今まで弊社の基準を満たす本格的なアロマ製品がなかった中で、
「これはすごい」と中川をうならせた、“ジャスミン・アロマティーク・オーガニクス”の製品。
この「オーガニックと素材の選定に徹底したこだわりをもつアロマ製品」を、皆さまにご紹介するにあたり、
『中村社長の製品にかける想いをとことん知りたい!』
ということで、直接ご本人にお話を聞いてきました。
今回、新発売される「KOALA Baby」シリーズのことや、
オーガニック素材への熱い想いなど、
皆さまのお手元に届く製品に、どれだけの背景や想い、
さらには願いが詰まっているのかを、たっぷりとご紹介いたします。
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- 一般のお客様向け製品の取り扱いを新しくはじめたきっかけ
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これまでは主に、アロマセラピストの方などを対象に、製品の販売をされてきたとのことですが、今回、一般のお客様向けに製品開発・販売することになった経緯や、理由を教えていただけますか。 |
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今まで、プロの方にしか販売してこなかった一番の理由は、一般のお客様に、専門的なものをどのように使っていただけるか、私の中でわからなかったからです。日本では、“質がいい”からといって、売れたり、たくさんの人の手に渡ったりするというわけではないので、基本的には“専門家のアドバイスがあってこそ使われるべきものだ”と思ってきたのです。
しかし、この仕事を始めて10年が経ちますが、10年前には、全然知られていなかったことが、今では、一般にずいぶん知られるようになりました。一般の人たちの知識やスキルが、豊富になっているのを肌で感じたので、そうであれば、今までの集大成として、一般のお客様が使いやすい製品を、これからもっと展開していってもいいのではないか、と思ったのです。
但し、「自然なものは、安全だから使える」とは思っていただきたくない、というのが正直なところです。「安全」と「危険」は常に背中合わせ、という意識だけは、忘れないでいただきたいと思っています。 |
- 自然なものは、「安全」と「危険」が背中合わせという意識
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自然なものは、「安全」と「危険」が隣合わせ、というのは、具体的にどういうことですか。 |
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「自然なものだから安全だ」と思っているのは、絶対に間違いだと思っています。「自然だからこそ、危険な面もある」という意識は、まだなかなか日本には浸透していません。「自然だから安全だ」と思いすぎている方たちが、圧倒的に多いと思います。
でも実は、自然なものよりも、自然ではないもの(人工的なもの)のほうが、安全と言える側面もあるのです。
どういうことかというと、人工的なもののほうが、成分を数字で明確に示すことができるので、万が一、何か起こったときに、「何が悪くてそうなったのか」ということを、すぐに解明できます。だからこそ、製品を提供する側は、皆さん、すべての成分を数値化しづらい自然のものを100%で使うことを避ける傾向があるわけで、日本の化粧品製造の歴史をみてもそのことがよくわかります。
では、「自然のものはどうか」と言うと、種類によっては、それを口に入れていいかどうかもわからないぐらい、危険なものもあるのです。実は、自然なものだからこそ、一般の方には判断が難しいこともあるわけで、そう簡単なものではないという気持ちが、私の中にはあります。
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<<豆知識>> |
自然のもの(天然成分)と人工的なもの(化学成分)を比較した場合、必ずしも自然のもののほうが肌にいいとは限りません。自然のものには必ず不純物が混ざっています。この状態でそのまま化粧品に使用した場合は、安定性が弱くなるので腐りやすく、肌を刺激することもあります。何度も精製を繰り返せば不純物を取り除くことはできますが、コストがかなりかかります。また、自然のものでも、人によってはアレルギーなどを起こすことがあります。人工的なものでも、“分子構造”は天然原料と全く同じに、不純物のない安定性の高いものを作ることができますので、自然のもの(天然成分)=安全・安心、人工のもの(化学成分)=危険、不安とは、一概には言えないのです。
