三河みりんの角谷文治郎商店「三州みりん」「三州梅酒」
特別栽培原料を使った長期醸造熟成の本格仕込み。みりん本来の甘みと旨み。
三河が誇るみりん屋の「みりん」と「梅酒」
混ぜものなしの本格仕込みの味
飲んでもおいしい、料理が楽しくなる名脇役
滋養豊かな発酵自然食品、200余年の歴史に洗練された、
角谷文治郎酒店のみりん。三河が誇る逸品です。
混ぜものなしの本格仕込み・長期醸造熟成で造られたその味は、
上品でやわらかな甘みと旨みで、そのまま飲んでしまいたいほど。
料理への相性も抜群。一度使うとやめられません。
そんな「三河みりん」とそこから生まれた「梅酒」を
あなたのキッチンにもぜひ加えてみてください。
日々使うものだから、おいしくて安心な調味料を
みりん効果
●みりんを加熱すると、糖分とうまみ成分が結合し、料理のてりつやが増します。
●アルコールが素材にしっかりと味を浸透させ、素材の身を引き締めるため、 煮崩れが起こりにくくなります。
●魚や肉の生臭さを消してくれます。
●含まれる甘み、うまい成分が料理に深い味わいを加えてくれます。
ココが違う!三河みりん「三州みりん」
余計なものは使わない、伝統製法です
みりんというと、お酒造りなどと併行して造られることもあるのですが、
三河みりんは専門のみりん屋。「三州みりん」はみりんのために最適な手法で造られています。
原料は、 もち米 米こうじ 本格焼酎 この3つだけ。
蒸したもち米と米こうじを焼酎と一緒に煮込んで絞り、長期間醸造熟成させます。
原料米の栽培方法にも配慮
『有機三州味醂』の原料米には国産有機米を使用し、日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会(JONA)による有機米加工酒類の認定証明を受けています。また、『三州三河みりん』『三州梅酒』二種の原料のもち米には、国産特別栽培米を使用しています。精米から自社で行い、原料から完成に至るまで、丁寧に見守りながら作業を行います。
焼酎は自社の蔵で仕込みます
原料である焼酎の仕込みから本格みりんをつくる、みりんの本場三河でも貴重なみりん専業醸造元です。
三河の気候風土でたっぷり2年かけてつくられます
「醸造」は、その土地の水や気候風土の中で育まれるもの。
角谷文治郎商店は200有余年続くみりんの本場、愛知県東部の三河地方の温暖な風土の中で2年かけてつくられます。数ヶ月でつくられる製品とは違う深い味わいがあります。
「生詰め」だから「米こうじ」が生きています
加熱殺菌処理をしないので、米こうじが瓶の中でも働いています。だからふっくらとした甘みと、コクが生きています。
あなたの使っているそのみりん、本物ですか?
酒屋がつくる本物のみりん
みりんが誕生したのは戦国時代の頃。「蜜淋酒」「美淋酒」などと呼ばれ、高級なお酒として、飲用されていました。みりんは酒づくりとほとんど同じ道具を使うため、酒蔵が、兼業でみりんをつくっていたといいます。
滋養飲料として親しまれる
みりん風調味料の出現
大正末期から昭和初期にかけて、みりんはさらに濃厚なものへと発展していきました。これが今日の「みりん」です。しかし戦争がはじまると、米不足により昭和18年から8年間みりんの製造が禁止され、その後再会されても「贅沢品」として、高い酒税が課せられました。こうした高い酒税から逃れるために造られた代替品が「新みりん」「塩みりん」と呼ばれるものです。これが今日まで続いている、いわゆる「みりん風調味料」のはじまりです。
「みりん風」と、「みりん」との区別化
「みりん風調味料」の出現により、本当のみりんではないものが、「みりん」という名前で売られはじめたのです。一方、本物のみりんは、高い負担の酒税が原因で転廃業が続出しました。
