オリーブオイル特集-本物を見極めるために知っておきたいオリーブオイルの話-
美味しいだけじゃない、健康オイルの代表選手・
オリーブオイルの魅力
油には、牛脂やラードなど動物性のものと、
菜種油やごま油などの植物性のものがあります。
動物性の油にも良い点はありますが、
摂りすぎると体内の活性酸素を増やす原因となり、
体内の酸化が進んで細胞が劣化し、老化を促進したり
身体の調子を悪くしてしまうこともあります。
そこで「健康によい」として
注目されているのが植物性の油。
ここでは、植物性の油のなかでも
ひときわ抗酸化力が高いといわれ、
健康効果が注目されている
「オリーブオイル」についてまとめてみました
6000年の歴史を持つオリーブオイル
オリーブオイルは、欧州において6000年の歴史があるといわれています。
聖書での記載も数多く、ギリシャ・ローマ時代からは歴史古文書によく登場します。地中海地域の産物で、ギリシャ時代に耕作地の拡大が始まり、ローマ時代の遠征で、その栽培が現在の生産国、イタリア、スペイン、カルタゴのあったチュニジアやモロッコ、トルコなどに広がりました。イタリアの中世期にオリーブ果実を御影石のローラーで潰す製法が開発されるまで、オリーブオイルは領主や教会など特権階級のものでした。
オリーブオイルは希少オイル
現在でも地中海周辺(イタリア、スペイン、チュニジアモロッコ、トルコなど)の国々がオリーブオイルの世界生産の95%を占めています。
これらの土地の温度は50℃以上。虫も病気もほとんどつきません。
有機認証オイルもありますが、オリーブはもともと農薬を使う必要がない厳しい環境にある土地で栽培されています。ほかのオイルと比較すると極めて生産量が少ない、希少なオイルです。
逸話が物語るオリーブオイルの素晴らしい力
沐浴後のマッサージ
歴史的に有名なのはローマ時代の元老院メンバーが沐浴の後にオリーブオイルでマッサージを受けていた話です。
ビタミンEやポリフェノールなどが豊富なオリーブオイル。癒される気持ちも想像できます。イタリア人にとってオリーブオイルが身近であったことを物語る逸話です。
傷病兵を治療
ローマ軍遠征の際は、この果実の緑の皮果肉成分とオイルを併せたジュースで傷病兵を治療し、傷口は蜂蜜でふさいでいたという記録があるそうです。
クレオパトラのスキンケア
絶世の美女として知られるクレオパトラは美容オイルとしてオリーブオイルを愛用していたと言われています。
オリーブオイルの健康効果
南イタリアやスペインに代表される地中海料理は、オリーブオイルを使うことがひとつ大きな特徴として挙げられ、健康に良いということで、日本をはじめ、世界中で注目を集めています。
オリーブオイルは調味油としてだけでなく、パスタやサラダなどにそのままかけることもできますし、パンにつけても美味しく召し上がれます。お菓子作りに使えば、風味のある仕上がりに。実は揚げ物にも向いています。オイルが中へあまり浸透することなく、素材に素早く熱を通すので、サクッとヘルシーに素材の持ち味を引き出してくれます。
では、オリーブオイルにはどのような健康効果が期待できるのでしょうか。
質のよいオリーブオイルをそのまま口に含むと、ピリリと辛いことに驚かされます。この辛味の正体はポリフェノール。ポリフェノールといえば、抗酸化力が高いとして近年大変注目され、老化や、がん、生活習慣病などの予防に有用だと言われています。
オリーブオイルの健康効果を知るために、まずはオリーブオイルの特徴を知りましょう。
オリーブオイルの特徴
オリーブオイルは「果実」の油
オイルには、菜種油、大豆油、コーン油、胡麻油、ひまわり油など、たくさんの種類がありますが、種や豆を原料とするオイルが多いなか、オリーブオイルは果実が原料です。
多くの植物油は種子を搾って作られますが、オリーブオイルは果実そのものを搾って作られるため、種子以外の皮や果肉に含まれる豊富な栄養素が入っています。
余計な工程が必要なし
オリーブオイルは他の植物油と違い、本来、溶剤抽出などの化学的な加工や加熱処理をしなくても、植物から油分を分離させることのできるとても自然な食品です。
抗酸化力が高い
油と酸化は、切っても切れない関係。油は空気に触れたとき、空気中の酸素によって酸化されます。そして酸化が進み過酸化すると、いわゆる「酸化臭」がしたり、毒性を示すことも。賞味期限が先でも「開封後はなるべく早めにお召し上がりください」等の記載があるのは、油自体が酸化しやすいものだからです。なかでもとくに酸化しやすいのが、化学的に不安定な多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸を主成分とするえごま油や亜麻仁油。これらは保存方法や使い方に注意が必要です。
