熊本県から無肥料自然栽培のお米「ヒノヒカリ」
農薬・肥料は使わない自然栽培。太陽の光や雨などの自然の恵みとともに、土が本来持つ力が最大限に生かされています。
農薬を使わない。肥料を使わない。
それだけでは決して作物を育て、それを頂くことはできません。
太陽の光や雨の恵みを感じ、土を理解し、自然界に生きるものの調和を学ぶ。
その上で農家はそっと手助けをしています。
お米本来のパワーを感じる自然栽培
「おいしい」という表現は生産者・料理人にとって、嬉しい言葉です。でも、その食品に自然のエネルギーを感じていますか?体が必要としているおいしさですか?農薬で虫食いが無くきれいな見た目。肥料で大きく育った野菜。それらには決して、大地の、自然の、そして宇宙のエネルギーを感じる事はできません。
野菜やお米を人間の都合のいいように作り上げるのではなく、自然界に生きるすべての生き物が調和し、繁栄するために自然栽培に挑戦し、育ったお米を紹介します。
肥料や農薬を使わない・・・だけが自然栽培ではない
毎年変わる気候や土壌。急な台風などにも左右される農業は、何もかも一筋縄ではいきません。
田んぼや稲・土・天気の様子を見ながら、今何をすべきかを考えます。この見込みを間違えると取り返しの付かないことにもなります。特に慣行栽培から切り替えた数年は、単に農薬を与えない・肥料を与えないだけでは作物は育ちません。
収入が途絶え、自分達の食すら賄えなくなるという事態になり、自然栽培を諦めるのか、それでも極めていくのか・・・農家さんたちの苦悩の日々が続きます。
ご紹介する方々も幾度も悩み挫折しながらも、ようやく販売できる収量になりました。
自然栽培家の紹介
土の理論を徹底研究した元田祐治さん 自然栽培は2004年~
自然栽培で育った作物は食べた瞬間は物足りなさを感じます。
ところが、それをずっと食べていると慣行作物が食べられなくなってきます。
なんでだろう?と考えてみると勝手に体が必要無いものを拒否するんですよね。
自然栽培家への道
1977年 熊本県立高校を卒業後、飲食業界・電子電気業などサラリーマンを経てバブル崩壊後に帰省。ちょうどその頃、農家であったお父様が他界し、農業の道を進みます。
農業を始めた当時は手伝い程度でしか農業に関わっていなかったが、奥様の知り合いから「無農のニンジンがほしい」と言われたことをきっかけに、まずは無農薬や自然栽培について調べることから始めました。
「肥料も農薬も使わない無肥料栽培、そんなものあり得るわけない、肥料無くして作物が育つものか!」と憤っていたものの、そのことが頭から離れず、「本当にそれが可能ならば凄いことかもしれない」と考え改め、気になるならやってみようと、即行動。
自然栽培をしているわずかな生産農家さんに会い、セミナーには全て参加し、学生時代にもやらなかったくらい自然栽培の勉強をしました。しかし、現実は甘くはなかった・・・虫食いだらけの野菜に、カビてしまうお米。
「こんなものやはり嘘だったんだ!」と、妬む心を持つ一方、肥料にも農薬にも頼らずにおいしくキレイなものを作り上げている人がいることも事実だと受け止め、他の人に出来て自分に出来ないわけはないと、負けず嫌いの性格にも火がつき、本格的に自然栽培と進みました。
土壌について学ぶ
2010年1月 土壌生成理論に出会い、ずっと悩み戦ってきた『肥毒』についての戦いも一気に謎が解明していきます。
慣行栽培から自然栽培に切り替えた際は必ず残留肥料の問題が出てきます。この残留肥料が原因で土の奥深くからのエネルギーを遮断しています。地上から数十cmの所に肥毒層があり、表面の土の栄養素しかえることが出来ず、地核からのエネルギーをいただくことはできません。
※肥毒とはたとえば慣行農法などにおいて使い続けた肥料・農薬による土の中に出来た残留物質の塊であったり、石灰などによる物理的に土が硬化した状態。
表面は暖かくてやわらかい、水はけ・水もちが良い土です。また肥毒層を挟んで地核に近いところも同じように暖かくてやわらかい土です。
それに対して間にある肥毒層が、地核側からの土のエネルギを遮断しているのです。また、ここの温度は回りに比べて低く固い土となっています。人間で言う肩こりと同じような症状。
この固くて冷えた土は、ほぐせばいいというのではなく、肥毒を抜かなくてはいけません。この手助けをしてくれるのが、やはり植物の力で大豆や麦・稲などを栽培します。初めは虫や病気によってせっかくの植物もダメになることが殆どですが、数年で肥毒層もなくなり、土全体にエネルギーが満ち、ようやく無肥料での栽培としてスタートラインに立つことができます。