その後、昭和31年、34年、37年にわたり酒税の大幅減税がなされ、みりんもようやく家庭でも使える価格になり、昭和40年には生産量が増えてきたのです。しかしその後、米価の引き上げが行われました。それにともないみりんも値上げをしなければならない現状でしたが、一度下げた値段を上げることができず、糖類・アルコールを増量してつじつまあわせが行われたのです。
酒販免許のないスーパーは、正しい知識をもたないまま、みりんの代わりに「新みりん」や「塩みりん」を販売しはじめましたが、本物のみりんと区別がつかない、と混乱が起こりました。そして昭和50年、公正取引委員会より、内容の伴わない名称表示であると指摘され、本当のみりんである「本みりん」と名称を区別して、「みりん風調味料」と変更されました。
では「本みりん」であればすべて本来のみりんであるかというと、実はそうともいえません。「本みりん」と称されるものの中には、本格仕込みという伝統的な本来の製法で時間をかけてつくられたみりんと、醸造アルコールでのばし糖類添加をして速成されたみりんがあります。
後者は主に、ペットボトル容器に入って広く安くスーパーで売らているようなみりんです。どちらが良いというよりも、どのみりんを選びたいか、しっかりと分かった上でお使いいただきたいと思います。
本物と呼ぶにふさわしい「三州みりん」
角谷文治郎商店の「三州みりん」は、江戸時代からの続く、「醸造」という日本古来の技術でつくりあげた、本物と呼ぶにふさわしいみりんです。その本当のみりんのおいしさを、ぜひ味わって確かめてください。
みりん 本みりん 本格仕込み |
伝統的な製法で造ったもの。乙類焼酎(米焼酎)を用いる。上質なもち米を原料に使用、和釜で蒸煮し、仕込み後のみりんもろみを長期糖化熟成。醸造・熟成期間に2年かかる。 |
一般的な本みりん | アルコール分は14%ほど。蒸したもち米と米麹にアルコールおよび水あめを加え、香味を調整して造ったもの。2~3ヶ月で完成する。 |
みりん風調味料 | 水あめやブドウ糖またはデンプン質の糖化液にグルタミンソーダを中心とする化学調味料やアミノ酸液香料等を混合して、みりんの風味に似せて造ったもの。 |
三州三河みりんは、いつものみりんよりもまろやかで、やさしいけれど深い味わいになるようです。全然違う!!と思いました。これだけで料理がすごくおいしくなるので、砂糖やお酒が必要ないと思えるほど。つくり置きしても味が変わらずおいしさが続いて、日本の調味料って、すごいな?と実感できる一品でした!
みりん屋が造った砂糖無添加の梅酒
「もち米」の甘みが活きる味わい深さ
三州三河みりんに国産青梅を直接漬け込んで長期熟成せ、梅酒に仕上げました。
一口飲むと、思わず「おいしいっ!」とにっこり。口の中に深い甘さと濃厚な梅の香りが広がります。みりん一筋「三河みりん」の角谷文治郎商店ならではの技法で、砂糖は添加せず、もち米の甘さを時間をかけて引き出してつくっています。
梅にはクエン酸をはじめ、ビタミンやミネラルも豊富です。1日がんばった自分へのごほうびとして、また休日の家族や友人との語らいのひとときにも、よろこばれるおいしさです。
三州梅酒は質の高い自然素材だけを使っているので、安心してお飲みいただけます。
梅の深い香りとまろやかな口あたり。ひとくち飲んで「あ、普通の梅酒と違う」と思いました。仕事が終わったあと、ほっとひと息つきたいときに飲みたい味です。
家族や知人へのちょっとした贈りものにもいいですね。自信をもって、人にすすめられるおいしさだと思います。
三河みりんの蔵、角谷文治郎商店を取材しました
2014年春、「三河みりん」でおなじみの、角谷文治郎商店さんを訪問しました。社長の角谷利夫さん、娘さんの文子さんにお話を聞くことができました。
最寄りの碧南駅。のどかな風景が広がっています。
角谷文治郎商店があるのは、愛知県碧南市。この地域を潤す矢作川の豊富な水とその流域で獲れる作物、温暖な気候に恵まれ、200年以上の昔から、清酒・みりん・味噌・醤油の醸造が盛んな地域です。みりん造りは酒造りとの兼業で行われることが多いのですが、この地域では、みりん専門の蔵が多いのが特徴です。