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- それでもあえて、自然のものにこだわる理由
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御社では、それでもあえて自然なもの、とりわけ、オーガニック(有機栽培)(※)にこだわっているのはなぜですか。 |
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オーガニックの植物自体が、そうではないものと比べたときに、はっきり違うということを、私たちは、実際に、見て、触れて、感じており、そこに自信をもっているからです。その結果として、オーガニック素材を選んでいるということなのです。そのプロセス抜きに、ただ、「オーガニック」という言葉だけを売りにして情報を発信していくのは、本意ではありません。
世間では、「オーガニックだからいい」という言葉だけが独り歩きしているように感じます。「オーガニック」という言葉が、何かの判断基準として“安易に”使われることに、私は賛成できないのです。「オーガニック」だから単純にいいのではなくて、「オーガニック」というのは、実際に、“どういったもの”で、“何が”違うから“どう”いいのかというのがきちんとないと意味がない、それがあってこその「オーガニック」だと思います。
今回、御社で販売していただくことが決まったコアラベビースキンケアシリーズや、これから発売予定のジャスミンアロマティークスキンケアシリーズを弊社で取り扱おうと決めたきっかけも、オーガニックだから、ではありません。精油も、どの製品も、全部そうなのですが、「オーガニックだから絶対にいいんだ」、という考え方は、まず抜かしていただきたいのです。読者の方にも、それはぜひ、わかっていただきたいところです。
※ここでいう有機栽培の定義
以下の植物から精油、ベジタブルオイルなどが蒸留および圧搾されることを述べています。
1. 汚染地域から離れた場所で生育した植物
2. 除草剤および殺虫剤の使用をしていない
3. 植物抽出成分やミネラルが混合したものや、有機堆肥を使用している
ジャスミン・アロマティーク・オーガニクスの精油は英国土壌協会の有機栽培認定を得ているものです。(インドなど)一部の国によっては有機栽培の認証を持っていない国があります。そういった場合は、中村社長が実際に農家に足を運び、有機栽培に見合った栽培蒸留、管理がなされているかを必ず確かめます。
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オーガニックベビースキンケア製品 「KOALA Baby」 |
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「KOALA Baby」を発売することになったきっかけ
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今回、御社からの新発売された、オーストラリア生まれの「KOALA Baby」シリーズですが、このシリーズとの出会いや、日本で、これらの製品を販売しようと思ったきっかけを、教えていただけますか。 |
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この製品は、オーストラリアで、敏感、かつ繊細な肌をもつ、ママと赤ちゃん、幼児のために開発されたスキンケア製品です。この製品を開発したオーストラリアの会社が、一緒に、本気でオーガニックにこだわって事業展開していけそうな会社はないか、とパートナーを探していたところ、たまたま、弊社が目にとまり、声をかけていただいた、というのが、ことの始まりです。
「オーガニックにこだわって、大切に売りたい」という先方の気持ちに共感ました。私は、そこではじめて、この製品を知ったのですが、実際に手にとってみたところ、「これは、すごい製品だ」ということが、すぐにわかりました。また、同時に、「日本で、現段階ではこの質のものはつくれない」ということもすぐにわかったので、「ぜひ、この製品を日本の人たちに紹介したい」と思ったのです。 |
- 日本ではなぜこの質のものは作れないのか
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この「KOALA Baby」は、100%植物成分で、食品レベルの原料を使い、製品全体の98%以上(水を含まない)がオーガニック認証を受けている(※)そうですが、「日本で、この質のものは作れない」というのは、どうしてですか?
