命を育む『羽鹿さんの玄米』
三重県名張市で農薬・化学肥料不使用で栽培された玄米
生産者の羽鹿さんは、青年海外協力隊の隊員として世界を回ってこられました。
弊社代表中川ともインドのベナレスでお会いして以来の付き合い。
そんな羽鹿さんが、「支援のいらない世界を作っていきたい」との願いを込めて
三重県名張市で農薬を使わずにお米をつくっています。
赤目の田んぼが最初の一歩
農業を通じて作り上げたい新しい世界
出来ることから始めよう!
三重県の赤目で農薬や化学肥料不使用で農業を手がける羽鹿氏はそう言って人なつっこい笑顔を向けてくださいました。
羽鹿秀仁(はしかひでひと)さんは、ちょっと変わった経歴をお持ちです。先ずは、海外青年協力隊でニカラグア、パナマにて5年勤務の後、帰国。そして、NPO法人ネットワーク『地球村』にてアフガニスタン支援 環境・平和問題に3年間取り組み、一念発起して、三重県の赤目で2006年より農薬を使わない農法に着手し、現在お米を栽培されています。
世界中を回り、さまざまな救済、支援活動をしてきた羽鹿さんが 今なぜ、農業なのか?!先進国というものと発展途上国というものの狭間にたってその矛盾、問題を目の当たりにした時、見えてきたものはなんだったのでしょう?
羽鹿さんの行き着いた答えは“支援のいらない世界を作っていく”ということでした。
まず自分が自分の力で食料を作る、言葉を換えれば奪わない立場に立った上で支援活動に取り組んでいくことが大切なんだと思い始め、農業を始めようと決意しました。
“奪わない立場”短いけど、深い言葉ですよね。現場を見てきた羽鹿さんだから、よけい重みがあります。
しかし、羽鹿さんは明るくおっしゃいます。
そのためには生産者と消費者の距離を近づけることが大切だと思います。難しく構えるにではなく、先ずは気軽に楽しく農業に親しむところからはじめてほしい。できることから始めよう!物を作ることの大変さとおもしろさを、少しでも感じることが第一歩になるのだと思います。
プレマスタッフも行ってきました。田植え体験!見るとやるとは大違い!お米は八十八と書き、その通り八十八の苦労で出来ているといいますが、はじめは裸足になって沼田に入るのもおそるおそる、、。ヒルっていないの?足、抜けなくなったら?
しかし、植え終わって空を見上げたとき、なんてすがすがしかったでしょう。心地よい疲労感と達成感。大地と一体化したような充足感を味わってきました。
詳しい体験レポートは、プレマスタッフの田んぼレポから。
今、世の中では、スーパーに行けば、世界中の食品がなんでもそろっています。その虫食いもない美しい野菜はどうやって作ったの?色とりどりのくだものはどこから来て、どんな人たちが収穫したの?なんて疑問は横に置き、安いもの、見栄えのいいものが求められる現代。
先日、我が家ではこんな子どもとの会話がありました。
「ねえ、お母さん。農薬ってタダなん?」
「ううん。」
「じゃあ、なんでお金かけて食べられないもの作って、またお金かけてその農薬落とすん?(家の子は農薬アレルギーです。)」
「確かに、、。」
羽鹿さんはこうもおっしゃっています。
“自分は正しいことをしている”と思わないようにしている。自分の正義感や使命感を押しつけるのではなく、気楽に楽しみながらでいい。先ずは、体験してほしい。一歩踏み出してほしい。そして、自分が作ることの楽しさを味わってほしい。そこで、いろいろな気づきや発見があったら、自身から求めるもの自体が変わっていくのではないか。ゆくゆくは、社会が、情勢が改善されていくのではないか。
-自分は、原点に立ち返る 生き方のモデルになりたい。
「自分が」でなく、「自分から」広がっていくことができたら。-
羽鹿さんは今後、全国の仲間と連絡を取り合って農作業体験を希望する方々にその場を提供するお手伝いをされたいと考えています。生産者と消費者の新しい関係を模索しつつ、今日も、もくもくと手作業で 『命を育む食べ物』を作っている羽鹿さん。
ぜひあなたも、夏が来る前に一度、赤目の田んぼに遊びにいってみてください。そして、“はじめの一歩”を体験してみてはいかがでしょう。
僕は農業一年生!
