今すぐできる放射線対策
多くの方が気にされている放射性物質や放射線にどう対策をすれば良いか、弊社代表の中川がお話しします。
中川が語る「今すぐできる放射線対策」
スタッフ河村が
中川にインタビューします
この度の地震および津波、また原発事故により被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
現実は日々めまぐるしく変化しており、さまざまな情報が流れ、何を信じて行動すれば良いのか、不安は尽きないことと思います。
そんな状況の中、今一番多くの方が気にされているであろう、放射性物質や放射線にどう対策をすれば良いかについて、弊社代表の中川にインタビューを行いました!
適切な情報に基づき意志をもって行動することで不安に呑み込まれることなく、心に余裕が生まれます。
皆さまのお力になれることを願いこのインタビューをお届けいたします。
中川信男インタビュー
放射性物質は小さいツブツブ
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見えない、分かりにくい、放射能ですが、まずは何から始めたら良いのでしょうか。
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まずはきちんと用語の定義をしましょう。この問題は、見えないもので、分かりにくい分、 用語を正しく理解できていない方も多いはずです。
放射能や放射線といいますが、その前にまず放射性物質というものがあります。 放射性物質というのは、ウランとかセシウムとかの分子のことで、小さいツブツブをイメージしていただくと分かりやすいかと思います。 ここから出てくるのが放射線で、この放射線を出す能力のことを放射能といいます。 つまり、放射能というのは、放射性物質が放射線を出すことを指すわけです。
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用語の定義が曖昧なままの方も多いと思います。
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内部被爆と外部被爆についても整理しておきましょう。 内部被爆というのは放射性物質、つまり小さいツブツブが体の中に入り、これが放射線を出している状態です。 外部被爆というのは、放射性物質が皮膚や髪の毛や服などについている状態です。 内部被爆と外部被爆は、まったく別のものと考えた方が良いでしょう。
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内部被爆と外部被爆、それぞれどのように対処したら良いのでしょうか。
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外部被爆については、一般的によくいわれることですが、とにかく洗うことです。 まずは触れないことですが、触れてしまったら何より洗うのが一番です。
内部被爆の経路としては、呼吸、水や食べ物、そして傷口などがあります。 呼吸で放射性物質が入ってくるのを防ぐために効果的なのがマスクです。 ものすごく濃度が高いところは別として、簡単な不織布のようなマスクでも、結構な量を防ぐことはできます。私は自分の子どもに、雨に濡れないようにいっています。特に降りはじめの雨には注意すべきです。 雨というのは濃縮して降ってくるので、外部被爆を促進してしまいます。 濡れた手で顔などを触ってしまうと、放射性物質が粘膜から入ってしまう危険性もあります。
放射線から身を守るための食事
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マクロビオティックが良いと聞きましたがどうなのでしょうか。
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内部被爆に対して効果が見込まれるのが実は、マクロビオティックのような、日本の伝統食なのです。
これはチェルノブイリの事故のときの有名な話です。 チェルノブイリでは、放射性物質は西へ西へとヨーロッパに流れていったのですが、 そのときヨーロッパのマクロビオティック愛好者たちは、日本の味噌をこぞって買い求め、 日本では自然食を扱う問屋さんの倉庫が空っぽになったそうです。 味噌の他にも塩気のきいたもの、玄米食や黒焼き、海藻なども効果的だといわれています。 ヨーロッパやロシアの人たちに比べると、もともと日本人にはそういった食についてのノウハウがあるので、 その点は安心感を持っていただいて良いのではないかと思います。ちなみにマクロビオティックだけが放射線に対応する食の知識体系とは考えていません。現時点では、広島や長崎の原爆による影響を除外したケースが日本国内にはありますので、どうしてもマクロビオティック中心の食養生の話が多く聞かれますが、世界にはさまざまな食に対する知識があり、こういったものもおいおいご紹介していきたく思っています。
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日本の伝統食にはなぜそのような力があるのでしょうか。