(※野生種はオーガニック認定の対象外なので、この製品に対して、オーガニック100%表示をすることができません。また、この製品の原料である野生種は、有機栽培と同じ定義で育ったものではありません。野生種は人間が意図して作った畑に生えるものではなく、人知れず自生しているものです。もちろん農薬などには全く影響がない環境で自生している分(考え方によっては)有機よりエネルギーが高い植物です。) |
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化粧品の製造においては、防腐効果や経時変化を防ぐために化学的な成分を使用することは、当然と考えられています。これは、腐ったり経時変化を起こしたりする商品は決して販売できるのものではないので、その通りの部分でもあり、そこが自然の素材を使って化粧品をつくることの難しさでもあります。
こういったことを日本で実現させようとすると、全てのオーガニック素材を調達し、レシピ考案から製造までを日本で行うこととなり、それは決して容易ではありません。一番難しいのがレシピ考案であり、オーガニックだけの素材だけを使ったフォーミュレーション(調合)の経験値だと思います。実際に、化粧品のレシピを考える工場の人は、自然の原料やオーガニック原料でレシピを考案することが普通だとは考えていないと思いますし、それはオーガニック先進国に私たちが学ぶことだと思います。
ですから、日本の工場で、このレベルのものを作るのは本当に難しいのです。今までも、最大限、不要な化学成分・合成成分・添加物は入れないように、ベストを尽くしてきましたが、日本で作るものにはどうしても限界があります。そのことに対して、今までずっと「何とかしたい」と思い続けてきたのですが、今回、この製品に出会ったことで、ずっと心に引っかかっていたものを払しょくすることができました。 |
- 日本向けに作り替えた香り
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中村社長は、オーストラリアに行って、この製品の製造段階すべてに携わったそうですが、香りについては、日本のお客様向けにアレンジしたそうですね。 |
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販売する側の責任として、製造段階のすべてにおいて、私が携わりました。特に、この製品の「香り」の部分は、オーストラリアの会社が入れていた従来の香りに対して、自分の中で、「日本人向きではない」と思った香りがあったので、日本で展開する以上、しっかりと自分の納得がいく香りにしたいと思い、作り直しました。
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その過程で、苦労したことや、大変だったことは何ですか。 |
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成分の配合自体は、はじめからある程度確立していました。この製品を一から作り上げた、オーストラリアの会社は、とても大変だったと思います。簡単には作れないレシピですし、成分を見てもその苦労は容易に予測がつきます。
私が携わったのは、先ほどもお話しした通り、その先の香りの部分です。純粋なオーガニックの精油をブレンドして香りを作るということは、私自身がずっと10年間やってきたことなので、その経験を活かしながら、製品と自分がブレンドした香りを合体させました。
難しかったことは、精油は天然の化学成分なので、何かが混ざると化学反応を起こすものだということです。これから香りを混ぜようとしているオーガニックの基材(※)と、精油を混ぜたときに、期待通りに融合しないものがあったので、その部分は難しかったですね。
※基材とは、化粧品や薬を作るうえで基本の原料になるものです。精油を希釈する(薄める)ための材料でもあります。精油は、原液のままだと肌への刺激が強く、香りも濃厚すぎるためアロマを心地よく楽しむためには、薄める必要があります。そこで、使う材料のことを基材と呼びます。基材には、植物油、水、アルコール、塩、クレイなど何種類もあります。 |
<<豆知識>>
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自然のもの(天然成分)と人工的なもの(化学成分)を比較した場合、必ずしも自然のもののほうが肌にいいとは限りません。自然のものには必ず不純物が混ざっています。この状態でそのまま化粧品に使用した場合は、安定性が弱くなるので腐りやすく、肌を刺激することもあります。何度も精製を繰り返せば不純物を取り除くことはできますが、コストがかなりかかります。また、自然のものでも、人によってはアレルギーなどを起こすことがあります。人工的なものでも、“分子構造”は天然原料と全く同じに、不純物のない安定性の高いものを作ることができますので、自然のもの(天然成分)=安全・安心、人工のもの(化学成分)=危険、不安とは、一概には言えないのです。
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オーストラリアでも、中村社長が作り直した製品のほうがいい、という話になったとお聞きしましたが。 |
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ありがたいことに、オーストラリアの会社でも、私が作り直してできあがった製品のほうが、従来の製品よりもいいじゃないか、という話になりました。結果として、私が作り直した製品が、日本から世界に向けて新発売されることになったのです。
