人兄弟の8番目なので家を継ぐわけでもなかったですが、研修を受けた後に養豚が出来る場所を探したようで、最後に見つかったのが今の場所、牧之原だったと聞いています。
養豚は、臭いなどの問題もあり、民家がたくさん建っていては周囲との軋轢が生まれます。
ある程度の面積が確保でき、周囲にも民家の少ない場所が絶対条件なのだといいます。久木田農園のある牧之原(福山町)は、桜島を望む海岸から丘陵地帯に広がる平坦地に乏しい町ですが、長い歴史を持っています。
安土桃山時代には、薩摩藩藩主 島津義久によって、のちには九州最大の馬牧場とも呼ばれる「福山牧」が設置されていました。最盛期には2,000頭を超える馬が育ち、年間でも100頭の新しい命が誕生する馬牧場だったといいます。記録によると1779年の桜島大噴火により、火山灰や軽石が堆積し牧草が枯渇したため、一部の放牧場が閉鎖されたといいますが、それでも常時1,000頭を超える馬が暮らしていたといいますから驚きです。
「このあたりが、馬牧場」と教えて頂いたあたりは、ちらほらと民家があるものの、そこからさらに坂を上って山中に向かったところは見渡す限りの緑。その緑の真ん中に、久木田農園が広がります。「周囲にも民家の少ない場所が絶対条件」といわれたその言葉が、一目でわかる場所でした。ご縁のあった牧之原で養豚を軸に農業にも着手、農場を広げておられましたが、平成に入って10年も経たない頃に養豚には終止符が打たれます。
飼料とか高騰し始めて、中規模の養豚業では大変になってきたんですね。もっと設備投資をして大型化するか、逆に規模を縮小して、小規模で高級な豚をやるかしないと、生き残れないだろうという岐路に立たされました。父は養豚だったけど、僕は農業が好きだったから、じゃあもう農業だけでいこう。
と有機農業専業に切り替えられました。ご自身でも「にんじんとさつまいもの農家です」と云われるように、年間の収量は、天候によってブレはあるものの、それぞれ70トン程度。桜島が近いこの圃場もまた、過去何度も起きた噴火の影響をまともに受け続けてきた場所にあります。
火山灰と軽石、それが秘密
桜島の噴火が、久木田農園のある場所にどの程度の影響を及ぼしてきたかが一目でわかる場所があります。それはさつまいもの貯蔵庫です。自然にこんもりと盛り上がった土地に、奥行20メートル横穴を掘り、コンクリートの天井を重ねただけの貯蔵庫は、自然の熱で常に一定の温度に保たれています。外部気温がマイナスに近い状態でも、室温はおおよそ15度。室内に入った途端、メガネやカメラのレンズが一瞬で曇ります。入口から奥まで、左右にはさつまいもの入ったプラスティックのコンテナが、天井まで高く積み上げられています。
「この土壁は地層になっています。」
コンテナの間に細く伸びた、人ひとりがようやく通れる通路を抜けた突き当りで、壁を示しながら久木田さんが示したのは、貯蔵庫の壁。掘った時のそのままという壁は、入口から突き当りまで地面の歴史が見て取れる地層が続いています。
「これがですね、この軽石の層なんですが、桜島の噴火で飛んできたものです。桜島からここまで直線で15kmほどしかないんですよ。今まで桜島は何度か大きな噴火をしているんですが、これは恐らく大正時代の噴火じゃないかと。恐らく2~3日で積もったのではないかと思います。それこそ野菜とか作っていたら、(この噴火の後は)何も作れなくなっていたと思いますよ。この軽石の層というのが、非常に水のとおりがよくて、作物的にいうと水がどんどんぬけていくので栄養の持ちは良くないんですが、さつまいもに関していうと肥料はほとんどいらないので、水はけのよさで味の良い芋ができると云われています。この層が水をどんどん切ってくれる分、甘みがのって美味しいさつまいもになるんですよ。」
土壌に恵まれていても、徹底して土づくりをしています。
「土づくりには牛糞がいいと云われますが、うちでは発酵鶏糞を使っています。また空いている畑には、線虫などを抑制する目的でイタリアンライグラスや燕麦を植えて、育って来たらすきこんで緑肥にします。」
収穫が済んだばかりの畑のとなりに広がる、一見広場にも見えるうっすらと緑がかった場所は、燕麦が芽吹く「休憩中」の畑でした。おなじものを続けて植えていると、土の成分が偏ってくるために病害虫が偏ってくるので、さつまいもとにんじんを植えている畑は入れ替えたり、休ませたりして調整をします。昔は「にんじんは連作をするとよいと云われていたようですが、にんじんとさつまいもの圃場を入れ替える利点のひとつに、にんじんが吸い残した微量な肥料をさつまいもが吸い取ってくれることが挙げられます。
さつまいもは肥料要らずといわれ、肥料を足すと地上の葉ばかりが茂ります。かと云って、一切栄養分を必要としないかというと、そうでもありません。にんじんを収穫した後の圃場は、さつまいもを適度に太らせ味をのせるのに丁度よい、微量な肥料が残っているのだそうです。
「さつまいもソムリエ」登場?!