みんなが関わる新しい農業のあり方を目指して
支援のいらない世界を作っていきたい
羽鹿 秀仁(はじかひでひと)
サラリーマン、経営コンサルタント、青年海外協力隊の隊員として中米のニカラグア、パナマで5年間活動後、ネットワーク『地球村』というNPO団体のスタッフとしてアフガニスタン支援に3年関わり、2006年から三重県名張市赤目で農薬を使わない農業を始める。
中川が10年前にインドのベナレスでお会いして以来のおつきあい。といってもプレマを立ち上げた時、羽鹿さんは海外に出ていて連絡がつかなくなっていました。ご帰国後たまたまプレマのサイトにたどり着いた羽鹿さんが、すぐに連絡をくださり、5年ぶりの再開を果たしました。
- プレマ
-
経営コンサルタントや海外での活動といった経歴からは農業との接点はなさそうですが、農業を始めたきっかけをぜひ聞かせてください。
- 羽鹿さん
-
青年海外協力隊やNPOで中米やアフガニスタンで支援活動をしているときは仕事にやりがいを感じていましたし、精神的にも満足していました。災害や戦争、貧困で苦しんでいる人たち、特に子どもたちに支援をすることで彼等が笑顔になってくれることがとっても嬉しくて、どんなに厳しい環境下でも辛いと思ったことはありませんでした。ただ、日本に戻って普通に生活をしているとき、自分は食料もエネルギーも自給率ゼロ、にも関わらず、好き勝手に飲み食いして、エネルギーを使いまくっている。ある意味、途上国から奪いながら生活している。その自分が奪ったのもの一部を還元する形で支援活動に関わり、いいことをした気持ちになっていて良いのだろうかと疑問を感じるようになったのです。
とはいえ、ここで誤解して欲しくないのは、世界中の現場で支援している人たち、あるいはその活動を募金やボランティアで支えている人たちを非難しているわけではないということです。今、実際に苦しんでいる人たちを助ける支援活動はとても大切だし、それに支える人たちの善意は素晴らしいと思います。ただ、自分が本当にしたいのは支援をすることではなく、『支援のいらない世界を作っていくこと』なのだと思うようになりました。そして町中で何不自由なくしている自分の生活が、他の国の人から奪う、あるいは環境破壊という形で未来につけを残すことによって成り立っているのではないかと考えるようになってきました。
そしてまず自分が自分の力で食料を作る、言葉を換えれば奪わない立場に立った上で支援活動に取り組んでいくことが大切だと思い始め、農業を始めようと決意しました。
- プレマ
-
奪わない立場に立つための農業デビューを果たした羽鹿さんが目指す農業とはどのようなものでしょうか。
- 羽鹿さん
-
まず、農業という言葉はあまり好きではありません。"業=生活の手段"として考えると、どうしてもお金儲けや効率と言うことが優先されます。それが環境や健康に悪いと知っていながら化学肥料や農薬の使用、果ては産地の偽装にもつながってくるのではないでしょうか。もちろん生活していくためにお金が必要だし、無料で農作物をお渡しするわけには行かないので対価としてお金をいただきますが、それよりも生産者と消費者がお互いに相手のことを尊重できる関係を作っていきたいと思っています。
例えば、残念な話ですが、農薬を何度も何度もかけて「こんな野菜、怖くてよう食わん」と言いながら市場に出荷して、自家用の野菜は農薬を使わずに作っている農家があることも事実です。消費者の側も有機・無農薬栽培の野菜よりも見栄えが良くて安い物を買う傾向があるようです(最近は少しずつ変わってきているようですが・・・)。このような、お互いに自分の利益しか考えない関係は望んでいません。生産者は『命を育む食べ物を作っている』という誇りと、『人に食べてもらっておいしいと言ってもらえる喜び』を感じられる。消費者は生産者が作った苦労を考え、感謝しながら食べ、そして生産者がかけた手間に見合うだけの金額を支払う。そんな関係を作っていくことが目標です。
- プレマ
-
そのためには、具体的にどうすればいいのでしょうか?
