油の代わりに吉野葛を使った三輪山勝製麺の一筋縄そうめん
創業文化元年。三輪の地で400年あまり伝承する手延べ製法と、油の代わりに吉野葛を使った、健康と美味しさを追求した素麺です。
京都有名料亭御用達の
そうめん・うどん
三輪山勝製麺
そうめんから漂う独特なニオイ、苦手な方も多いでしょう。
もちろん、こういうものだと思っていたし、
昔から作られてきた製法なので、これが正しいと信じていました。
でも、せっかくのおいしいそうめんは、おいしく食べたい。
そのため、この油のニオイを無くそうと、油を変えてみても
時間が経つと酸化して、そうめんに油のニオイが残ってしまいます。
三輪山勝製麺の一筋縄は油を使わない代わりに
葛を使用し酸化臭と決別しました。
また葛粉を使うことで光沢のある透明感と素晴らしい喉越し。
冷たいそうめんも、温かいそうめんもおいしくいただけます。
三輪そうめんの由来と三輪山勝製麺のそうめん作り
『大和三輪』は、わが国最古の大神神社(おおみわじんじゃ)のご神体三輪山の麓に位置し、『山辺の道』起点となっています。古くは『古事記』や『日本書紀』の舞台であり、万葉の時代よりいにしえの人びとそして今も旅人の心のふる里になっています。
そうめんの起源は、遣随使の時代に和名『牟義縄(むぎなわ)』(正倉院文書)が伝来し、約千二百年前、上神主(だいかんぬし)大神朝臣狭井久佐(おおみわのあそんさいくさ)の次男穀主(たねぬし)が、飢餓を救うために収穫された小麦粉と三輪山の霊水を原料として保存食を作ることを勧めたのが手延べそうめんの起源といわれています。
山下家のそうめん造りは、1804年(文化元年)初代与八が農閑期の副業として取り入れて以来、創作麺職人 六代目山下勝山(やましたかつざん)は、食された方にご満足いただける麺づくり一筋に生きることを守り、家訓・家伝を礎に七転八起の末に、究極のそうめん『一筋縄』を誕生させ、ここに『麺を通じて食の満足を提供する』との理念を得ました。京都老舗料亭の亭主様の方に『麺の天才』とのお誉めもいただき、常に心の支えとしてお世話いただいております。
三輪山勝製麺の一筋縄
食は命の源
よいものづくりをするためには何よりも素材が一番大切です。いいかえますと素材が悪ければどんなに技があろうともよいものづくりは出来ないものです。
三輪山勝製麺では、まず素材を吟味すること、次にその素材の持つ旨味をひきだしながら素材の相性を見極め、「麺職人の技と心」で一本の麺に仕上げていきます。
食品である限り『安心・安全』は勿論のこと、『おいしい』麺づくりのために探究心を持ち続け、飾り気のない自然のめぐみこそ最高の原料であると確信し、厳しく素材を吟味して、「品質の麺」を守りつづけています。
甘く柔らかい麺を作りたい
麺職人の技術は、原料の選択で7割が決まるといわれています。幾種類もある小麦粉の個性をどう引き出し、どうブレンドしていくか。職人の腕と経験がそこで試されるのです。
勝山がいちばん重要視しているのは、小麦粉に含まれるグルテンの含有量です。しかし、勝山は「絶対に柔らかい麺を作りたい。手間ひまかけてコシをつける。そうすれば、表面が柔らかくて芯がしっかりしたコシになる」と言います。グルテンのコシでごまかすのは簡単ですが、それでは小麦本来の甘味を出すことは出来ません。しかも、小麦の約3割を削り取って、旨味、甘味、香りがある部分だけを贅沢に使います。
つなぎの決め手は、塩。そして熟成という時間
グルテンの少ない小麦粉でどうやって麺をつくるのか?少ないグルテンをすべて活用させないと麺になりません。そのためには、ミネラルを含んだ塩。これを小麦粉ときっちりと合わせて、じっくり低温で熟成を待ちます。それから丁寧に延ばしていきます。人間の体でいうと骨にあたる塩は、とても大事です。
塩は、麺の中に塩分が残りにくい天日塩を使用しています。塩は小麦粉の美味しさと麺の強さを引き出す重要な役割を果たします。この塩を使って初めてつながるのです。
吉野葛入りの理由。健康と美味しさのために
「美味しさは、口に入れた瞬間に美味しいと感じる味覚がある。しかし、人がいちばん『美味しい』と感じるのは、視覚からくる旨味ではないだろうか」ゆえに、勝山は麺を盛り付けしたときの美しさにも、いっさい妥協を許しません。
通常、そうめん作りに油はかかせません。製造時、麺と麺が引っ付かないように、油を塗ります。しかし油を使わずそうめんを作るという発想は当時誰も持ち合わせていませんでした。それどころか、「油を使わないそうめんなどそうめんではない」とまで言われました。
しかし勝山は、小麦粉の風味を損なわないようにするには、なんとしても油不使用でなければだめだと試行錯誤の末、地元・奈良が誇る吉野葛を油の代わりに使い、「一筋縄」を完成させました。一般的にそうめんの臭いと思われているのは、実は油の酸化臭なのです。当社のそうめんは油を使わないので油の酸化臭は一切しません。
※食品一括表示の原材料は指導により、葛粉を「でん粉」と表示することになっています。
麺を育てる、意地と技
勝山の麺づくりの特徴は、なんといってもグルテンの少ない粉を使い、小麦本来の甘さ・旨さを引き出すところにあります。少ないグルテンを有効に形成させ、かつ細く延ばすためにどうするか、そこに職人の意地と技術の粋があるのです。
手延べというのは"より(こより)"をかけて引っ張るから麺が強くなります。通常の場合グルテンが多いため、少ない"より"の枚数で強い麺になります。しかし、勝山の麺はグルテンが少ないのです。だから、塩・水などの素材はもちろんのこと、"より"の枚数が他の麺と全然違うのです。