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日本の伝統食が放射線対策に良いと分かったのは、広島と長崎の経験があったからです。 広島と長崎に原爆が落とされたときに、塩辛い玄米おにぎりを患者に食べさせたら後遺症がほとんどなかったなど、 当時の医師たちによる実証の記録が残っているのです。
放射線というのは拡散するもので、拡散のエネルギーというのは陰性のものです。 中心から外側に向かっていく力、つまり遠心力は陰性なのです。 逆に、中心に寄せていく力、つまり求心力は陽性です。 放射線の影響を防ぐためには、陰性の放射線と逆の性質を持った陽性のものがおすすめです。
今は特にマクロビオティックの陰陽に基づいて考えると良いと思います。 ローフードに完全に忠実にやってしまうことはどうしても陰性のものが多いので、今の状況ではあまりおすすめできません。全体にバランス良く、そのバランスについても追っていろいろご紹介したいと思っています。
放射線対策にはデトックス、抗酸化、免疫活性
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弊社のお客さまは自然に対策ができている方が多そうですね。
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自然食やマクロビオティックを実践されている方はもちろん、弊社で健康食品を買ってくださる方も、 化粧品を買ってくださる方も、意識しないうちに対策ができている方が多いと思います。
なぜなら、放射線が体に及ぼす影響を遠ざけるための対策というのは実は、私たちがこれまでご提案してきた、 化学物質の影響を遠ざけるための対策とほぼ同じなのです。
化学物質過敏症の方は、まず化学物質に近寄りませんし、そのために弊社の製品を使ってくださいます。体内に蓄積している化学物質に対してはデトックスが必要です。 今でこそデトックスという言葉は一般的になりましたが、私が商売を始めた頃はそんな言葉はなくて、解毒という言葉を使っていました。
私たちがご提案している健康食品のほとんどは、解毒の性質を持っています。 ここで製品名を挙げると薬事法違反になってしまいますので具体的にはご紹介できませんが、 私たちが強くおすすめしている健康食品はほとんどです。また、化学物質が体内に入って引き起こす作用の一つが酸化です。酸化の反対は抗酸化ですよね。 私たちが強くおすすめしている健康食品は、そのほとんどに抗酸化の働きがあります。 放射線もいろいろなものを酸化する性質がありますので、抗酸化の働きをもつ健康食品を摂っていただくと良いのではないかと思います。
さらに、免疫活性も重要です。免疫機能が低下してしまうと、さまざまな体のトラブルの原因となります。 ここでも、私たちの強くおすすめしている健康食品には、すべて免疫活性の働きがあります。
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化学物質も放射線も、まずは避けること、そして解毒と抗酸化、さらに免疫活性がポイントになってくるわけですね。
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化学物質過敏症の方では、それらの対策をすることで、辛い症状から解放される方がかなりいらっしゃいます。 アレルギーや花粉症の方などはさらに分かりやすいですね。
放射線対策に関しても同じように考えることができます。花粉症の方は花粉を吸い込まないためにマスクをしたり、 室内に入る前に体から花粉を落としたりしますよね。放射線対策についても、放射性物質は小さいツブツブなのですから、 これを吸い込まないためにマスクをしたり、体についた放射性物質を洗い流してきれいにしたりすることは、すごく大事なことです。
そして実はこれらの対策は、美容に良いことでもあるのです。
不安を手放してキレイになろう
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こんなときだからこそキレイでいようとした方が良いということですか。
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そういうことになります。こんな状況だからこそキレイな人って素晴らしいと思います。
美容のためにはまず正しい食事ですが、これは先ほどお話しした、日本の伝統食がまさにそうです。 プラスして健康食品を摂るのなら、やはり先ほどお話ししたような、解毒や抗酸化、免疫活性の効果があるものが良いでしょう。 さらにいえば、腸と免疫は関連しているので、腸内の環境を整えることも大切です。 また、美容のために外気の汚れやハウスダストに触れないように気をつけることは、放射性物質に触れないようにすることと同じです。
つまり、私たちがご提案する美容に良いこととは、化学物質過敏症にも、アレルギーにも、花粉症にも良いことであり、 それは放射線対策にも良いことであり、すべてはイコールでつながっているのです。
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お客さまには自信を持って今までの生活を続けていただきたいですね。