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ジャスミン・アロマティーク・オーガニクスのオーガニックに対する想い |
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- オーガニック製品への挑戦
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オーガニックの素材で製品を作るには大変な手間がかかりますし、大量生産もできないですよね。 |
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たとえ、現代科学で解明しきれていない部分があるにしても、根本的に、人間は自然から遠く離れると、変なアレルギーが出てくることに、私たちは気づいていますよね。実際に、あまりにも多くの芳香剤や防腐剤を使ってきたことで、免疫力が落ち、その結果として様々なアレルギーが現れています。日本は、芳香剤や防腐剤などを使い過ぎていると言われています。
最近は、しきりに、予防医学という言葉を耳にしますが、では、予防医学をどのような方向性で考えていくかというと、やはり私たち人間は、自然と一緒に共生していくしかないと思うのです。オーガニックの成分で作り上げることが可能なものを、利便性や大量生産のために化学的なものだけで作ると、結局は自然界に問題が発生し、人体にも影響が及びます。
私の根底には、自然の免疫という大切なものを、私たち人間が忘れないようにするためにも、「オーガニックの素材を使って、どれだけ自然に近い製品を作れるか」、「手間が少しかかったとしても、少し原料が高くなったり、天候など、自然の状況に左右されたりしても、どれだけオーガニックの素材で製品が作れるか」に挑戦したい、という想いがあるのです。
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- オーガニック素材と真正面から向き合う覚悟
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オーガニックの素材と真正面から向き合って挑戦していくという姿勢を強く感じますね。 |
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当然、オーガニックの素材は手間がかかりますし、いろいろと面倒なことも起こります。今の科学では解明しきれないことにも遭遇します。成分分析にかければ、どんな成分が入っているかはすぐにわかりますが、それを「どう使ったらどう混ざるか」とか、「それを何に混ぜたらどう化学変化するか」ということは、全く、別の話なのです。ですから、人によっては、たとえオーガニックの素材からできている製品を使っても、体に合わないという方がいらっしゃると思います。そのときに、私たちは、「オーガニックで自然なのに、なぜ合わないのか」と言うつもりはまったくありません。
しかし、私たちが日々感じている、オーガニック素材の優れた力を皆さんにお伝えしていきたいと強く願っており、そのためにも、オーガニックにこだわってやっていくと決めた以上、「どんなに手間がかかっても、ひとつひとつ、安全性を確かめながら、何度も何度も作り直しを重ねて製品開発する」という覚悟でやるしかないのです。できる限り、自然で身体に害のない成分を使用し、その成分が精油と相性よくしっかりとひとつの製品になるか、そして何よりも安全・自然と共に使い心地が良いものであるかを常に考えながら、研究を続けています。
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- オーガニックの比率の高さについて
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それにしても、今回発売のコアラベビースキンケアシリーズや、今後発売予定のジャスミンアロマティークスキンケアシリーズは、オーガニックの比率が他に類をみないほど高いですね。「水を含まず98%以上が食品グレードのオーガニック認証を受けた原料からできている」という事実はすごいことだと思います。 |
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オーガニックの比率の高さは、確かに私たちの誇りです。でも、なぜ誇りかと言うと、自然素材をこんなに使って製品にできた、ということが喜びであって、決してパーセンテージが高ければ高いほど安全だと言っているわけではないのです。高い数値と言うのは、「そこまで自然のものを使うことができた」、という“作っている側”の誇りにすぎず、それを押しつけるつもりはありません。だから、この製品が優れているんだ、だから、オーガニックが安全だ、という説明は、すごく無理やりな感じがします。私たちはあくまで、「オーガニックで質が高いものを提供したい」とは思っていますが、大手を振って、絶対これが安全だから使ってください、というような売り方はしたくないのです。
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ジャスミン・アロマティーク・オーガニクスが伝えたいこと |
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- 皆さん自身が自分の判断力を持てるような情報発信を目指して