オリーブオイルも、主成分であるオレイン酸は不飽和脂肪酸ですが、そのなかでも比較的安定しやすい一価不飽和脂肪酸なので酸化しにくく、抗酸化物質をたくさん含むため、酸化に強い油とされています。
オリーブオイルが酸化しにくいのは、抗酸化物質である「β-カロテン」が含まれていることも大きな理由のひとつ。β-カロテンは広く使われる植物油のなかではオリーブオイルにしか含まれていません。
栄養にあふれているため健康効果が高い
加熱や化学的な分離をさせずに製造されたオリーブオイルは、ビタミンE、ポリフェノール、葉緑素や植物性酵素が生きたまま含まれると考えられ、栄養豊富です。
悪玉コレステロールを減少させる効果のあるオレイン酸やリノール酸といった脂肪酸、肌にも筋肉にもよいビタミンAやビタミンEにくわえ、抗酸化効果の高いβ-カロテン、ポリフェノールがたくさん含まれているため、植物性の油のなかでもとくに、私たちの体の酸化を防いでくれるといわれています。
当然ですが、オリーブオイルで若返るということはありません。しかし、すぐれた抗酸化力で老化が進むのを抑えたり、肌や髪に栄養を与えることにより、若々しさを保つことはできると考えられます。
さまざまな分野で注目されています
「オイル」と聞くと、高脂肪で体に良くないイメージがあるかもしれません。もちろん、どんなものでも摂り過ぎには注意が必要です。
しかし適度であれば、オリーブオイルは非常に健康効果が高く、心臓病予防に効果ありという研究結果もあります。実際に南欧の地域にはコレステロール値の高い人が少なく、心臓病の罹患率が少ないというデータが。また、中性脂肪をつきにくくしたり、整腸作用もあるそうで、ダイエットや美容にも役立つと言われています。食べるだけでなく、化粧品や石鹸など、スキンケアの分野でも、オリーブオイルが使われているのをよく目にします。
研究が進むオリーブオイルの力
オリーブオイルと健康
地中海地方の食事に使われるオリーブオイルが、心臓病や極度の肥満、メタボリック症候群、2型糖尿病、高血圧に効果的であるという研究は、数多く報告されています。抗酸化作用、抗炎症作用があり、高血圧を予防したり、抗血栓にも力を発揮したりすることがわかってきました。そのほか、加齢による認知症予防、アルツハイマーを減少させる可能性もでてきました。
最近の研究では、オリーブオイルを多く摂る地中海式の食事が長寿と関係することも分かってきています。オリーブオイルを主な油脂源とするスペイン、ギリシャ、イタリアは、北ヨーロッパに比べ、癌の発症率が低いことも知られています。
出典:2010年3月にスペインのレイナ・ソフィア大学がまとめた、オリーブオイルと健康に関する情報
オリーブオイルとスキンケア
新生児にエモリナントクリームまたは、オリーブオイルクリーム(70%ラノリン、30%オリーブオイル)でスキンケアをしたところ、オリーブオイルクリームでケアした新生児は皮膚炎が減少することが分かりました。
この試験結果から、オリーブオイルクリームでスキンケアをすると皮膚炎が減少し、一般的に使われているエモリナントよりもオリーブオイルクリームは優れていることが分かりました。
※この研究は、スキンケア法が確立されていない、早産の新生児を対象に実施されました。
出典:2008年にオーストリアのインスブルック医科大学が発表したオリーブオイルに関する研究
オリーブオイルの選び方
オリーブオイルは、実も、皮も、種も、丸ごと使って搾ったいわゆる「ホールフードジュース」です。酸化しにくいことで知られる不飽和脂肪酸の一種、オレイン酸が70%以上も含まれていることをはじめ、リノール酸、リノレン酸、還元物質がバランス良く含くまれています。
オレイン酸 (g) |
パルミチン酸 (g) |
ステアリン酸 (g) |
ステアリン酸 (g) |
リノレン酸 (g) |
|
---|---|---|---|---|---|
オリーブオイル | 70.5 | 9.31 | 3.01 | 9.78 | 0.75 |
ただし、どんなオリーブオイルでも健康効果が期待できるというわけではありません。高い健康効果を期待するのであれば、未精製でオリーブオイル本来の成分がしっかり残っているもの、ほかのオイルが混ぜられていないものを選ぶ必要があります。
健康効果の高いほんものの「エキストラバージンオイル」を選びたい
あなたのご自宅にあるオリーブオイルの色は?粘度は?