- 羽鹿さん
-
まず一人でも多くの人が直接的、間接的を問わず農業に関わってもらいたいですね。
物を作る大変さとおもしろさを少しでも感じることが第一歩なので、そのためには生産者と消費者の距離を近づけることが大切です。できれば生産の現場に来てもらって生産者と話をする、そして少しでも農作業を経験してみる、そんな関係が作っていければ良いですね。
もちろん、農村まではなかなか行けないという人もいるでしょう。例えば、正当な価格で農作物を買う、HPやメールを通じて情報を交換する、そんなことでお互いの関係を深めていくことができると思います。プレマさんのHPは、ただ物を販売するだけではなく、こうした情報の交流を上手く支援して、生産者と消費者の新しい関係作りをされていると感心しています。まさしく21世紀型の流通業です。
- プレマ
-
ありがとうございます!さて、そろそろ羽鹿さんのお米についてご説明いただけますか。
- 羽鹿さん
-
できる限り昔ながらのやり方で作りたかったので、5月に苗床に籾を播いて苗作りから始めて、田植え、除草、稲刈り、はざがけまで全て手作業でやっています。手作業だからおいしいというものではありませんが、十分な労力と愛情をかけた自慢のお米です。また、地主さんが昔から一切農薬も化学肥料も使っていない田んぼを借りることができたので、安全面にもかなり自信を持っています。もちろん味も素晴らしいと思っていますが、これは皆さんに評価いただきたいですね。
- プレマ
-
農業一年生として、一番苦労された点はどんなことでしたか?
- 羽鹿さん
-
いろいろありましたが、やはり一番はイノシシの被害に苦しめられたことですね。赤目(三重県名張市)地域でも山が荒れ食料がなくなったこと、イノシシの生息域が道路で分断されたことなどで、イノシシの被害が急増しています。柵を作ったり、ラジオで音を鳴らしたり、安全灯を点滅させたりしましたが効果はなく、米の田んぼでも1割程度がイノシシにやられました。10月の中旬には「はざがけ」している稲を食べている子どものイノシシ二頭を追いかけたこともあります。
いのししの被害
いのしし避けのフェンス
- プレマ
-
最後に、プレマをご利用の皆様にぜひメッセージをお願いします。
- 羽鹿さん
-
私の作ったお米にご興味を持っていただき、ありがとうございます。ご購入いただければもっと嬉しいです(笑)。農業を初めてまだ2年目。これから自分の目指す農業を確立し、生産者と消費者の新しい関係を作っていきたいと思います。自分が農業をすることによって、一人でも多くの人が農業に触れ、食の安全性、環境問題等に関心を持っていただくきっかけになれば幸せです。機会があれば、ぜひ赤目に遊びに来てください。そして農業に触れてみてください。
- プレマ
-
羽鹿さん、どうもありがとうございました。これからも美味しいお米を私たちに届けてくださいね。
羽鹿さんの一年
田んぼに畑に大忙し!
