宝暦三年(1753)創業 むしろ麹法の「かめびし醤油」
築後数百年以上経つ醸造蔵の杉桶で、微生物の力で大豆の旨みがゆっくり引き出されていきます。他では出せない芳醇な醤油です。
今となっては珍しい「むしろ麹法」で作る醤油は
日本全国見渡しても、他に見当たりません。
そして醤油づくりに必要なものは安心できる原材料と
古い蔵に棲みつく、約230種類もの酵母菌たち。
数年寝かせたかめびしの醤油は、濃厚な色合いですが
辛くなく、まろやかな甘みさえ感じる味わい。
お刺身や冷ややっこ、うどんや煮物、おでんにも。
料理人たちも納得の醤油です。
伝統製法で醤油をつくる
国産原料と安全性
大豆
国産丸大豆を100%使用しています。
小麦
地元香川県の小麦をメインに、国産小麦100%を使用しています。
塩
オーストラリア産天日干原塩に国産天然にがりを加え使用。
にがりを使うことでミネラル分を補い、本来の海水塩に出来る限り近づけています。
むしろ麹とは
かめびしは宝暦3年(1753年)の創業以来、頑ななまでに「むしろ麹法」を守り続けてきた日本で唯一の蔵元です。
むしろ麹法の『筵-むしろ-』とは、藁(わら)やイグサなどの草で編んだ敷物の事です。むしろに麹を寝かせることで、水分が調節され、麹はいつも適度な湿度で保たれます。むしろで仕込んだ麹は機械で造った麹とは全く異なり、生き生きとしています。
生き物として愛情をかけて育ててこそ、本来の持ち味が生まれます。
一麹(こうじ)、二櫂(かい)、三火入れ
「一麹」とは、醤油の元になる蒸した大豆と炒って砕いた小麦を混ぜ、そこに麹(こうじ)菌を生やせて「麹」をつくるところ、「二櫂」はその麹に塩水を入れた「もろみ」を定期的に撹拌する作業で、「三火入れ」とは、寝かせた「もろみ」を絞って出来た生しょうゆを加熱して、しょうゆ中の微生物の活動を止めること。
昔から醤油づくりにおいて言われてきた言葉で、醤油づくりにおいて、麹がもっとも重要とされるという意味です。例年11月頃~4月頃の冬季の間に麹つくりをします。この間は麹を寝ずの番で育て上げます。
- 1日目)盛り込み
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- 大豆 …一晩(約17時間)水につけてから蒸し、適温まで冷ます。
- 小麦…200℃前後の高温で炒り荒く研ぎ貯蔵する。
- 種麹…こうじ菌を小麦に加える。
大豆に小麦とこうじ菌がまんべんなく付くよう混ぜる。
むしろの上に広げ均一にならす。
特殊な構造を持つ木造2階建ての室内で、簀(す)、むしろ、麹の順に10~14段に重ねて、4日間かけて麹を育てます。 むしろ180枚全部を使用しても機械法の約半分しかできません。
- 麹(こうじ)…蒸らした大豆+炒って砕いた小麦+こうじ菌
- 筵(むしろ)…わらで編んだ1畳ほどの敷物
- 簀(す)…竹をわらで編みつないだもの
- 2日目)手入れ
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すべての麹をむしろから落として混ぜ返し、再度むしろに寝かせる。
- 3日目)伏せ込み
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窓の開閉で温度調節をします。
- 4日目)出麹
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麹を部屋から出し、塩水を加えてもろみ蔵の桶へ。盛り込みから出麹の期間は、職人が泊りがけで温度管理をします。4日目にもなると、深緑色の糀(はな)が綺麗につきます。
築後数百年以上経つ醸造蔵の杉桶でつくる
築後数百年以上経つ醸造蔵の杉桶に仕込み、こいくち醤油では、丸2年、丸3年、20年以上もの歳月をかけています。古い蔵には約230種類もの独自の酵母菌が棲みついており、微生物の力で大豆の旨みがゆっくり引き出されてゆきます。
もろみ
うすくち醤油は1年3ヶ月以上、こいくち醤油は2年以上、他にも3年、5年、10年…ゆっくり熟成させます。
圧搾
もろみを大きな風呂敷に包み、積み上げ、ゆっくり圧をかけて醤油を搾ります。
火入れ
低めの温度で火を入れます。微生物の活動をとめることで発酵し製品が変質するのを防ぐとともに、醤油の香りを増し、味を整え、色をよくする作用があります。
※生醤油など火入れをしていない製品もあります。
混合・ろ過
桶ごとに品質が違うので、安定させるために混合し、ろ過します。
かめびし屋 十八代目 岡田佳織
「かめびし屋」をご愛顧いただき誠にありがとうございます。皆様の御支援を頂きながら、岡田家7代目の伊右衛門が創業(1753年)以来、現在18代目260年をこえました。
2003年に18棟の建物が有形登録文化財に指定され、そして敷地の真中にはむしろ麹室があります。1965年頃より麹づくりが次々と機械化されるなかで、これらの蔵やむしろ麹室を頑なに守り続けたことが、現在の伝統製法「むし ろ麹法」を唯一続けている蔵「かめびし屋」となりました。「コクやうまみの深さ」に独特の味わいが出せるむしろ麹法。この製法に代々こだわったことが現在の財産となり、新しい発想を取り込んだ商品開発にも役立っています。原材料は勿論、安全をもとめて遺伝子組み換えの心配がない国産大豆と国産小麦、そして原塩のみを使用。さらなるおいしさを追求し「天然にがり」を添加しています。
醤油づくりだけの「かめびしらしさ」ではなく、新しい発見も含め、日々挑戦しつづけることが、かめびしの原動力であり、その時代の「かめびしらしさ」を追求しています。
今後とも、伝統と革新を兼ね備えた「かめびし屋」を、どうぞ宜しくお願い申し上げます。