昔ながらの天然醸造、本格仕込みのみりんは、もち米・米麹・焼酎から造られます。もち米はうるち米に比べて生産量が少ないため、特に現代においては、確かな原料を確保するのは簡単なことではありません。角谷文治郎商店では、長くお付き合いのある生産者さんからもち米を仕入れ、精米から自社で行っています。精米から自社で行うのはかなり珍しいことです。米麹も由来の確かなものを使い、「三州三河みりん」に関しては、これもかなり珍しいことに、焼酎は自社で製造しています。由来の確かな原料を、安定して使えるようにという姿勢に、みりん造りへの妥協のなさがうかがえます。
みりんの仕込みの時期は年二回、春と秋、春は梅や桜が咲く頃、秋は菊が咲く頃が目安です。まずは、米を蒸すことから。家庭で炊飯をするときと同じように、前日に水に浸け、蒸す直前に水切りを行います。一回に使用する米は3トン。これを一日三回、シーズン中は毎日。
米蒸しの現場は、餅つきのときのような、お米のおいしそうな香りに包まれています。
次に仕込むお米の水切り中。すごい量のお米です。 |
蒸し器。蒸し上がったお米を運んでいきます。 |
大量のお米が蒸し上がっています。迫力があります! |
お米を広げます。蒸気とともに香りも、おいしそう。 |
蒸し上がったお米をチェック。味見させてもらいました。
「食べてみます?」と炊き上がったばかりのお米を頂きました。角谷社長は簡単に手に取っていましたが、実は熱々のお米。普通の人だと火傷しそうな温度……さすが職人の手です。そんなお米を口に入れてみると、普段食べるものよりずいぶん硬めな食感。みりん造りに使用する米は、強くたっぷりの蒸気で、炊き上がりの際にお米同士がくっつかないように、強くたっぷりの蒸気で蒸し上げます。実際、手にとったお米は短時間の間にどんどん乾いていって固まっていきました。炊き上がりは、米の状態やその日の気温などによって変わってくるので、毎回炊き上がりの米を手に取りチェックします。
蒸し上がった米を冷ました後、米麹と焼酎を合わせます。この工程では、焼酎の強い香りが充満。お酒の弱い人はいるだけで酔ってしまいそうな空間です。以前、子ども連れで見学をされた方がいて、お子さんは「お酒のにおいだ~」と若干参り気味だったそうですが、お母さんが強者で「これがお母さんの好きな香りよ」とおっしゃっていたのだとか(笑)。
貴重な1ショット。室のなかの様子です。
米麹は、麹室(こうじむろ)で2日かけて造られます。温度を一定に保つため、室の入り口は二重扉になっています。そんな厳重な室のなかを、この日は特別に見せていただきました。普段はなかなかここまでは見せていただけることはなく、実は文子さんもほとんど目にすることがないとのこと。非常にありがたい機会でした。
もち米・米麹・焼酎を合わせた後は、タンクに入れていきます。米を硬めに蒸すのは、実は、ここできちんと焼酎を吸わせるため。3トンの米は一升瓶に換算して2000本分。これに対して焼酎は1000本分使用されます。米をタンクに運ぶ際は、米粒がつぶれないように細心の注意が払われています。米粒がつぶれてのり状になってしまうと、酵素の働きが悪くなってしまうそうです(のり状のお米は消化も悪いそう……恥ずかしながら、逆だと思っていました)。みりんは酵素が活躍してできるものなので、この工程は非常に重要。ここで使われているポンプは、そのためになんとドイツから取り寄せたものなのだとか(かなり良いお値段がしたそうです)。30年ほど前までは、蒸し上がった米を土間に広げて冷まし、そこに麹を合わせてから人力でタンクに運びその上から焼酎をかけて混ぜる、という非常に重労働が行われていたそうです。角谷社長も経験されているそうで、その上で、今の仕組みを考え出されました。そのおかげもあって、今は多くの人が三河みりんを楽しむことができるようになったわけです。ありがたい!
