創業1904年(明治38年)石川県 能登で糀から作る谷川醸造
糀の花を咲かせ、木桶で熟成させる醤油と味噌づくり。手間と時間をかけてでも作り続けたい思いがあります。
糀をみらいの食卓へ
石川県輪島市で1904年から醸造業を営む谷川醸造。
元は清酒製造業から始まりましたが
醤油づくりも取り組み、輪島でも人気の醤油になりました。
現在は清酒の製造はやめ、醤油や味噌作りるために糀を育て、
木桶で1~2年寝かせて作ります。
しかし、先の震災で蔵は倒壊。
中で仕込んでいた醤油や味噌も販売できなくなりました。
輪島の復興はもちろん、
伝統ある木桶で作る味噌・醤油の蔵を再建を願い
今できる素材を美味しくいただくために。
糀をみらいの食卓へ
左)谷川千穂さん、右)四代目:谷川貴昭さん
日本独特の文化である『糀』。自分の子ども達に、孫達に、そしてずっとその先へも、糀の文化が届くように、今私たちに出来ることを行っていきたいと思います。
- 一.醤油屋として、糀文化の保存・伝承を行います。
- 二.子を持つ親として、糀文化をみらいに伝えます。
- 三.能登人として、地元の食材を活かした商品作りを行います。
もろみづくりの再開に向けて
わたしたち夫婦がなぜ、今この時代に昔ながらの醤油づくりを再生させたのかを、ここで少しお話ししたいと思います。
昔ながらの醤油づくりというのは、大豆を蒸して、小麦を炒って、糀をつくる。そこに塩水を加えてもろみをつくり、木桶で熟成させるというもの。”もろみづくり”は手間・時間・経験が必要です。もろみひとつで、醤油の味がかわってしまうほど。それぐらい醤油づくりには、”もろみづくり”の工程が大変重要なのです。
谷川醸造は平成7年まで一部ではありますが、もろみづくりを自社で行っていました。しかし、諸事情により急にできなくなりました……。
また、みなさんのイメージに反して、現在、もろみを仕込む工程をしている醤油屋さんは、決して多くはありません。多くの醤油屋さんは、もろみを搾った生醤油を協業組合や大手メーカーから購入し、自社で味を調え、瓶詰めするという形をとっています。
大げさかもしれませんが、このままだと昔から伝わってきている糀文化が、どんどんなくなっていってしまう気がしました。日本の食文化を守る!などとおこがましいことは言いませんが、田舎の小さな醤油屋だからこそできるモノづくりをしていきたいと考えるようになりました。そのような思いから、平成23年より一部ではありますが、昔ながらの醤油づくりを再びはじめました。その原材料には国産丸大豆を使っています。現在、国産丸大豆を使った醤油の生産量はとても少ないのです。そのうえ木桶で仕込む醤油になるとなおさら少なくなります。時代とともに、醤油の製造方法も少しずつ変わってきているのですね。
※再開したもろみづくりですが、震災の影響で蔵が倒壊したため中断しております。もろみづくりを含め、復旧が少しずつ進んでいますが、まだまだ順調には進んでおりません。末永く温かく見守っていただけたらと思います。
もろみづくりから見えたもの
もろみづくりを再開させたことにより、色々なことが可能になりました。
まず、原材料の仕入れから行えるようになりました。それは、地元・能登産の特色ある原材料(大豆や塩など)を使えるということ。能登には、かつて“幻の大豆”と呼ばれた珠洲特産の「大浜大豆※」という地大豆があります。わたしたちは、もろみづくりを復活させたことにより、この「大浜大豆」、珠洲の塩を原材料にした醤油をつくることが可能になりました。
※「大浜大豆」は、珠洲市三崎町寺家の大浜地区で栽培されていたことから名づけられ、昭和四十年ごろまでは外浦一帯で栽培されていました。しかし収穫時期が遅く、当時奥能登では冬に出稼ぎに出る人が多い為、人出が足らないなどの理由から早生の奨励品種である”エンレイ種”などに押され、次第に姿を消していったと言われています。しかし、近年栽培を再開し、現在奥能登の地域ブランドとして生産が進められています。