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ただし、放射性物質が化学物質と端的に違うのは、化学物質は自分の意志で近づかないということが可能なのですが、 放射性物質はそれが難しいことです。だから、非常に高いレベルの放射線が観測されているようなところでは、 その場所を離れる必要があるかもしれません。
けれども、それほど放射線のレベルが高くないところであれば、食事をはじめとして、 私たちが今までご提案してきたような生活をしていただければ、それほど恐れる必要はないかと思います。
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過度の恐れは体の機能も下げてしまいますよね。
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恐いという気持ちが一番免疫を落としてしまいます。 美容に良いことをたくさんやっていても、不安にさいなまれている人はキレイにならないでしょう。
あとは運動も大切です。運動をすることで過度の不安に陥りにくくなります。 美容にほぼ完璧にこだわっている人でも、運動はしていないという人が結構いるのですが、それでは本当の意味でキレイにはなれません。
安全な水を確保するために
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食事の他にお水についても気になるところです。
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水に関しては、発表が遅いとはいえ、各自治体の水道局が測定を行っていますので、ある程度は目安になるのではないでしょうか。 信用できないという意見も分かりますが、数値は毎日上下していますし、 浄水場の水が各家庭に届くまでに何日かかっているのかとか考えると、あまりこだわっても意味がありません。
常時数値が高いような地域では、今の段階では、市販されているペットボトルの水か、 私たちが無償でお送りしている安全な水道水を飲んでいただくのが最善だと思います。 日頃はそうでもなく、たまに突発的に数値が高くなるというレベルでしたら、弊社が今力を入れてご紹介している、 「ELIXIR II(エリクサー2)」や 「NEWハーレーII JE」などの浄水器をおすすめします。これらの製品のすごいところは、活性炭式で、かつ逆洗浄という方法でフィルターを掃除できることです。 活性炭の放射性物質に対する効果については、いろいろな研究がなされています。 活性炭は原発との関係も深く、原子炉の中の制御棒や、防護マスクの吸込み口などにも使用されており、 またチェルノブイリの原発事故においては、上空から散布されたこともあると聞いています。
個々の製品についての放射性物質に対するデータというのは、他社にもほとんどありませんし、 あったところで急ごしらえのデータで、何回も試験ができているわけではないので、どこも似たり寄ったりの状態だと思われます。 「ELIXIR II(エリクサー2)」や 「NEWハーレーII JE」も、今の段階では直接的なデータがあるわけではないのですが、 効果が明確にあるだろうと推察はされます。しかもこの二つの浄水器は、単に上から下に水が流れるのではなく、 圧力や回転をかけてものすごく長い距離を水が通るという点でも優れています。
また一般的な浄水器では、汚れがフィルターにたまる一方なので、放射性物質もフィルターにたまっていき、 蛇口から放射線が出続けることになってしまいます。「ELIXIR II(エリクサー2)」 や「NEWハーレーII JE」の特徴である、 逆洗浄という方法では、通常水が出てくる蛇口から逆向きにお湯を流すことで、 フィルターにたまった汚れをある程度まで除去することができるのです。
ただし、常時飲用不可のレベルまで数値が上がっているような水だと、放射性物質がすぐにたまってしまうので、 浄水器だけで対応するのはおすすめできません。ところで、今回のことで驚いたのですが、東京にお住まいで今まで浄水器をつけていなかったというが方たくさんいらっしゃいますよね。
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最近は水道水が安全だというキャンペーンもあったからでしょうか。
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放射性物質ももちろん恐いですが、それ以前に、水道水には化学物質とか重金属とかが混ざっているわけで、それも十分恐いです。 浄水場では大丈夫でも、たとえば鉛管を通れば鉛が入ってしまうように、各家庭にたどりつくまでに、 いろいろな経路で有害な物質が入ってくるのです。弊社のご紹介する浄水器は、これらの物質を取り除くこともできます。 それほどのレベルではない放射線よりも、日頃の化学物質の方がやはり依然として恐いのです。農薬のついた野菜を食べて、 合成化学成分のシャンプーやボディーソープやお化粧、芳香剤や消臭剤、それらを普通に使って生活している人がまだ大多数です。 放射線以外にも気をつけるべきものはたくさんあります。
