オリーブとローレルオイルで作り、1年以上熟成アレッポの石鹸
1000年の歴史を持つアレッポ産の石鹸。歴史と伝統と故郷を守るために、何より安心して使っていただくために。
ゆっくりと自然熟成
肌にも髪にもやさしい
アレッポの石鹸は、3昼夜釜で焚き、ゆっくりと作られ始めます。
釜で焚いてからひとつひとつ積み上げられ、
最初は緑色の表面が徐々にアメ色に変わっていき、1年以上の熟成期間を経ます。
アレッポの石鹸は髪の毛も含め、全身に使えます。
添加物や香料は一切使われていませんので
赤ちゃんやデリケートなお肌の方にもおすすめです。
アレッポの石鹸の種類と特長
オリーブオイルをふんだんに使用したスタンダードな石鹸「ノーマル」
オレイン酸を多く含んでいるため、お肌にやさしいです。
汚れを落としつつも洗い上がりはしっとりなめらか。
お肌を健やかに保ちます。
デリケートなお肌の方におすすめです。
オリーブオイル90:ローレルオイル10
希少なローレルオイルを40%と贅沢に使用した石鹸「エキストラ 40」
ローレルオイルを贅沢に使用しました。
さっぱりとした爽快感のある洗い上がりです。
ウッディな香りで森林浴をしたかのようです。
オイリーなお肌の方、汗をかく時期、洗髪にもお使いいただけます。
オリーブオイル60:ローレルオイル40
現在のアレッポの石鹸の製造工程
オリーブの収穫
オリーブオイルは11月頃から収穫されます。
シリアのオリーブは地中海性気候と砂漠から吹く乾燥空気が混じり合う上、4月から10月までほとんど雨が降りません。そのため虫がつきにくく殺虫剤をほとんど使わなくて良く、良質なオリーブオイルが収穫されます。石鹸に使われるのは食用のオイルを搾り取った後さらに搾り込んだ物を使用します。とても濃い緑色をしていて、オリーブの匂いも非常に強く、素材感の強い石鹸が作られます。
アレッポの石鹸の内部が緑色をしているのもこの為です。ローレルの果実はシリア北部とトルコ南部の地中海沿岸の山岳地域に自生しており、季節になると村々で収穫されます。
釜炊き
釜炊きは11月下旬から2月の冬季のみ行われます。3昼夜オリーブオイルとローレルオイルにアルカリを加えて熱を加えながら練り込んでいきます。
塩析
釜炊きの最中、なるべく保湿成分など有効な成分を残しながら、水を加えて不純物(石鹸にならない成分や余分なアルカリ)を洗います。
石鹸素地の流し込み
清掃された床に紙を敷き、熱々の石鹸素地を高さを揃えながら流し込んでいきます。
カッティング&スタンプ
冬の真夜中、寒さで適度に固まった石鹸素地を歯がついた道具に子供を乗せて、引き切っていきます。
熟成
石鹸を隙間を開けて風通しをよくしながら積み置いていきます。
1年以上熟成させることで表面の緑色はベージュ色に変化し、
余分な水分は抜けて、硬く溶けにくく、マイルドな石鹸になります。
清掃、パッキング
熟成が終わった石鹸の底についている紙を取り、熟成の間に積もった埃などを綺麗に清掃しパッキングします。
アレッポの石鹸 歴史と今
アレッポの石鹸の歴史
アレッポでは1000年も前から石鹸が作られていたと言われています。
石鹸の起源には諸説あります。ナイル川での泥パックやローマのサボーニの丘の話など、一番古い物ではメソポタミア文明の頃楔形(クサビガタ)文字で粘土板に石鹸の処方箋が刻まれています。今日あるような固形石鹸の誕生は、アルカリの精製方法が発見されるのを待たなければなりません。
1000年前の旅行家で医者のアブー・バクル・アッラージの「秘密の書」にはアルカリと苛性ソーダの抽出方法、さらには固形石鹸の作り方までが詳しく書かれています。この時代から石鹸作りは行われ、地域の地場産業として発達していったようです。
固形石鹸(ナトリウム石鹸)はオイルにアルカリ(苛性ソーダ・水酸化ナトリウム)を加えて作ったものです。アルカリはこの地方特有のシナーンというアカザ科の灌木と豊富にとれる石灰から精製されます。アレッポの工場でも、実に1940年ごろまでこの方法で石鹸が作り続けられていました。
シリア争乱
残念ながら2011年からのシリア争乱により町も世界遺産の市場も破壊されてしまいました。
アレッポはシリアの農業、工業の中心としても栄え、様々な商品がアレッポに集まっていました。アレッポの石鹸の歴史の中にも記述がありますが、この地域でアルカリが発見されたこと、オリーブオイルやローレルオイルの産地だったこと、交易地だったことにより、石鹸産業は古くからの地場産業で沢山の石鹸工場がアレッポにありました。ザナビリ、ジュバイリ、ファンサなど、有名な石鹸メーカーの他にもたくさんの工場がアレッポにありました。日本酒の酒蔵ととてもよく似ていて、中小様々な酒蔵がそれぞれこだわりを持って日本酒を作るように、アレッポの石鹸メーカーもそれぞれがこだわりを持って石鹸を作っているのです。
シリアの争乱により各メーカーは石鹸作りを止めたり、アレッポで石鹸を作る事ができずシリアの他の都市やトルコなど外国へと逃れ石鹸づくりを再開させたりしています。
石鹸を製造しているアデル・ファンサ社のタラール・ファンサ氏からのメッセージ
私たちに寄り添ってくださっている方々、特に日本のお客さまの寛大なご支援、忍耐とご理解に深い感謝の気持ちをお伝えします。私たちは今の困難を乗り越え、伝統ある石鹸づくりを子供たちに受けついで参ります。シリア国民のみならず世界中の人々のために、シリアで起こっているこの戦争が1日も早く終結するよう、どうか引き続きお祈りいただけますよう、切にお願い申し上げます。
2016年12月 タラール・ファンサ
石鹸作りの名匠
アデル・ファンサ氏
4000年という歴史を持つシリアのアレッポ。アデル・ファンサ社はこの町で、昔ながらの伝統を守りながら品質にこだわり続けてきた、直系350年を誇る名家です。
現場の指揮を子息のタラール氏に譲ったとはいえ、年に1回の釜炊き(クッキングと呼ばれています)が始まると、必ず味見に立ち会うのが当主のアデル・ファンサ氏です。
彼が釜の中の石鹸を口に含んだ瞬間、辺りに緊張が走ります。良質な石鹸作りの秘訣を問うと「(原料の)油の見分けとクッキング、それに熟成だよ」と答える。
つい50年前まで苛性ソーダを使わず、砂漠に生える植物(シナン)土石灰を焼いて、その代わりとしていた苦労や、良質の油を求めて各 地を歩き回ったこと、油の質がよくない年は製造を中止する。こうした石鹸づくりにかけてきた熱い想いが、砂漠を超え、大洋の涯をめ ぐって、日本に届けられているのです。