羽鹿さんの農作業アルバム
田植え前
田植え後
山の中の田んぼ
黒米
黄金色の穂
モグラの穴
虫にやられてしまったキャベツ
復活したキャベツ
ジャガイモの収穫
トマトが出来た
収穫した野菜
色とりどりの野菜
刈り入れ風景1
刈り入れ風景2
刈り入れ風景3
はざかけ
脱穀
番外編 つくし
農薬や除草剤を使わず育てた天日干しのお米
農薬や除草剤を一切使わないで育てたお米は刈り取ったのち、はざにかけるという昔ながらのやり方で天日で乾燥させるという手のかけよう。
できる限り機械は使わず、人の手を使ってお米を作るという羽鹿さんのこだわりのもと、たくさんの人の手と愛情をたっぷりかけてつくっています。
除草剤を使わない紙マルチ農法
羽鹿さんのお米作りのこだわりは出来る限り機械を使わずに作ることと、農薬・除草剤を一切使わないこと。
そのうちのひとつ「除草剤を使わない」ために取り入れている方法が紙マルチ農法です。
田んぼの雑草を防ぐために、田んぼに紙マルチ(大きなロール状の紙)を敷きながら田植えをする紙マルチを使った米作りを行っています。
この紙に穴を空けて苗を植えると苗には日が当たりますが、地面には日が射さないので雑草の種が発芽しても成長できません。 紙は2ヶ月ぐらいで土に返るので、自然にやさしいお米作りになります。
通常、お米を作るときは除草剤をまいて雑草を枯らせていきますが、雑草を枯らせる薬はお米にも何らかの影響があると考えられるためこの方法を取り入れています。
昔ながらの天日乾燥
羽鹿さんのお米は昔ながらのやり方で、はざにお米をかけてじっくりと乾燥させます。
はざにかけてお米を乾燥させるやり方はかなり手間がかかるため、有機栽培をしている農家でも実際に行われているところはほとんどありません。
たまにあっても自家消費用のお米がほとんどで、市場に流れているお米ではざかけをしているものは1%もないのではないでしょうか。
はざにかけて乾燥させると稲の茎に残った養分が最後までお米に降りていき、お米が熟成され、また太陽の光でじっくりと乾燥させるので、お米の味わいが深くなります。
※2週間程、天日干ししています。
最終的に乾燥むらがあるとお米にカビが生えたりするリスクがあるので、乾燥機に入れて送風乾燥で仕上げています。
羽鹿さんからのおたより
私がお米作りを始めたのは5年前。青年海外協力隊、NGOで10年ぐらい海外で活動した後、自給自足が今の世界を変えるキーワードだと感じてからです。それまでまったく農業とは縁のない生活をしていたので、試行錯誤の連続。そんな中でもプレマさんは初年度から黒米の扱いをしていただき、とっても助かりました。
そして今年は普通のお米も扱っていただくことになりました。
私のお米作りのこだわりは有機肥料と農薬・除草剤を一切使わないことはもちろんですが、できる限り人の手で昔ながらのやり方でお米を作るということ。
田植え、稲刈りはほとんど手作業で行います。といっても一人ではできることには限界があるので、たくさんの人に手伝いに来てもらっています。これは単に作業をしてもらうということだけでなく、農業を通じて自然との関わりや環境や食の問題などいろいろなことを感じてもらいたいとの想いからです。そしてたくさんの人の手がかかったお米はエネルギーが満ち溢れているように感じています。
もちろん、刈り取った稲はきちんとはざにかけて乾燥させます。そうすることで稲の茎に残っている養分が最後までお米に吸収され、そして太陽の光でゆっくり乾燥させることでお米の熟成が進みます。お米のはざかけは日本の原風景の一つだと思いますが、今ではほとんど見ることはありません。たまに見かけてもほとんどは自家消費用で市場に出ることはあまりないようです。
私が農業をしている名張市赤目は三重県の山間部で、水がきれいで、昼と夜の寒暖の差がある、お米作りには最適の地域です。
じっくりと手間と愛情をかけて、育て上げたお米をぜひ味わっていただきたいと思います。
プレマスタッフレポート
プレマスタッフの田植え体験
羽鹿さんの田んぼレポート 坂井歩
お客様コンサルティングチーム コンサルタント
坂井 歩
「蛍がいるよ!」のひと言で草取りに家族3人でお邪魔しました。
思えば田んぼに入るのなんて、小学校の課外授業以来人生で2回目。泥に足を取られて思うように動けなかった、どちらかと言えば嫌な思い出です。20数年来の田んぼに恐る恐る足をつけましたが、これがびっくり、むにゃむにゃの感触が結構心地良いのです。嫌がって畔でお昼寝してしまった娘を放ったらかして、主人と二人すっかりはしゃいで、あまりの気持ち良さに黙々と草を抜き、泥と水とたわむれてしまったのでした。