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放射線以前に生活そのものから見直しが必要ですね。
水を汚さない生活
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今回の出来事ではっきりしたのは水の大切さです。やはり水を汚染しない生活をしないといけません。 原発の排水を海に流して騒ぎになっていますが、合成洗剤を使っている人も、同じように有害な水を海に流していることになるのです。
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すごく象徴的ですよね。
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洗濯するときも、水を大切にして汚さないでほしいし、それがどういうことなのかということまで見極めて生活していただきたいです。
飲み水にしても、ペットボトルで買うのも仕方ないのかもしれませんが、それほど心配がない地域の人は、 先ほどお話ししたような浄水器で対策をすることで、本当に必要としているところに水を届けることができます。 たとえば東京で、お米を研いだり顔を洗ったりと生活全般にわたってペットボトルの水を使うのは、今後のことは何ともいえませんが、 今日(2011年4月9日)この時点においては、そこまでする必要はないと思います。 また、ペットボトルの水はどうしても石油を浪費してしまいます。弊社が、機能性の高い一部の水を除き、 ペットボトルの水をそれほど積極的に販売してこなかった理由の一つもそこにあります。 ペットボトルを作るということは環境に非常に負荷をかけますし、ペットボトル自体のエネルギーも良くないものです。
だからこそ、他社さんが一生懸命水を売っている状況でも、弊社では水を探すより、再利用できるポリタンクで、 安全な水道水を無償でお送りしてきました。それも輸送にエネルギーを使うといわれればそうなのですが、 どんどん廃棄されるようなペットボトルを作るよりはよりマシかと思います。
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今この状況だからこそ、目の前のことだけでなく、それがやがてどこにつながるのかまで考えなければいけませんね。
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もちろん安心しすぎるのも危険です。ある程度の放射線レベルならば大人はそれほど心配ないとはいえ、 やはり数値は低ければ低いほど良いのです。だからこそ、私たちがご提案しているような方法で効果が見込まれるのであれば、 ぜひ実践していただきたいと思います。
食事にしても、いくら味噌が良いからといって、その辺りで安く売られているような、 大豆カスを使って促成で作った味噌ではほとんど効果がありません。 微生物発酵でしっかり熟成したものでないと、味噌本来のパワーは発揮できないのです。 栄養学的には同じでも、持っているパワーがまったく違ってきます。 以前、雑誌『らくなちゅらる vol.2 』でもお話ししたことがありますが、調味料というのは、 それ自体が薬となるくらいすごく重要なものです。この点でも弊社のお客さまは、 化学物質に対しても放射線に対しても耐性の高い体を作っておられることになります。
放射線を特別視するというよりも、今まで危険だといわれていた他のものに対する対策を続けていれば、結果は相当違ってきます。
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そこはやはり自信を持っていただいても大丈夫ですよね。
判断の基準となるもの
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恐怖や不安に駆られて対策をしてもあまり効果が出ないので、もっと元気になって世の中の役に立ちたいとか、 いつもにこやかでいたいとか、できるだけそういう気持ちで行動していただきたいです。
同時に、放射線のレベルに対しては、自分の中で基準を作っていただいた方が良いと思います。 場合によっては、引っ越しを伴うとか、職場を変えるとかの選択になりますので、最後は自己決定していただくしかありません。 諸説ありますが、ひとつおすすめできるのは武田邦彦先生のブログ (http://takedanet.com/)です。他の情報は厳しすぎたり、 緩すぎたりしますが、武田先生の情報はすごく腑に落ちるものです。
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風評被害も心配されていますが、どのように判断したら良いでしょうか。
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そもそも何が風評なのかという判断も難しくて、国がその基準をはっきりさせないことが一番の原因ではあります。