谷川醸造の歴史
1904年(明治38年)創業
谷川醸造は明治38年に酒造業を創めました。創業者である谷川由蔵は三男であった為、名古屋の造り酒屋へ丁稚奉公へ行っておりました。その経験を生かし、『能登杜氏発祥の地』と呼ばれる輪島で酒造りを創めました。
醤油や味噌、特約店まで
大正7年から醤油作りを始めました。「サクラ醤油」という名で約100年という歳月の間、地元である輪島の人々に親しまれています。輪島で採れる新鮮な魚介類の味付けや加工品にと使われ、故郷を離れた人にとっても、「ふるさとの味」と懐かしんで頂いております。醤油に関しては、2代目谷川守蔵の時代に新潟県から腕の良い醤油杜氏を招いて作っていたそうです。最盛期には100名ほどが働いており、清酒や焼酎などを県外まで出荷しておりました。
現在は醤油・味噌の製造が中心
2000年に入り、酒造業を廃止し事業を縮小、現在は醤油・味噌の製造販売を主としております。『サクラ醤油』は今もなお奥能登をはじめ、全国の方々に親しまれています。 最近は、四代目谷川貴昭が糀の文化をつなげていくために、醤油の仕込みの再開や、若い世代にも糀を身近に感じてもらえるような商品開発にも力を入れております。
2024年 震災が襲います
1月1日16時10分 能登半島で震度6強の地震が起こりました。あまりの激しい揺れに座り込んでしまい、
「お願い!助けて!!」
と、天を仰ぎ見るしかできませんでした。私たちはちょうど金沢の実家へ行くために輪島を出発しようとした時、寄るところがあったので、そこへ立ち寄り震災にあいました。幸い、その建物は崩れることなく無事で、家族もみな一緒だったので、それは本当によかったことです。揺れている間、あまりに激しすぎて何かのアトラクションなのか、これが地震なのか途中でよくわからなくなり、パニックを通り越していた気がします。
急いで外へ出ると、地割れがあり、自宅へ戻る途中も、道が隆起し、建物は崩れ、ビルは倒壊。津波警報も出ており、みんなとりあえず歩いて高台へ逃げていました。私たちは自宅に老犬を残していたので、心配でしたが自宅は崩れず、犬も無事でした。※谷川醸造の従業員もみな無事です。
が、会社の近くまでくると、そこには見るも無残な蔵の姿が……
「え?うそでしょ」
と思わず声が出ました。もうどうしたらいいのか、出勤日ではなく、お正月休みだったことが唯一の救いのように思えました。中に誰かいたらと思うと、とても怖い。中の状況が全く分からないけれどどうすることもできないので、とりあえず家族で自宅へ戻り、電気も水道もない数日間を過ごしました。テレビもつかない、スマホも繋がったり繋がらなかったり、情報が全くない状態です。さらに、その日の夜外へ出ると、空が赤い……何だか気持ち悪いと思ったら、川の向こう側で火事が起こっていました。
ひと晩中、サイレンが鳴り響き何だか生きた心地がしませんでした。これからどうなるのか、どうしたらいいのか、とりあえず電気と水だよね。それが復旧したら、また仕事はじめようと最初は言っていたものの、水道はもしかしたら復旧まで1年以上かかるかもしれないと言われはじめています。
長い。果てしなく先が長い。でも、きっといつか必ず蔵が復活する時が来ると思います。醤油づくりも再開させます。それまで、気長に待ってくれたらうれしいです。そして、能登半島地震のこと、谷川醸造のことを忘れないでいただきたいです。
蔵が倒壊し、仕込みや製造は相変らずストップしています。震災から5ヶ月経って、倒壊した蔵から木桶を取り出していただきました。大きな木桶はクレーンを使わないと運べません。ボランティアの方々が慎重に慎重に運んでくださいました。蔵の再建に向けても、一歩前進したかのようです。
谷川醸造にできること
子どもたちへの商品づくり