そして案の定、1時間も経たない内に腰が悲鳴を上げ始めました。翌朝は全身筋肉痛・・・。しばらくしたら、また元気いっぱいに生えてくる雑草たち前に「ここは先週抜いた所です」とニコニコしながら話す羽鹿さん。こんなに大変な作業を楽しそうにされてる姿に、お友達がお手伝いに集まっていらっしゃる、というのも頷けてしまうのでした。体はあちこち痛いけれど、気持ちの良い疲れと充足感いっぱいの草抜き旅行でした♪
袋に詰められ立派な商品となったお米を前に、ぜひ沢山の方に召し上がっていただきたいなぁと思うのでした。
羽鹿さんの田んぼレポート 山下喜代己
経営戦略室
マーケティング担当
山下喜代己
数年前の春、社員研修の詳細は一切聞かされていなかったのですが、「偉大なるヨガの先生が待っています」とだけ教えられてバスに乗り込みました。
そんなミステリー社員研修の一行が向かった先は、富山県の田んぼ。結局は、田植え作業以外の何ものでもなかったのですが、なるほど、実際に田んぼに素足を突っ込んでみると、自分が地球と一体になった感覚が全身に染みわたります。最初はひんやりと冷たかった泥の感触がいつのまにかポカポカとした大地の温もりに置き換わっていきます。
田植え作業は数時間のものでしたが、ほどよい疲労感とともにいつまでたっても体とココロはほんわかとあったかくてバスに揺られながら、スタッフ全員夢心地で帰路に就きました。
何事も、作業だと思うとそれまでかもしれませんが焦点を変えれば全然違った体験ができることを実感した研修でした。
そして、次にやってきた田植えの機会が羽鹿さんの田んぼ。
お誘いをいただいたので数名のスタッフと一緒に、三重県の赤目へ。車で行こうかとも思いましたが、ヨガの後はおそらく運転できないだろうと電車を乗り継いで行くことにしました。
富山では、すでに苗が植えられた田んぼに、歯抜け部分を補うようにして苗を植え足していく作業でしたが、今回は、まったくもってピカピカ状態からの田植え作業。どうやってまっすぐ植えるのかと、前回は抱かなかった疑問も沸きますがなによりも、「本当に一日で植えきれるの??」という不安・・。
子ども達はオディさん(羽鹿さんのニックネーム)とすっかり意気投合し邪魔にならないところで適当に遊んでくれてはいるもののそれはつまり、オディさんも戦力外ということでして・・・。
はるばる片道3時間かけて来たわけで、子ども達もいる手前、母はいまさら逃げて帰るわけにもいきません。もうこうなったら、無心で田植え作業に専念するのみです。
ところが、この、「無心」というのがよかったようで。
富山での歯抜けを探しながら植え足す作業とは異なり自分なりに一定のリズムを維持しながら、同じ動きを続けます。そして、体がストレスを感じない姿勢を得られたあたりから、本当に脳みそが空っぽになるんです。
「瞑想はいつでもできる。無心に何かをやっているときがその状態だから」と、以前友人に教えてもらったことがありますがなるほど、瞑想状態。やっぱりヨガの極致です。
私は何かをしながらも、あれこれと思考する習慣がありましていつもならこういう状況だと散々脳みそを動かしがちなのですが、どうやら今回に限ってはまったくそんな傾向なし。
こうなると、ああ大地と一体になって気持ちいいとか地球の温もりを感じるとか、そういった感情もありません。
でも今考えてみると、きっとそういう環境が整っていたからこそ肉体的な苦痛をまったく感じることなく脳みそ真っ白のトランス状態に入れたんでしょうね。毎日のあわただしい生活の中では「次に次に・・・」と先回りして頭フル回転が基本。これはこれで現代に生きる私たちの重要な能力ではありますが、必ずしも24時間毎日この調子でいる必要ないんですよね。
ちょっと、スッカラカンになりたいなぁ。
そんなリクエストに簡単に応えてくれたのが、田植えのお手伝い。まさか両手に子どもを連れて、こんな贅沢な経験ができるとは夢にも思っていませんでした。
羽鹿さんは今後、全国の仲間と連絡を取り合って農作業体験を希望する方々にその場を提供するお手伝いをされたいと聞いています。ぜひあなたも、夏が来る前に一度スッカラカン体験をしてみてはいかがでしょうか。
追伸:もちろん田植えはしっかり完了。翌日の筋肉痛もなく快適でした♪
羽鹿さんの田んぼレポート 宮崎美里
お客様コンサルティングチーム コンサルタント
宮崎美里
5月下旬のある晴れた日、羽鹿さんの田んぼにいってきました。田舎育ち、畑作業大好きの私ですが、田植えは初体験。昨年の社員研修でも田植えをしたと聞いていたので、入社前からこの機会をとっても楽しみに待っていました。
電車に揺られること1時間半。山いっぱいの三重県の赤目口に到着。羽鹿さん宅で半袖半ズボンに着替え、麦わら帽子を装着。いざ出陣!