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中村社長は、非常にニュートラルな観点からお話をされていると感じるのですが、やはりその部分は大切にされているのですか。 |
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あまりバランスは崩さないようにしています。正直、巷で流れる情報というのは、あやふやな部分が多いと思います。よく、「これがいいよ、あれがいいよ」と、いろいろな情報が流れますよね。例えば、以前、「バナナダイエット」というダイエット法がブームになりましたが、バナナを食べて、みんながみんな、痩せていません。結局それと一緒です。
私たちの目標は、皆さん自身が、自分の判断力を持てるような情報の出し方をすることです。アロマセラピーの香りもそうですし、化粧品も多分そうだと思いますが、人に何かを言われても、結局、最後は自分で判断するはずです。隣の人がいいといっても、自分には合わない可能性もあります。「自分はこうだ」という判断をしていかないと、きっと、どんなことでも続かないと思うのです。人に流されて使うというよりも、ご自身で判断して、私たちの製品を選んでいただけるほうがうれしいです。
お客様が、ご自身に合ったものを、ご自身の判断で選んでいただけるためにも、私たちは、社員1人1人が、精油を扱うプロフェッショナルとして、自然のものの安全性と危険性について、両面をきちんと認識した上で情報発信していきたいと考えています。
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- 「人それぞれを尊重するからこそ難しいこと」をプラスのエネルギーにかえて
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それぞれの方の判断を大切にし、尊重されているのですね。「人それぞれに違う」という認識をスタッフのみなさんがしっかり持った上で、チームが一丸となって、オーガニックを追求されていることがよくわかります。 |
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「人それぞれ」に比重をおかなければ、もっといろいろとできることはあります。ただ、一般化できない、もしくは、流行りで大量に売れるような製品ではないところに、私たちの弱みもあり、強みもあるのです。
わが社のスタッフは、このような弱みも強みもよく理解し、納得して、同じ想いでいてくれているからこそ、ここにいてくれるのだと思います。一人でも多くのお客様に、「オーガニック素材の何がいいのか」を伝えていくのが私たちの仕事であり、やらなくてはいけないことだと思っています。
逆に、「別にそこまでオーガニックにこだわらなくても・・・」と思う人は、多分この会社にはいられなくなくなってしまうでしょう。その想いが強い会社なので、同じ想いを持つ仲間やお客様が集まってきてくれればいいと思っています。私たちの考え方に賛同してくださるお客さまとしっかりコミュニケーションをとって、一緒にやっていくことが、正に、わが社の強みになっていくと思います。
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- オーガニックとそうでないものは、具体的に、“何”が違うのか
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オーガニックと、そうではないものとは“何”が違うのか、お話ししていただけますか。 |
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まず第一に違うのは、植物の生育です。背丈も色も違いますし、大きさも違います。でも、それは大きいからいいと言っているわけではなくて、同じ植物でも、見た目がまず違うということと、五感で触れる部分は、まったく違うんじゃないでしょうか。皆さんが農家に行って、無農薬の採れたて野菜をかじったときと、そうではないものをかじったときとは、感じるものがまったく違いますよね。そのような根本的な感覚が、まず違います。
実際に、私は、その場に足を運んで、ひとつひとつの素材を見てきています。そこで、五感のすべてを通して、その違いをはっきりと実感しています。大切なのは、「オーガニックの認証を受けているかどうか」ということよりも、実際の、中身や質の問題です。見た目だけで言うと、農薬を使ったほうがキレイですし、そちらのほうがいいと言う人もいると思いますが、キレイだからといって、質もいいかというと、それは別の話です。
こと、私たちの製品に使われる素材に関して言えば、素材は、砕いたり、抽出したりして使うものなので、原料になるときに、元の姿は無くなります。残るのは中身です。農家の人は誰よりも、「オーガニックの良さ」と「大切なのは中身であること」をわかっています。また、農家の人は、少しでも多くの人に、見た目や安さではなくて、質のいいものを使ってもらいたいと絶対に思っているはずなのです。こういった「農家の人たちの気持ちを、私たちもしっかりと伝えていかなくてはいけない」、と、いつも強く思っています。
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- オーガニック素材を作る農家の現状と想い
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「ナチュラル(自然)」がしきりにうたわれるようになった時代の流れの中で、オーガニック素材を作る農家は増えているのですか? |