タンクに入ったみりんの素、つまりこれがもろみになります。ここから2~3ヶ月の醸造、さらに1年間の熟成を経ます。みりん造りだけでなく、酒造りも味噌や醤油造りも、本来はほとんどが待ちの期間。三河みりんについて言えば、原料のもち米から最終的なみりんの形になるには、2年近い時間が必要です。ずらりと並んだタンクのそれぞれで着々と醸造・熟成が進んでいる、何とも奥深い世界。
ここで、仕込んで約3ヶ月のもろみを試食させていただきました。お米の形はくずれてきており、甘みとアルコールがきつくはあるのですが、おいしい!この段階ではデンプンしか分解されておらず、タンパク質は分解されていません。そのためまだ旨みが生じておらず、甘さが際だっています。
みりん造りと酒造りは合わせて行われることが多いのですが、製法の要所ごとに違いがあります。たとえば、発酵が進みすぎないようコントロールをかけるために、酒造りでは気温を利用します。だから酒の仕込みは冬の寒い時期に行う必要があります。一方のみりん造りでは、発酵のコントロールにはアルコール、つまり焼酎を使います。また、みりん造りではタンパク質を分解するのですが、そのためにはある程度気温が高いことが必要になります。そして、酒造りでは酵母が活躍しますが、みりん造りでは酵母はおらず、酵素のみを活用します。こういった違いは、今でこそ理屈をつけて説明することができますが、昔の人はそうとは知らずに、けれども経験と体感でしっかりと仕組みを体得していたわけで、そういった感覚をもう少し大切にした方が良いのではないかな、と思いました。
タンクに入って3日目の様子。何となくキラキラしています。 |
もろみ試食中。アルコールがしっかりあるので食べ過ぎ要注意! |
みりん造りと酒造りは合わせて行われることが多いのですが、製法の要所ごとに違いがあります。たとえば、発酵が進みすぎないようコントロールをかけるために、酒造りでは気温を利用します。だから酒の仕込みは冬の寒い時期に行う必要があります。一方のみりん造りでは、発酵のコントロールにはアルコール、つまり焼酎を使います。また、みりん造りではタンパク質を分解するのですが、そのためにはある程度気温が高いことが必要になります。そして、酒造りでは酵母が活躍しますが、みりん造りでは酵母はおらず、酵素のみを活用します。こういった違いは、今でこそ理屈をつけて説明することができますが、昔の人はそうとは知らずに、けれども経験と体感でしっかりと仕組みを体得していたわけで、そういった感覚をもう少し大切にした方が良いのではないかな、と思いました。
みりんのおいしさは、炭水化物が分解されて生まれる甘みと、タンパク質が分解されて生まれる旨みからできています。これはつまり、お米まるごとのおいしさ。普通、お米を食べたときというのは、口のなかでは途中までしか分解されず、胃を経て腸にたどりついた段階で、完全に分解されます。その、ある意味、腸で味わえるおいしさが、みりんのおいしさです。角谷社長いわく、腸に味覚がないのが残念、とのこと。実は私たちは、お米の完全なおいしさを感じられていなかったんですね……。そんなおいしいみりん。甘いものが貴重だった時代においては、高級酒として楽しまれていました。
とはいえ、このお米のおいしさを味わうためには、伝統的な製法で造られた本格仕込みのみりんを選ぶ必要があります。そもそも「みりん」ではないみりん風調味料や、本みりんであっても醸造アルコールと添加物を使い短期間で造られたものでは、表面的にみりんの風味があるだけで、お米そのもののおいしさを出すことはできません。調理に使うにしても、照りやコク、その味わいはまったく別物です。
贅沢に試飲させていただきました。角谷社長の熱い解説つき。
もろみの状態で醸造・熟成が十分に進むと、いよいよしぼり。角谷文治郎商店では、今はほとんど見られない「ふね」を使った昔ながらの手作業で、丸一日かけて行っています。作業そのものは伝統的な方法ですが、甘さに寄ってくる虫を防ぐために、クリーンルームで行われます。ただ伝統的なだけでなく、品質管理についても細心の注意を払われています。このしぼりの過程で、みりん粕が出てきます。
三河みりんの粕は、しっとりと程よく水分の残った、甘み旨みの染みこむ味。みりん粕は、酒粕に比べて甘みがあるのが特徴で、これが活躍しているのが、三河地域の名物である守口漬です。また、百貨店などで売られるような高級な漬け物にも、酒粕だけでなくみりん粕も使われるそうです。みりん粕を使うと、甘みが上品になり、粕がへばりつかず粕離れが良くなるのだとか。ぬか漬けなどは粕を落とさずに食すのが本来ですが、安い粕だとべっとりとついてしまい、おいしく味わうことができません。
しぼりを経て「みりん」が仕上がると、瓶詰めし、目視による検品、ラベル貼り、そして各地へと送り出されます。製造工程の最後に角谷社長がおっしゃった、「最適なものを、妥協せず、効率よく、無駄なく」という言葉が印象的でした。伝統的なみりんを守りつつ、多くの人が楽しめるように、現代に適するように、工夫されているところも随所にあり、そのバランスが今の三河みりんを形作っているように感じました。
製造工程を見せていただいた後は、みりんと梅酒の試飲をさせていただきました。普段からおいしく頂いていますが、そこに至る過程を実際に目にした後では、味わいが一層深みを増します。ぜひ、皆さんにも、三河みりんを使い、梅酒を楽しんでいただく際には、ひと瓶にたっぷりと詰まった背景にも、思いを馳せていただけると嬉しいです。