恐る恐る水を張った田んぼに足を踏み入れると、ズボッ!一瞬バランスを崩しそうになるも、両足とも無事着底。泥が足に吸いついつき、足首をキュッとつかまれている感覚です。
苗の束を片手に、ズボッズボッと足を取られながら進んでいきます。進むと言っても「後進」なんですよね。腰をかがめた状態で、後ろに後ろにさがりながら苗を植えていきます。羽鹿さんの指示と張られた糸に従い、真っ直ぐ均等に植えようと努力するものの顔をあげて見ると、あちゃ~、ぐねぐねだわ・・・。縦ラインも横もラインも波をうってしまっていました。真っ直ぐ並んでいないと、稲を刈る際に大変なんだそうです。羽鹿さん、ごめんなさい!
そして、田んぼの中には、足の入れ場に困るくらいたくさんのカエルの卵が。カエルもミミズも平気なので、怖くはありません♪水中昆虫も手や足にぶつかって、アイタタタ。周囲には鳥やヘビなんかも出現したりして、たくさんの命を田んぼで感じました。
お昼休憩を挟み、3~4時間で、何もなかった泥の田んぼに緑の苗が植え揃いました。一生懸命みんなで植えた苗。キラキラと光って愛らしい限りです。手間隙かけて育てられた作物が美味しいのは、こだわりの農法+作り手の方々の愛がたくさん詰まっているからなのだろうなぁと心から感じるひとときでした。
久々に自然の中でのびのびできて、気分もすっかりリフレッシュ!
苗たちの今後の成長を楽しみに、赤目をあとにしました。
ちなみに、この日は本当に天気が良くお日様をたくさん浴びました。腰をかがめて作業をしていたせいで、シャツとズボンの間から覗いていた私のお肌はしっかり日焼け!火傷のように真っ赤々。5月といえど油断大敵ですね(涙)
田植えから1ヶ月ほどたった7月上旬。羽鹿さんから「草引き」のお誘いが♪今回も喜んで参加させていただきます!再び訪れた田んぼでは、苗が大きく成長していました。ぐねぐね曲がっていた痕跡も目立たず(羽鹿さん植え直してます?)一安心。
今日は日焼け対策バッチリで作業に挑みます!「田んぼも草引きが必要なんですね~」と私。畑で除草が必要であることはもちろん知っていましたが、「田んぼの草引き」は恥ずかしながら初耳でした。
除草剤を撒いていないから、当然、雑草も根をおろすんですよね。これまで私が目にしきた田んぼは、整然と苗が並び水面にも余計な草は見当たらないそんな田んぼでした。命が宿ることの難しい田んぼだったのだと思います。
苗と苗の間に生えた雑草ちゃんたちを一定量抜いては、畦にぽ~いっ、ぽ~いっ。実家の畑でも、時間を忘れて作業に夢中になってしまう私。このときも黙々と草を抜いていました。何故だか好きなんですね~、こういう作業が。余計な考えが消え、土と水、空気、音、苗、生き物の存在を全身で感じ、自らも生態系の一部であることを無意識的に体が感じているからかもしれません。
そろそろ時間ですよ~、と声がかかり、今回も無事作業終了!台風シーズンも控えてちょっぴり心配ですが、元気に育ってくれることを祈って・・・。
秘密のせせらぎ
羽鹿さんがこっそり案内してくれた、周りを木々に囲まれたきれいな小川。田んぼのお水はここから引かれているようです。透きとおった冷水が流れ、夏の虫の声が聞こえます。暑い中頑張った体の疲れを、冷たい水が流してくれました。