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残念ながら、逆に少なくなっているのが現実です。オーガニックの農家さんが多くなっているように皆さんは思うかもしれませんが、アロマセラピーの世界だけで言うと減っています。どうしても、手間がかかるにも関わらずあまり売れないものや高いものというのは敬遠され、皆さん、大量生産できるほうに動いてしまうのです。食物としての農作物に比べて、香りの原料には安さが求められるという厳しい現実があります。
あとは、香りの素材をオーガニックで育てているのは、ほとんどが先進国ではない、ということもお伝えしたいです。その仕事をしているのは発展途上国の人で、決して楽な作業ではありません。また、発展途上国の人々は、わざわざ「オーガニック」を意識して作っているのではなく、そういった国には農薬すら無い場合が多く、必然的に、無農薬でオーガニックな素材になっている、というのが実際のところです。香りの素材作りを、オーガニックで率先してやっている先進国というのは、本当に少ないと思います。このような現状をお伝えしていくことも、私たちの役割だと思っています。
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- フェアトレードに対する中村社長の想い
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.今のお話に関連しますが、「フェアトレードを積極的に取り入れたい」という想いもおありだそうですね。 |
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「発展途上国の人たちを応援したい」という想いが第一です。オーガニックや無農薬で原料を作っているのが、発展途上国の人たちであるという事実や、フェアトレードに関わる人たちの気持ちを、一部分でもお伝えしたい、とも思っています。また、その国の人たちの「生活」や「意欲」の向上という観点から、その国やその地区にもともと生育しているものをどのように活かしていけるか、どんな新しい原料を探せるかなど、オーガニックの新素材の発掘にも挑戦していきたいです。
世界には、今、素材として使われている植物以外にも、もっとたくさんの植物があります。原料の中には、世界で1農家しか作っていない、新しい品種のものもあるんですよ。新しいものほど未知で、難しいことがたくさんありますが、そういったものをどれだけ見つけられるかは、今後、どれだけいい製品を作っていけるかにも繋がっているはずです。
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- 子育て中ママへおススメするお役立ち情報
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<<ペパーミントの利用編>> |
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中村社長は1歳半になるお子さんをお持ちですが、弊社のお客様にも、小さなお子さんを持つお客様がたくさんいらっしゃいます。ぜひ、アロマという観点で、ご自身の子育てにも役立っていることを教えていただけますか。 |
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非常に役立っているのは、ペパーミントの活用です。使い終わったおむつを入れるゴミ箱の中に、ペパーミントの精油を5,6滴たらしたティシュを入れておくと、おむつ臭さがないのです。これはとても簡単ですので、絶対に試していただきたいですね。ペパーミントの香りが消臭の役目をするので、ぜひ、お母さんたちにオススメしたいです。
臭いを外にもらさないためのおむつ専用ビニールが売られていますが、毎回使うとお金がかかりますよね。それよりは、ペパーミントの精油を使ったほうが安上がりだと思います。もちろん、おむつ入れに限らず、ふつうのゴミ箱にも活用できます。生ごみを入れるところでも、殺菌、消臭効果が期待できますので。また、ペパーミントは、無水エタノールで2%に希釈したものをまな板にスプレーし、その後に熱湯をかけていただくと、まな板の除菌にもなりますよ。
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<<保湿ケア編>> |
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その他にも、お役立ち情報はありますか。 |
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赤ちゃんの保湿ケアはすごく大事です。「赤ちゃんの肌ってプリプリ」と、よく言いますが、実際は大人よりも肌が乾燥するので、しっかり保湿してあげないとすぐにカサカサしてきます。おでこやほっぺ、顎の下などを中心に、お風呂あがりや外出するときなどにはこまめに保湿してあげてほしいです。
赤ちゃんや小さな子どもの口まわりとお尻まわりって、一番拭く部分ですよね。とはいえ、乾いたもので拭くとカサカサが増幅してしまいますので、できる限り摩擦を減らすことと、保湿をすることを、ぜひ意識してあげてください。たとえば私たちがこれから販売していくアロエのジェルスプレーやクリームなどをティッシュやハンカチにしみこませた状態でケアをしてあげるといいですね。また、お風呂上がりに真っ裸でいるとすぐに乾燥してしまうので、早めに保湿してあげることもポイントです。