たとえ福島のものでも、原発事故以前に収穫されて倉庫に保管されているようなもので、 実際に測定器で測った上で放射線レベルは低いということであれば、弊社は積極的に買いたいと思っています。 そうしないと、既に収穫されていたお米とか雑穀とか、手間暇かけて作られたものがすべて無駄になってしまいます。
放射線レベルがすごく高いとなればもちろんだめなのですが、ある雑誌に福島の各地で測定をした結果が載っていまして、 東京周辺で測定されている値とあまり変わらないような地域も実際にあるわけです。そういった地域の問題のないものに関しては、 ぜひご紹介していきたいですし、お客さまにも購入していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
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ありがとうございました。
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ありがとうございました。
飯舘村からの実況報告
2011年4月13日、弊社代表の中川をはじめとする被災地支援チーム三人が、福島に向けて出発しました。 このために用意されたバスにはお客さまやお取引先さまから頂いた支援物資が満載。
福島ではさまざまなご縁がつながり、支援物資はすべて必要なところにお届けすることができ、 さらなる必要にお応えするための活動もできました。
現地には、頭の中の枠には収まりきれない、まさに現実が存在しています。その一端をお伝えすべく、4月17日、 中川が福島県飯舘村からの中継を配信いたしました。中継をご覧になれないという方のためにも、 その報告内容をまとめたものをお届けいたします。
福島県飯舘村 綿津見神社より
私は今、神社にいます。綿津見神社さんという村の鎮守様で、多くの方が敬愛されている神社様です。その宮司さんと知り合いになりまして、 この場所をお借りして中継をさせていただいています。
現在の飯舘村の放射線レベルは、5.57マイクロシーベルト毎時ぐらいです。今の時点ではこの数字ですが、 これも日々刻々と変わっている状態です。どれぐらいの差があるかというと、3月のある時点では、 およそ38~39マイクロシーベルト毎時という数字を記録していたそうです。それがこのところの原発の安定化に伴って、 私たちがいる間にも徐々に下がってきている感じは見受けられます。
ご存じのように、国はこのエリアの皆さんに対して、計画避難ということで避難を促している状態です。けれども実際には、 今もこの村では5,000人ぐらいの方が普通に生活されていて、ほとんどの方がマスクもなく、 非常に高い線量の中で農作業をされています。この神社の周りにも畑や田んぼがたくさんあります。
この村ではないのですが、私たちがガイガーカウンターを持って計測したところでは、 一部土壌から400マイクロシーベルト毎時という数字を確認することもあり、大変驚いております。ただ、 このエリアでの冬場の農業というのは、ビニールハウスを中心に行われていることが多く、 ビニールハウスの内部では1マイクロシーベルト毎時を下回る数字も記録されています。
それでもこの飯舘村においては、非常に高い線量の状態が続いていたということもあって、 今回の国の決定となっているということは、皆さんもご存じの通りです。
情報と実態とのかい離
実際にこの場所に来るまでは、福島県から宮城県や岩手県など、どの被災地のどういう状態の団体さんに声をかけても、 およそ「物資は足りているので、もういらない」という答えばかりが返ってきていました。それは県や市町村レベルだけではなくて、 もっと小さな単位の場所でも同じでした。このための調整に4日も5日もかかってしまいました。
特に私たちのお客様から子ども服の古着のきれいな状態の物をたくさん送っていただいて、その受け入れ先を見つけるのに非常に苦戦したのですが、 実際に持っていきますと大歓迎されています。飯舘村や相馬市、南相馬市一帯でも、物資はいらないという連絡を受けていたのですが、 特に今回は地元を基盤にした神社さんなどのお導きがありまして、そういったところで物資を配布されているということを知りました。
被災地から直に寄せられている声というのは非常に厳しいもので、この飯舘村でも、 インスタントラーメンだけを食べて生活しているという方がいらっしゃるとのことです。この村には、とてもたくさんの作物、 そしてとてもたくさんの家畜が飼育されていまして、私たちも来る途上、たくさんの牛を見ました。飯館牛というそうで、 一種のブランド牛として大切に飼育されてきた牛たちも、今まだここにいる状態です。
この状態の中で「食べ物は足りているのだろうか」と思っていたのですが、ここに来るまでにいろいろ問い合わせると、 津波で激しい壊滅を受けたエリアでも、原発の影響下にあるこのエリアでも、一時は物資が足りないということだったのですけれども、 ここ一週間ぐらいは「もうこりごり、たくさん」というような返事がほとんどでした。それなのに、 インスタントラーメンだけを毎日食べているという方もたくさんいらっしゃるという、この実態のかい離は何なのかという、 強い憤りを感じているところです。
現地の苦境