育てる品種は35種以上!オーダーメイドのさつまいも?
鹿児島というと一時期とても話題になった「安納芋」や「紫いも」を連想されるかもしれませんが、久木田農園で育てるさつまいもは、なんと35種類以上。耳馴染みのある紅あずまや紅こがねをはじめとし、切り口が紫のパープルスイートロード、甘みの強い紅はるか、切り口が美しいオレンジ色のにんじん芋、皮をむくと真っ白の身が顔を出す黄金千貫。
安納芋も見慣れた濃い黄色の身の品種だけでなく、見たことのないオレンジ色の品種があったりします。紫芋に至っては、調理して美味しい品種だけでなく、ソフトクリームなどの色付けに入れる「色素」として使われる、甘みが全くないとも云える品種も育てています。
35種以上あると云っても、実際に販売したりしているのはそのうちの10種ほどで、後はほとんど種を継ぐための品種です。収穫された芋の中から、1個とか2個を種イモにして、種を継いでいきます
今ある種が無くなれば、もう二度と手に入らないような品種も少なくないのだそうです。実際、多くの農作物が品種改良の名前のもと、どんどん新しく変わっていきます。病害虫に耐性をもつもの、育てる気候にあわせて改良されたものなど、より広い地域で栽培しやすいようにと改良を重ねるだけでなく、消費者のし好にあわせて「よりクセがなく、より甘みの強い」品種に改良されたものも少なくはありません。
そして過去育てられていた品種は、多くが忘れられ、過去のものとして栽培されなくなっていきます。久木田さんのところには、そんな改良を重ねる前の品種を懐かしんで「子どもの頃に食べた、あのさつまいもが食べたい」と、半世紀以上前に栽培されていたさつまいもを求める方からの問い合わせがあるのだそうです。
どんどん品種が増えたのも、お客様から『こういう芋はありませんか?』と聞かれるたびに、父が『じゃあ育てましょう』と、増やしていった結果なんですよ。
と、朗らかに笑いながら仰る久木田さん。
ひとつの品種を、年に一度だけ注文をされるたった一人のお客様にむけて育てる彼らは、農業をとおしてオーダーメイドを実現する「アーティスト」とも呼べるかもしれません。
品種を見分けられますか?見た目の違うさつまいも。
さつまいもをずらっと並べて、どれがどれだか見分けがつきますか?
ずんぐりと丸っこく、寸詰まりな感がある安納芋は、形状だけでなんとなく違いがわかります。表皮の色では、皮の白いにんじん芋(隼人芋)と、見慣れた小豆色の表皮のさつまいもは見分けがつきます。敏感な方なら、アヤムラサキやパープルスイートロードと呼ばれる中身が紫の芋は、表皮がなんとなく紫がかっているように感じるかもしれません。
最初はどれがどれだか見分けのつきにくいさつまいもも、久木田農園で、じっくりと1年腰を据えて付き合うと、5~6種類の芋は見分けられるようになるといいます。微妙な形の違い、表皮の色の違いを見分けるコツは、「さつまいもとの付き合いの深さ」でしょうか。苗を育て、植え付け、収穫するまでの時間を、並行して何種類もの芋と付き合う濃密な時間が、知らないうちに芋を見分ける感覚を養うのかもしれません。
半分冗談のように、久木田さんは云います。
うちで1年も働いたら、その辺の農家さんよりもさつまいもがよく分かるようになるかもしれないですね。さつまいも博士と云って、講演ができるかもしれない。
何種類もの芋を育て、自身でも食べる日々は、さつまいもの味を識別する感覚をも養います。
もし、そんな仕事があればですけど・・・。僕たちは、さつまいもソムリエって呼ばれてもいいかもしれないですよ。
満面の笑みを浮かべ、半分冗談のように云う久木田さん。数あるワインの出来を見極める人々をソムリエと呼ぶなら、多くの品種を見分け、毎年微妙に異なる味の違いを識別する彼をさつまいもソムリエと呼んだとしてもおかしくはありません。
まずは、ソムリエイチオシの「紅はるか」から。
その年の収穫にあわせて、ソムリエが選ぶ他の珍しいお芋もご紹介させて頂きます。