日本でオリーブオイルを購入する際、まず気をつけていただきたいのは「ピュアオリーブオイル」という言葉。
「ピュア」というと、純粋で透明感のある、良いイメージが浮かんできますね。しかし、ピュアオイルには精製されたオイルが使われていて、未精製オイルよりも栄養価の面で劣ります。未精製のものは、色が濃く、ある程度の粘度があります。あなたのご自宅にあるオリーブオイルはどんな色をしていますか?粘度はどうですか?
※ピュアオリーブオイルというのは精製したオイルにバージンオイルをブレンドしたもの。中にはあまり品質の良くないオイルを精製(高熱で脱臭・脱色)したものに、バージンオイルを混ぜて味や香りを添加しているものもあるそうです。
五感で本物を見極めよう
世の中にあふれかえるいろんな情報に惑わされずに質のいいオリーブオイルを選ぶには、やはり、自分自身の五感を使って見極めるのが一番。
ほんもののオリーブオイルというものを判断するのにどんなことをチェックしたらいいのかは、下記を参考にしてみてください。日本でも、有名なレストランなどで広く愛用されている「バリアーニ オリーブオイル」を製造しているバリアーニ家の当主、アンジェロさんが解説してくださっています。
極上オリーブオイルについて
次の4条件を満たせば、それは極上のオリーブオイルです。
1.
口に含んでそのまま美味しく飲めること。
飲めなければ酸化している証拠です。極上オリーブオイルは、還元力の高いポリフェノールを多く含んでいるため、非常に酸化しにくくなっています。
2.
手の甲に塗って、5分以内に沁み込むこと。
混ざり物の入ったオイルは、いつまでもお肌に浸透しません。また、いやなにおいがします。
3.
しっかりとした遮光瓶に詰められていること。
プラスチック瓶、透明瓶は、オリーブオイルの酸化を促進させます。せっかくの天然複合ビタミンEやポリフェノールなど還元力の高い成分、植物酵素を破壊するような容器で出荷することなど、私には到底考えられません。
4.
酸化を防ぎ、美味しさを逃さない製造工程を保証していること。
非加熱、無濾過、空気と紫外線を完全遮断すると、酸化を防ぎ、美味しさを逃しません。
ほかに、わかりやすく目安にできるとすれば、価格くらいでしょうか。
1本のオリーブの木から採取できるオリーブは約15~50kg。そこから作ることのできるオリーブオイルは約3~10Lです。さらに、そのなかでエキストラバージンオリーブオイルとして認められるオイルは本当にわずかです。
このことからもわかるとおり、オリーブオイルは希少なオイル。エキストラバージンオリーブオイルともなると、安いわけがありません。安すぎるものには気を付けましょう。
健康的な毎日のために、質のよいオリーブオイルをを積極的に生活に摂り入れ、錆びにくい体づくりを目指してみてはいかがでしょうか。