今こうして綿津見神社さんの前でお話をしているのですけれども、このエリアの皆さんは、 一見普通に暮らしているように見えます。お店も開いていたりしますし、もしかしたら今は物も来ているのかもしれないですが、 それを買うお金がどんどん厳しい状態になっていっているのですね。
たとえば、家畜を飼われている方であれば、それを出荷できない環境の中でえさ代だけがかかっていくという状態です。今まで 家畜と一緒に暮らしてこられた方からすれば、家畜に何も食べさせないということはあり得ないわけですよね。そのために自分たちの 食べる物をぎりぎりまで切り詰めていくという実態もあるかと思います。農家の方であれば、これから作付けをしたとしても、 今後収入が見込めるかは分からないわけですよね。
こういう実態があって、役場にはそれなりの物があるのかもしれないですけれども、物が届いているからといって、 皆さんに配布されていたり購入したりできるかというと、そうではないのです。これは相馬市で聞いた話ですが、 被災した方が水やミルクなどを受け取りに行くと、「あなた、本当に買えないの」という風にいわれているという現状を、 同行したスタッフが聞いています。役場に行ってもそういう状態では、もう二度と行こうという気持ちにはならないですよね。
今回、避難所におられる方にたくさん物資を届けてきましたし、避難所におられない方に届くような手配もしてきました。避難所には 確かに物がある部分もあるのですが、それでも福島県下で見る限り、十分にそれなりの食べ物が届いているかというと、実際はそうではありません。
このかい離について、マスコミでも多分報道はされていると思うのですけれども、 「じゃあ、どうすればいいの」ということが何も提案されていないと思います。皆さんが物やお金を送りたいと思っても、 日本赤十字さんはじめ、大きな団体は公平・公正ということを期すばかりに、 ほとんどそのお金は使われずプールされている状態です。私たちも今までかなりの金額をそういうところにお送りしてきたわけですが、 今すぐ困っている人たちに届くという状態にないということに憤りを感じて、ここまでやって来たのが真相です。
もちろんいつかは必ず配分されるものだと信じたいのですけれども、今、急を要する問題が、 この福島県下だけでも本当にたくさんあります。今回私たちは足を運べませんでしたが、宮城県、岩手県、 青森県や茨城県界隈でも同じだと思います。これが解決できるとすれば、私たちのような全く無名の人間が、 一個一個行動しながら解決していくしかありません。ところが、いざ皆さんが行動を起こそうと思った時に、 問い合わせ先からは冷たい返事が返ってくるという現実が待っていると思います。
草の根の活動
ただ、今何が起きているかということをこうやってお伝えすることができていますし、 私たちがその受け皿になることもできると思っています。私は事業として三十数名の社員を抱えているわけですから、当然、 ずっとここにいるというわけにはいきません。しかし、不思議なことに、たくさんのパートナーの方に今回出会わせていただくことができました。
相馬市、南相馬市、この飯舘村では「相馬救援隊」という相馬中村神社さんをベースにした有志の人たちが一生懸命物資を集め、 避難所や避難所以外でそれぞれ個別に暮らしている方、もしくは老人ホームなどに毎日必要な物を届けておられます。本当に びっくりするのですけれども、これらの地域では、野菜がまったくないのです。相馬救援隊の中心になって活動されている方も 「今、福島市には物があるの」ということを質問されました。
私たちも今日、かなりの物資を買ってきましたけれども、福島市内では普通に物を購入することができるのです。ただ、 購入した物を線量の高いエリアまで運んでくるとなると、これはまたなかなか難しい問題があります。同時にお金がないと物は買えないという、 当たり前のことなのですけれども、そういう現実もあります。
青い野菜が食べたい、もしくは野菜ジュースが飲みたいという声があっても、 現地の方々はインターネット上で活動をされているわけではないので、これまでは届くルートがありませんでした。ただ、 今回私たちが来たことによって、そういった方たちを中継して、 本当に困っておられる皆さんのところに届けることができるという状態が確立できました。
飯舘村に関しても、綿津見神社さんのタダさんという方が、線量の高い中をあちこちに走り回っておられます。氏子さんに大変喜ばれた ということもありますし、既に避難されている近隣の市町村の方にもぜひ物を届けたいということで、自分のことはさておき、 という活動をされています。
こういった方たちは、NPOでも支援団体でも何でもないのです。市井の方たちが、 「自分がやらねば誰がやる」という気持ちで活動されているということが、ここに来れば本当にたくさんあるということが分かって、 そういった方たちの連絡先も確認することができました。「必要な物は遠慮なくいってください」とも申し上げてきました。
ここから先は皆さんにお願いすることもたくさん出てくるかと思うのですけれども、この原発の事故で、 目に見えない問題を日々大変不安に思っておられる方がたくさんいます。そういった不安の中、少しでも力になるために、 野菜が届かない、牛乳が届かない、消臭剤が届かないといったことに対応できる体制ができましたので、 今後皆さんに具体的なご支援のお願いをさせていただくと思います。まずはこの飯舘村からぜひそのことをお願いしたいと思っています。