『麺を育てる』といいますが、ここがいちばん大事なところです。"より"をかけたら、いよいよ麺を延ばします。
低温でじっくり熟成させながら、手間ひまをかけて延ばしていくことで、小麦粉は麺に変わり、勝山が求める旨味や甘味が引き出されます。同時に、強いグルテンでは決して真似のできない、やわらかなコシが生まれるのです。
理想はいつも冬であること。理念は、不可能を可能にした
素麺は本来、低温低湿な環境で自然乾燥が基本ですが、昨今は空気の汚染がどうしても懸念されます。ならば室内に入れて乾燥させればいいかというと、そうも簡単にはいきません。
勝山には「冬場で乾かしたい。排気ガスなどの汚染をいっさい除外したい。」の2つの思いがあります。だから、その思いを叶えるために室内に独自の空調装置を作りました。
室内で乾燥しながらも、天日干しとほぼ同じ出来栄えになりました。冷風乾燥できるよう、室内は一年中冬にしてあるのです。「寒麺」だから、持っている甘みが引き出せているのです。暖房装置は一切入れておりません。
じっくり熟成させてから、冷たい空気だけで乾かしていくのです。あくまで、理念通り絶対に美味しいものを作りたいという作り方を追求し、実現しました。
一筋縄ができるまで
- STEP1
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なかだて
長年の勘と蓄積したデータに基づき、気温・湿度・水温などを考慮し、塩と水の量を調整し、塩水を仕込みます。
- STEP2
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捏ねまえ
小麦粉と葛粉をあらかじめ入れたミキサーになかだてで仕込んだ塩水を均等に加えていきます。当店の小麦粉はたんぱく質含有量が少ないために僅かな加水量で麺の出来不出来が決定されます。
勝山は手で麺生地の弾力を確かであるかどうか神経を研ぎ澄まし再度加水量の微調整を行います。この作業は、手延べ麺づくりで最も重要な作業です。
- STEP3
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圧延作業
こねまえで仕込んだ生地に圧力を加えてキメ細やかな団子状の塊にします。
- STEP4
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板切作業
団子状の塊を麺帯と呼ぶ切断面が12cm×5cmの太いひも状に切り出して、" 採桶(さいとう)" と呼ばれる桶に巻き込んでいきます。
その後、3本の麺帯を重ね圧力をかけて張り合わせ一本の麺帯に仕上げることで麺にコシをもたせる作業をします。三輪山勝製麺ではこの作業もこねまえ作業とともに重要作業と考え、重ねて張り合わせた麺帯を更に重ね張り合わせる作業を幾度も繰り返すことによりたんぱく質含有量の少ない小麦粉で製麺した際のコシを生むことに成功いたしております。この作業で板状の麺帯から丸く太い麺となります。
- STEP5
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油返し作業
麺の表面に乾燥防止・麺と麺の癒着の防止などの為に通常使われる油の替わりに葛粉を塗布します。
- STEP6
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少燃作業
麺に撚り(ねじること)をかけ細くしていきます。麺に撚りをかけるのは引き延ばす作業に備え、強い麺にするためです。葛粉を麺の表面に塗付しながらさらに撚りをかけ、6mm程度まで細くします。その後、熟成を行います。
- STEP7
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掛巻作業
更に撚りをかけながら15cm間隔の平行に並んだ二本の棒に8の字に掛けます。かけたものから順に、室(長持に似た麺を入れる箱)に入れ次の熟成のピークがくるまで数時間熟成を行います。
- STEP8
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小引作業
二本の棒にかかった麺を50cmまで引き延ばします。
- STEP9
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ふくら出し作業
室から麺を出して引き延ばしをスタートさせます。手延べ麺の作業風景で最も絵になる作業です。麺を機(ハタ)とよばれる製麺用の器具に取り付け、麺の付着を防ぐ為に箸で麺をさばきながら段階的に約2mまで引き延ばします。
- STEP10
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乾燥作業
麺の水分量が13.5%前後になるまで乾燥いたします。麺の甘みと風味が失われないように冷風で乾燥いたします。
- STEP11
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小割(切断)作業
乾燥した麺を規定の寸法(そうめんは19cm)に裁断いたします。
- STEP12
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計量・結束 箱詰め作業
切断したそうめんは、50gずつ計量、結束し、金属探知機を通し目視による品質チェックを行ないながら、箱詰めします。