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「お風呂上がりのスキンケア」のオススメは、やはり「KOALA Baby」ですね! |
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そうですね!食品グレードの認定を受けているオーガニック原料からできているので、赤ちゃんが万が一口に入れたり、食べてしまったりしても大丈夫です。伸びもすごくいいんですよ。お顔から全身まで使えますし、お母さんの乾燥予防として、赤ちゃんと一緒に使っていただくこともできるものです。私自身も子どもと同じものを塗っていますし、ぜひ皆さんにもそうしていただきたいな、と思います。 |
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<<コミュニケーション編>> |
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赤ちゃんの機嫌が悪いときの、いいアドバイスはありますか? |
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そのような状態に赤ちゃんがなったとき、まず私は、意識的に抱きしめています。赤ちゃんが泣いたりイライラしたりしているときには、自分のほうに寄せて、抱きしめてみたり、身体を触ってみたり、ベビーマッサージもそうなのですが、スキンシップでコミュニケーションをとって、ちょっと様子をみます。
何かモノを使うということはありません。人と人とのコミュニケーションという一番大切なことを抜きにして、“モノ”だけに走ってしまうと、子どもは受け入れてくれない、という考えが私の中にあるのです。赤ちゃんであっても、人格をもった一人の人間であることには変わりがないので、ある程度、対等に向き合わないといけないと思っています。
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では、生活の中で、どのように香りを取り入れていらっしゃいますか。 |
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香りは、出かけるときに少し部屋にたらしておいて、帰ってきたときにほんのりと香っているぐらいの使い方が多いです。あとは、先ほどもご紹介したとおり、ゴミ箱を開けたときに香りがするとか、その程度です。子どもをコントロールしたり、操ったりするために香りやモノを使うことはないですね。「赤ちゃんを寝かすためにはこの香り」といった安易な情報発信は、非常に無理やりなやり方だと私自身は感じています。 私は、意識的に音楽を聞かせたり、DVDなどを見せたりはしていません。子どもが「外に行きたい」というなら、「それじゃ、行こうか」と、子どもの意思を尊重した接し方をしています。あとは、笑う回数を多くしています。泣きもしますが、「笑う」ってことを、しっかり教えたいと思います。仕事をしている関係で、子どもと接することができる時間はとても限られているので、その短い時間の中で、「笑う」回数を多くすることは、とても大事だと思っています。
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<<豆知識>>
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新発売の「KOALA Baby」のロゴにもなっている「コアラ」は、子育てやスキンシップが上手な親子として有名です。また、このロゴマークには、「スキンシップがしっかりできて、育児が楽しくなりますように…」という想いが込められています。
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- 何に突き動かされてここまで来たのか
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中村社長からは、とても大きな情熱と信念のエネルギーを感じます。まるで何かに突き動かされているかのようにさえ思えるのですが、その原動力は何ですか。 |
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良く聞かれるんですが・・・、やっぱり精油が好きなことでしょうね。ただ、もしも突き動かされる根本がわかってしまったら、この仕事を辞めてしまうかもしれません。多分、何に突き動かされているのかが自分でもはっきりとわからないので、探しているのだと思います。この世界のことを追究すればするほど説明できないものが出てくるので、なんとか自分で解明したいという気持ちが強いんです。
ひとつひとつの精油やその香りについて、では、自分で納得のいく説明ができているかというと、まだまだです。自分の目指すところにはぜんぜん到達していないという気持ちでいっぱいです。「香り自体」のことも、「香りの仕組み」のことも、追究したいことはたくさんありますし、農家にももっとたくさん足を運びたいです。
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一生涯かかるかもしれないチャレンジなのでしょうね・・・ |