子どもを持つ親として、また地域社会の一員として、醤油作りを通して子どもたちに糀の文化を伝えていきたいと考えております。
- 子どもたちに安心安全な食を提供する。
- 子どもたちが喜んで食べてくれるモノづくりを行う。
- 地域の子どもから大人までが一緒に地域で活動できる取り組みを行う。
- 醤油作りや糀文化に触れてもらえるよう、工場見学を実施する。
私たちは、子どもたちが、糀を使って出来る発酵食品がますます身近に、そして好きになってくれるような商品開発を行っています。素材は安心安全を心掛けた国産のものをなるべく使用し、保存料や添加物も用いずにつくっています。
天然醸造の味噌で作る「おかずみそ」
先の震災で、醤油や味噌などの主流商品は販売が出来なくなりました。醤油を仕込んでいた木桶は倒壊した蔵から救出されたものの、雨や木くずなどが混入していますので、製品としては販売できません。
この度、プレマで販売できるのが、天然醸造の「サクラ味噌(米味噌)」を使った自慢のおかずみそ。
サクラ味噌も、糀からひとつひとつ丁寧に職人が仕込み、大豆・米麹・塩というシンプルな材料を1年ほど熟成させたまろやかな米味噌です。そのサクラ味噌をベースに、甘みはてんさい糖や米飴で、お肉の代わりに大豆ミートを使い、すべて植物性の原材料で一つ一つ丁寧に作っています。子どもたちにたくさんごはんを食べてほしくてつくった、おかずのようなお味噌です。白いご飯にのせて食べたり、おかずみそを塗って焼きおにぎりにしたり。子どもたちはたくさん頬張ってくれますよ。
おかずみそ(ごぼう)
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お肉は使わず、大豆ミートを使っているので、ヘルシーな仕上がり。また、ごぼうはひとつひとつ、丁寧に刻んでいます。細かいところも妥協しません。温かいご飯にはもちろん、焼き野菜やふろふき大根にもよく合います。
- ほかほかごはんやおにぎりに
- 生野菜(きゅうり、人参、長いも)に付けて
- はんぺんに切り込みを入れて、サンドイッチ風に
- 豚の薄切り肉に塗って、くるくる巻いて「変わりカツ」
\冬季限定/
おかずみそ(くろごま)
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黒ごまたっぷりほんのり甘いおかずみそ。黒ごまの風味が生きて、ほうれん草などの青菜に良く合います。もちろん、ごはんにも、きんぴらにも。簡単ごま豆腐も作れます。
- 青菜(小松菜やほうれん草)のごま和えに
- ごま豆腐に
- はちみつを足してバケットに
- すし酢を混ぜて、コクのある冷やし中華だれに
おかずみそ(とうがらし)
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お肉は使わず、大豆ミートを使っており、しいたけもアクセントとなって、ヘルシーな仕上がり。隠し味のラー油も自家製です。細かいところも妥協しません。ピリ辛なので、炒めものにちょっとプラスしたり、冷や奴や、サラダにも。プルコギやチャーハンに入れても。
- ほかほかごはんや、焼おにぎりに
- 生野菜(きゅうり、人参、長いも)に付けて
- 野菜炒めの仕上げに
- 厚揚げに塗って、トースターへ
- ちくわに切り込みを入れ、とうがらしみそを塗ってきゅうりと挟んで
おかずみそ(畑の肉みそ)
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お肉は使わず、大豆ミートを使っているので、ヘルシーな仕上がり。東京の銀座の日本料理店「六雁」秋山料理長がレシピを監修しました。お味噌とドライトマト、カシューナッツの組み合わせが面白いお味噌です。トマトの酸味はほんのり、卵料理におも良く合います。
- ほかほかごはんに
- 焼野菜(ナスなど)に
- オムレツなど卵料理に
- 豚肉などお肉の漬けみそとして