放射線から身を守るために
更に、この飯舘村のことだけでなく、「実際に放射線レベルはどうなの?」ということを、特に首都圏や関西、九州の方、 全国津々浦々の方が大変危惧されていると思っていますので、私たちが今まで計測してきた実際をお話ししたいと思います。
私は今、不織布のダストを中に入れない防塵の服を着ているわけですけれども、これはいわゆる防護服とは違います。ただ、 綿やいろいろな化繊の繊維に放射性物質が付いてしまいますと、 線量が高い場合にはそれがずっと体に付着して吸い込むということになってしまうので、ちょっと大げさに見えるかもしれないですが、 こういうものを着させていただいています。
実際にこの福島県下を、おそらく2,000キロぐらい走りましたが、その結果一つ分かったことは、 私たちは「プレマバス」ということで新しくバスを用意してあちらこちら走り回ったのですけれども、たとえばバスの中では、 外の放射線量と比べて3分の1ないしは10分の1の数字となります。
これは考えたくないことではあるのですけれども、危機管理というのは最悪を想定し準備して楽観的に行動するということが 要諦だというように私は思っていますので、ここで最悪のお話をさせていただくとすれば、もし万が一、 今後福島の原発において最悪の事態が起きたとしても、距離がある方々、もしくは福島県下であっても室内や車の中にいるということは、 放射線から身を守るということにおいては相当違うということを、実際に感じました。
今この場の放射線量は、3~5マイクロシーベルト毎時ぐらいですけれども、車の中に入れば相当下がりますし、 目張りをしたらもっと下がると思います。レインコートを着たり、帽子をかぶったりマスクをしたりということで、 さらに相当程度防ぐことができるはずです。
放射性物質が体に入る量や、一定の量になるまでの時間を確保することができるということを、今回実体験していますので、 ぜひこのことは覚えておいていただきたいなと思います。
「車ぐらいでそんなに効果があるのかな」と私たちも正直思っていたのですけれども、 たとえ一度線量が高いところに行ってしばらく窓を開けたりしていても、そのあと線量の低いところに移動して計測し直すと、 きちんと値は下がってくれます。拭き掃除をすることによってもまた下がっていきますので、多くの方の場合、 そんなに怖がる必要はないと思っています。
このことはぜひ日常の生活や、万が一何かが起きた時のヒントにしていただければと思っています。
意外だったのですけれども、車で移動していると、トンネルの中なども非常に低い値を示します。ですから、 空気の流れのないところが良いのだと思います。たとえば、谷に川が流れていて谷間のようになっているようなところは 、線量がおどろくほど低い状態ということもありますので、こういうことも覚えておいていただけたらと思います。
飲み水に関しては、専門的な装置がないので測っていないのですけれども、 地下深いところのものだったりするとまだまだ大丈夫ではないかというのが実感です。井戸水などは浸透するまでに時間があれば、 そこから水を確保することもできますし、今後何かあったとしても、 浄水場でもおそらく活性炭やゼオライトの透過ということを準備していると思われますので、 そこも大きなパニックになっていただく必要はないのではないかと思っています。
国の対応の遅さ
この福島県のエリア全体についてなのですけれども、最初のころは距離ごとに対策が変わるといわれていました。20キロ圏は「基本、 出てください」、30キロ圏は「自主的に避難してください」という話だったわけですが、この線量計を持って移動していることによって、 距離というのはほとんど関係ないということが分かってきました。
先般、福島県警の方が10キロ圏内でのご遺体の捜索ということをされたようですが、 その時に線量計が示している数字はおよそ1マイクロシーベルト毎時だったということは、 ご記憶にあるかもしれません。この飯舘村はそこからはるかに遠いわけですが、3マイクロシーベルト毎時前後、 一時は36~38マイクロシーベルト毎時という数字を示していたように、線量というのは、風向きや地形によって大きく違うものです。
国もやっと、一、二週間前になるのですか、「距離だけではない避難もしくは注意」ということを喚起し始めましたけれども、 このようなことはおそらく専門家の方だったら最初から分かっていたことなのではないかと思います。私は遅きに失したのではないかと思っています。
今回現地に来てみて思ったのは、これは単なる批判ではないのですけれども、とにかく遅いと思います。私は一人の商売人にすぎず、 何か大きなことが言える人間ではありませんが、「どうしてこんなに遅くなるのか」という憤りは、 本当にただならぬものがあります。公平とか公正とか、間違いがないようにということは分かるのですけれども、 非常に有名な大学の先生方が集まって一生懸命会議をしても何一つ解決しないのであれば、今すぐできることを皆さんやってくださいと、 政府や自治体がいってもいいと思うのです。