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そう思っています。私の姿が、追究できているように皆さんから見えるのであれば、それは本当に中途半端な自分の姿です。もっときちんと整理して勉強したい、といつも思っていますし、香りを作っていても、「これとこれを混ぜて、どうしてこうなるのだろう」と、自分でも疑問に思う場面に日々遭遇します。
それでも、なんとなく感覚でうまくできているのですが、もっとはっきりとした「確証」が自分にほしいのです。「感覚」ではなく、「確証」です。「感覚でやる部分」と、それを裏付けする「科学の部分」の両方をほしいと思っています。現時点でも、この仕事をしていて、自分の疑問点が科学的に解明されないことに不具合を感じています。「どちらもバランスよく解明していきたい」というのが今の自分の目標ですね。
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- 難しいことを、もっと噛み砕いて、楽しく伝えられたら
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科学的な裏付けをしていきたいとなると、簡単な道のりではなさそうですが、いつか、この仕事を終えるとき、どんなふうになっていたらいいなと思いますか。 |
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追究すればするほど、解明したい疑問がどんどんでてきます。自分で説明しているときに、「あれっ」と思うことも、よくあります。そんなときに、「もっとわかりやすく説明したい」と思うのです。何かの本を読んだり、聞いたりして説明することは簡単ですが、目の前にいる人が、「ほ~っ。なるほどー!」と思わず言いたくなるような説明の仕方をどうしたらできるかを、いつも考えています。
難しいことを難しく伝えるのではなくて、難しいことを、もっと噛み砕いて、楽しく伝えられたら、私たちの製品もさらに広がっていくと思います。いつかこの仕事を終えるときに、多くの皆さんから、“目から鱗”と言っていただけるような説明を少しでも多くできていることが、自分の課題のひとつです。全然それが叶っていなかったら、死んでも怨念が残りそう(笑)。そのぐらいの長いスパンで考えています。
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一緒に仕事をしているスタッフの皆さんには、どのような仕事をしていってもらいたいと思いますか。 |
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実は、自分と同じ想いをそのまま継承してほしいとは思っていません。自分の課題や疑問は、あくまでも“自分自身の問題”だからです。私が望んでいるのは、自分ができる話を精一杯仲間やスタッフに伝えていきながら、スタッフはスタッフで、それぞれが、自分の疑問や課題に対して、自らが学び、追究しながら、仕事をしていってくれることです。
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- やっぱり一番大切なのは、自分の目で見たものや感じたことを伝えること
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お仕事は、ご自身の人生の探求そのものでもあるわけですね。 |
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成し遂げたいことがおそらく個人的にも、仕事的にも同じなのです。だからといって家族にそれを継いでほしいと思っているわけではなく、そこは、割り切ってやっています。興味があったらやってもらえればいいかな、というぐらいの感覚です。要は、人の問題ではなく、一重に“自分自身”の問題ということです。
でも、現実的には、会社経営もしていかなくてはなりませんし自分の疑問に対する勉強も、同時進行でとなると、歩幅ってすごく狭いんです。自分がやりたいことのほうは、本当にちょっとずつしか進めません。それを重ねていったら、あっという間に10年が過ぎてしまった、というというのが現状です。やりたいことが山ほど積み重なって、いつも机の上がいっぱいです・・・。
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.1日24時間では足りませんね。 |
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時間が足りないと思うことは確かですが、では、時間があるからといって、自分の疑問が解消できるかというと、それは別のことです。時間があっても、思うように疑問を解消できるわけではないし、疑問に対して、解消していくペースが追いつかないからこそ、この仕事をやり続けたいと思うのでしょうから、それでいいと思っています。
きっと、疑問がすっきりしてしまったら、この仕事を続けていく意欲はなくなってしまうような気がします。オーガニックの追求ひとつをとっても、「オーガニックが何故いいのか」ということを、科学的な部分も含め、みんながみんな納得するぐらいの説明をしようとしたら、一生かかってしまいます。
では、その中で、「今、私にできる最大限のことは何か」、「今できることで、一番大事なことは何か」をあらためて自分に問いかけてみると、やはり、「自分の目で見たものや、感じたものを伝えていくしかない」というところに行きつくのだと思います。
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