食味ランキング優秀賞を何度も受賞する、栽培者 中島浩之さん(自然栽培は2005年~)
元々中島さんは無肥料自然栽培をされていて、2014年の時点では 無肥料栽培歴9年となります。
ただ、元田さんが管理をし始めたのが4年前。そのため入荷する30kgの袋には無肥料自然栽培歴は4年と記されています。
中島さんは有機JAS申請もしているので30kgの袋には有機JASマークが入っています。
これを小分けする元田さんは有機食品の小分け業者の認定を取得していないため、この時点で有機JASマークは外れます。
元田流 自然栽培米ができるまで
5月上旬
苗土
田の状態です。草刈りして表面には昨年刈り落とした藁があります。
これで草刈りしたときに、藁も細かくなっていますし、隠れて光に当たらなかった部分も露出し完全に風化させるのです。
天気がいい日は一日で乾くのでそこから苗用の土を取ります。
ふるいにかけて細かい部分の土を使います。それを苗箱の下の部分に使います。この土は素晴らしい養分を持っていますので、本来ならばこの土だけで苗土にしたいところですが、そうすると苗は大きくなりすぎて田植え機を使うに支障が出ます。それを抑えるために山土をかぶせて制御します。自然の土はそれだけで肥料に値するものを持っているのですね。
田起こし開始
感土効果を求めて土が乾きやすく、大きく起こします。起こすのは立てるつもりでひっくり返らないのがコツなんだけど意外に難しい・・・。
5月中旬
温湯消毒と苗床均し
温湯消毒です。いくつかの稲の病気に対抗するための殺菌です。管理温度は60度10分。温度は絶対60度を超えないことと、引き上げたらすぐに冷水で冷やすこと。引き上げてそのままにすると蒸れるから注意が必要です。
苗床
5月下旬
種まき
空と打ち合わせしながら、ようやく種まきが出来ました。
田の鋤き戻し
鋤き戻しを始めました。これを終えると田植えの水入れまで何もしません。
毎年変わる土の状態。いろいろ変化が起きてくるのですがそれを見逃さず、しっかりと観察し今後につなげていかなくてはいけないと思います。
6月上旬
種まき
今年も稲苗はちゃんと出来ました。このままで田植えまで置いておけば見事な苗になります。
苗から肥料も農薬も使いません。苗の土には田の土と嵩増し用の赤土だけです。
苗が出来れば今年は半分は出来たようなもの。今後にも手抜きはないですからいいものが出来てくるのが予測できます。
6月下旬
代掻き
田植え出来るように代掻きをやってます。
自然農法を学んだ際は、ざっと簡単に済ませ塊を残したままで表面だけトロトロ状態を作るのがいいと教わりました。
理由もわかっているし納得もできているが、それをどうにかやってきてたけどジャンボタニシと草の処理に苦しむ状態。何かの方策を考えねばならない。
それがいいのか悪いのか結果は分からないが、今の状態ではそれがいいと判断。自然の流れを考えて自分で考え自分で進めるようにならなくてはならない。
田植え
さあ田植えです。日本の中で一番遅いのでないか?というこの地区での田植えです。多くの地域はすでに田植えは終わっていますよね。
梅雨のまっただ中なだけに、雨が降ったりと思うように進みません・・・
しかも雨が強く降ると田に溜まる。そしてジャポンタニシが活動して稲苗を食べる。
田植えからひと月くらいはこのタニシとの格闘が始まります。
合間には自然栽培のセミナーや
田植えイベントもやっています。
余談ですが、こちらはネギの畑。
田植えが続くと畑は草まみれになっています・・・
田の草
今年も田にタニシと草が出てきてます。
これを克服しなきゃいけない。全てに出来るようになれればいいだけなんだけど、そう簡単ではないのだ。
8月上旬
お米は順調です。美味しいお米になってくれるから楽しみでしかたない~
10月上旬
稲刈り
毎年遅いのだけれど、時期を見極めるのに気を使います。
この後の行程は全て自分でやれるからこそ、自分の感覚で仕事を進められるんですよね。
名水百選に認定された熊本県菊池市の水源
『熊本の菊池は水がいい』
これはよく聞いていたが、菊池の水源となっている菊池渓谷に行ってみると、菊池水源は日本名水百選に選ばれているほど優良。
地下から湧き出ている川なので水温が低く、紅葉も早く進んでいる。また深いはずの滝つぼの透き通った水の色は今までに記憶にないほどの色。
遠方から水を汲みに来ている。
こんな湧水が田んぼの真横にあり、この水で栽培しているのだから、そんじょそこらの水がいいと言われる地域とは格が違う。
ただ、数年前は湧水が少なくなっていたが、2年ほど前の熊本地震以来、大量の湧水が復活したらしい。