昨日と一昨日、有機生産者の方たちを訪問しました。実際に土壌の測定をするのですが、「作付けをしていいよ」といわれているエリアの方も、 このまま農作業をして土を触り続けていいのかと、大変不安な状態です。私は、「実際に作付けをして、夏の収穫期、秋の収穫期を迎えたとしても、 それが本当に市場で販売されることができるのかと思います」と申し上げました。
これは仕方がないことなのかもしれませんが、実際に秋の段階で作物を買っていただけるというのは、 非常に狭いエリアの物になるのではないかという気がします。
新しいチャレンジ
仮に原発がこの状態で止まってくれたとして、これ以上の放射線物質の放出がないとしても、 この土地を再生していくための技術や資材というものは十分に供給されるのでしょうか。もしくはもう既にたくさんあるのでしょうか。おそらく、 ないと思います。
それならば、日本には私たちのような小さな会社がたくさんあって、そういう小さな会社が日々、 技術の開発に努力をしています。そういった小さな会社のいろいろな可能性のある資材をどんどんコンペ形式で試していただけるような、 そういう仕組みをぜひ作っていただきたいというように思います。
それを県や国に要求したとしてもおそらく、「科学的ではない」とか「今の法律上なかなか難しい」という返事が前例を元にして 返ってくると思いますが、今は前例を求めている場合ではないのです。前例はないのです。だからやってみるしかないと私は思います。
そういうチャレンジ精神のある中小企業の方に集まっていただいて、たとえば微生物資材、活性炭素材、なんらかの作物、特殊処理した水、 水処理の方法など、フリーエネルギーと称されるものから農業技術に関してまで、他にもいろいろな技術があると思いますが、 こういったものを自治体・国がやってくれないのであれば、小さなグループでも取り組んでいただけるように私は働きかけを強めていますし、 そういった方たちと一緒にいろいろな実験の結果を粗削りでも出していって、それが必要な方たちに届く体制をぜひ作っていきたいと思っています。
思い付きを行動に移す
これも今、思い付きでいっているといわれればそれまでですが、その思い付きがもしかしたら誰かを救うかもしれないと思うがゆえに、 こうやってお話しさせていただいているということを許していただきたいと思います。
今日、買い物に行った時に長靴がたくさんありましたので、長靴をたくさん買いました。これも思い付きです。長靴ごときで高い放射線レベルから 人の体が守れるのかといわれそうですが、実際に線量計を持って1.5メートルの高さと地面の近くを比べてみれば、 地面の近くの方がはるかに放射線レベルが高いのです。ここをサンダル一丁で農作業をされるということは、 私は本当に避けていただきたいと思っています。
どれだけの長靴が確保できるのかといえば、数十足かもしれないですけれども、そのことを誰かがこの村の人に伝えることになって、 その人が少しでも気を付けようというように思っていただけたら良いと思います。もしこの村から一時避難することになった時でも、 それまでの体への影響というのは小さくて済むと思いますし、そのあとの生活の注意にもなると思います。
こういう小さな思い付きであっても、もしかしたら誰かを少しでもより良い状態に保てるのであれば、私は、今、 するべき段階にあるのではないかと思っています。
支援協力のお願い
最後にお願いです。今、弊社では被災地支援のために、プレマ基金というものを立ち上げ、 できるだけ皆さんのご支援をお願いしたいと思っています。そのことについてはまた詳しくお伝えしますけれども、 今必要なのは人手なのです。私自身が何度もここに来ていると、回らないこともたくさんあります。
たとえばプレマバスを運転してくださる方、たとえばマッサージ、散髪、老人介護、人のお世話ができる方など、 そういった方で「ぜひ何かできないか」という方がいらっしゃったら、私自身が直接同行することはできないかもしれませんが、 それを受け入れてくれる方を募りたいと思います。
それがどこになるのかは分かりませんし、いつになるのかもはっきりしませんけれども、 何かしてみたいと思っている方がいらっしゃるようでしたら、ぜひ私たちに連絡をいただければ、 何らかの手配をさせていただきたいと思っています。
今、お話ししている間に、放射線レベルが10マイクロシーベルト毎時を超える瞬間がありました。風向き一つで大きく状態は 変わっています。お手伝いをしていただく時には、こういった高い線量のところでも活動したい、 もしくはそれはちょっと難しいからそうでないところでお願いしたい、ということをいっていただいたら大丈夫です。岩手県でも今、 私たちの知り合いや仲間が活動していますので、そういった方面にお手伝いに行っていただくことも可能です。
いろいろなことができると思いますので、ぜひお力添えをいただければと思います。
では、飯舘村からの中継はこれで終わらせていただきます。
このあともし、「こういうことはどうだったの」とか「こういうことを知りたい」ということがあれば、 私たちが帰ったあとに中継させていただくこともします。ありがとうございました。